話がかなり横道にそれてしまっているようなので。
Bobbyさんへ
前世紀おわりに有望なFMDの診断検査やワクチンの可能性が出て、bobbyさんが今、その情報に触れておそらく感じられているように、多くの研究者や製薬会社が、こぞって製品開発に乗り出したのです。ところが、それから約10年、いまだに新しいマーカーワクチン、抗体の開発研究が熱心に続けられています。
前エントリーで申し上げた母集団と実験サンプルの違いのように、1点でみるとある研究では効果甚大、他ではなしということは当然あります。だからこそ、その後の追試や検証が必要になります。前エントリーでは、その最も基本的な方法の一つを具体的に示したにすぎません。
このような多くの玉石混交の報告から、専門の研究者、科学者が追試や検証をした結果、殺処理なしに流行をコントロールできるワクチン、診断抗体はない、というのが現状なのではないでしょうか?
それを示す文献として本年4月時点での概説と研究論文のサマリーをbobbyさんのブログに添付しました。もう一度お示しします。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20021307
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20199761
というわけで、素人の私が、すでに多くの専門の科学者によって追試・検証されつくした10年に及ぶ経過を、もう一度全てたどり直して、これ以上bobbyさんと議論する気はありません。
山之内氏の意見も、bobbyさんの御主張も、今現在実現可能なものではないですが、多くの優秀な人々がその達成を目指して、日夜真剣に働いておられるのではないでしょうか。
それと、OIEにかかわる巨大資本家や特定国の思惑による政治的圧力から、ワクチンはあるのに使わないんじゃないか、殺処理しないでもコントロールできるんじゃないかとかいう話が出てくるのかもしれませんが、レアメタルやエネルギー資源と違って、畜産業は零細個人企業が多いですから、そういう陰謀論的なことがOIEの勧告に影響している可能性は少ないのではないでしょうか?また災害である疾病の脅威は、国家間の外交・経済戦争とは異なります。
従って、これまでそのOIE勧告に従ってきた日本政府の方針が、食肉輸入の非関税障壁の維持が目的という井上先生の論理展開には無理があるのではないでしょうか?
この件に関してはすでに多くの意見が出つくしたようなので、日本では、今回なぜ、これほど甚大な被害が起きてしまったのか、どうしたらこうした被害が今後防げるのか、被害に会った畜産家の補償はどうしたら良いのか等、アゴラでは建設的な議論を期待します。