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海螢の昼行燈 -To be determined-

口蹄疫

13 6月

口蹄疫(FMD)―追記

口蹄疫殺処分は、食肉輸入の非関税障壁を維持することが目的である  井上晃宏(医師) : アゴラ

 話がかなり横道にそれてしまっているようなので。

Bobbyさんへ

前世紀おわりに有望なFMDの診断検査やワクチンの可能性が出て、bobbyさんが今、その情報に触れておそらく感じられているように、多くの研究者や製薬会社が、こぞって製品開発に乗り出したのです。ところが、それから約10年、いまだに新しいマーカーワクチン、抗体の開発研究が熱心に続けられています。

前エントリーで申し上げた母集団と実験サンプルの違いのように、1点でみるとある研究では効果甚大、他ではなしということは当然あります。だからこそ、その後の追試や検証が必要になります。前エントリーでは、その最も基本的な方法の一つを具体的に示したにすぎません。

このような多くの玉石混交の報告から、専門の研究者、科学者が追試や検証をした結果、殺処理なしに流行をコントロールできるワクチン、診断抗体はない、というのが現状なのではないでしょうか?

それを示す文献として本年4月時点での概説と研究論文のサマリーをbobbyさんのブログに添付しました。もう一度お示しします。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20021307
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20199761

というわけで、素人の私が、すでに多くの専門の科学者によって追試・検証されつくした10年に及ぶ経過を、もう一度全てたどり直して、これ以上bobbyさんと議論する気はありません。

山之内氏の意見も、bobbyさんの御主張も、今現在実現可能なものではないですが、多くの優秀な人々がその達成を目指して、日夜真剣に働いておられるのではないでしょうか。

それと、OIEにかかわる巨大資本家や特定国の思惑による政治的圧力から、ワクチンはあるのに使わないんじゃないか、殺処理しないでもコントロールできるんじゃないかとかいう話が出てくるのかもしれませんが、レアメタルやエネルギー資源と違って、畜産業は零細個人企業が多いですから、そういう陰謀論的なことがOIEの勧告に影響している可能性は少ないのではないでしょうか?また災害である疾病の脅威は、国家間の外交・経済戦争とは異なります。

従って、これまでそのOIE勧告に従ってきた日本政府の方針が、食肉輸入の非関税障壁の維持が目的という井上先生の論理展開には無理があるのではないでしょうか?

この件に関してはすでに多くの意見が出つくしたようなので、日本では、今回なぜ、これほど甚大な被害が起きてしまったのか、どうしたらこうした被害が今後防げるのか、被害に会った畜産家の補償はどうしたら良いのか等、アゴラでは建設的な議論を期待します。

13 6月

口蹄疫追加

前エントリーのコメントと他の所のコメントもちょっと足して、Bobbyさんへのお返事です。

 

> >製造元のIntervetによれば、2070例の牛サンプルで特異性99.95%、1029例の豚サンプルでは99.71%の特異性だそうです。

> さすがプロの文献調査は詳細ですね。しかし、マーカーワクチンも、ワクチンとの抗体判別手段も「ない」という議論は、このテストキットによって、前提条件が少し変わってくるかと思います。このようにして、全体として議論を前に進める事ができれば、これを読んだ政治家や官僚、メディアやその他おおぜいの人達に、なにかしら良い影響を与えられる可能性に期待しています。

私の専門は臨床検査学ではありませんが、おほめにいただいてありがとうございます。

政治家やメディアはどうか知りませんが、官僚の方々は私ごときとは比べ物にならない程、状況を良くご存知であろうと思います。

 

> 誤解があるようです。ワクチンあるいは検査キットがある、という事を何回か書きましたが、「決定的」だとは思っていません。

> オリジナル資料で100%と書いているのに、勝手に感受性の%を引き下げて議論するというそもそもの問題

ちょっと誤解があるようなので、説明を加えます。

 

少し方法論の話をしますので、退屈かもしれませんが、ご辛抱下さい。

病気の診断のための検査が、使用に耐える有用なものかを判断するのに、最も基本的かつ重要なことは、

1. 感受性(sensitivity:検査は病気があるときにどれくらい陽性になるか

2. 特異性(specificity:検査は病気の無いときにどれくらい陰性となるか

2点です。

まず検査の感度、感受性が低かったら、検査をする意味がありません。検査は病気の存在を鋭敏に検出できることが、第一義的です。感受性は、病気のある個体にそのテストをした場合、何パーセントに陽性結果が出るかで示されます。

そして次に、じゃあ鋭敏な検査なのはわかったけれど、今度は病気のない人に、検査が陽性に出てしまうのでは困ります。正常な人に薬を投与したり手術をすることは避けなければなりません。それを示すのが、特異性です。特異性は、病気のない個体にその検査をした場合、何パーセントに陰性結果が出るかで示されます。

検査陽性:検査(+)

検査陰性:検査(-)

a, b, c, dをサンプル個体数とすると

    

 

病気あり

病気なし

検査(+)

a

b

検査(-)

c

d

 

感受性=(a / a + c x 100 %

特異性=(d / b + d x 100 %

となります。

 

何か新しい検査方法について報告するとき、この感受性特異性の二つが明確に示されていることが必要不可欠になります。

bobbyさんにご紹介いただいたリンクの中に、pdf資料としてある、Intervet 社の22nd Conference of the OIE Regional Commission for Asia, the Far East and Oceaniaにおける報告です。

http://www.foot-and-mouth-disease.com/Binaries/68_33112.pdf

私はこれをIntervetの宣伝広告と言いました。

 

このpdf資料のなかでIntervetは自社のデータとして特異性について、牛と豚についてそれぞれ1,000例を越えるサンプルデータをカラフルなグラフ付きで報告しています。ところが、感受性のデータは一つも示していません。100と言っていますが、他人の報告を引用しているだけです。つまり題目は学会で報告したようですが、科学的データ報告としては全く片手落ちで、報告の体をなしていないのです。また自社製品に都合の良い文献を引用して述べているだけなのです。それで私はこれを宣伝広告と呼んだのです。引用文献の詳細については前エントリーをご覧下さい。この報告は2001年のようですが、その後このChekit-FMD-3ABCという検査キットが口蹄疫検査の主流にもなっていず、OIEの勧告も依然として変更されないことからも、この報告の信憑性Chekit-FMD-3ABC有用性について何が示唆されているのか、もうおわかりだと思います。

 

バイオメディカル系の研究では、現実世界を網羅して調べることはできません。現実の病人を一人残らず調べるには、マンパワーも研究費も到底及びません。そこでサンプルを選び出して調べ、それが現実世界(母集団)を代表しているとの仮定の上に、データ結果から結論を導き出します。サンプル数が小さいと、そのサンプルグループは現実世界を代表していないことがあります。そこで1,000頭検査したら750頭で陽性の作り話を加えたのです。これだと私の架空の感受性75ですから、同じくbobbyさんの紹介されたリンク先のニュースからfoobirdsさんが見つけ出されてアゴラのコメントでおっしゃっているChekit-FMD-3ABC の感受性70に比べて、私のでっちあげの数字のほうがIntervet に好意的であったわけです。

 

獣医学のことはわかりませんが、感受性は、80その検査が実際の使用に耐えるものかどうかのカットオフ値であると記憶しています。医療に使われる検査のほとんどは、85%以上の感受性でしょう。Chekit-FMD-3ABC 感受性70だとすると、使用に耐えるレベルではないと思われます。「決定的」という言葉は、この「実際の使用に耐えるレベル」という意味で用いました。

 

 

 

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