ap_09

海螢の昼行燈 -To be determined-

アメリカ生活

10 7月

家族の風景(2)

ランチ・パーティーは各人の結婚観ないしは結婚生活についての会話で和気あいあいと過ごされました。有志に手作りでかなり大きなケーキを焼いてくれたくれた人がいました。生クリームとパールの砂糖菓子で覆われた真っ白なケーキは、豪華に花束で飾られていました。みんな最初、花束は造花だと思ったのですが、本物の生花でした。茎の根元が水を満たした鞘でおおわれ萎れるのを防ぎ、ケーキに刺してあったのです。しかも中身はチョコレート・ケーキですから、とってもオサレな上においしいのです。こんなケーキを作ってくれる人の凝り様もすごいのですが、パーティーの最後に、独身の女性群が一列に並んで主役の女の子が後ろ向きに花束を放り上げ、女達の嬌声のなか、その中の一人が花束をはっしとキャッチして、次の花嫁となるべくパーティーは締めくくられたのでした。

それで大変印象深かったのは、日本と違って、女性の社会進出がすっかり当たり前になっている米国の職場での、女性の結婚に対する並々ならぬ関心でした。未婚者のみならず既婚者もです。ヒスパニック(スペイン語を話すスペイン以外の国々、中南米の人)系の秘書さんがおられるのですが、たとえばメキシコ人の文化は昔の日本風で、肝っ玉母さんタイプの働き者で包容力の高い女性に、親分子分みたいな縦関係の強固な男社会です。その普段は暖かく陽気なタイプの女性が、夫に腹が立つとご飯を作らず、キッチンをピカピカにして無言の抗議に出るのだそうです。「子供のご飯はどうするの?」と、他の一人が聞くと、「旦那が面倒をみる」ことになっているのだそうです。普段がとてもあったかい雰囲気で面倒見が良いので、ピカピカで食べ物の気配の無いキッチンというのは、旦那にしてみれば、さぞかしホラーじゃのぉ、と想像してこちらの方が寒くなったのでした。この秘書さんは他にもあれこれ結婚生活について指南していました。

一方、米国の南部のある地域で育って、今二十歳そこそこの人が、彼女の高校では卒業と同時に結婚する人がワンサカいたというので、「親か年長者が仲介する、お見合い結婚なのか」と聞くと、そんなものはないと言って笑われました。つまり高校卒業までに恋愛して、卒業と同時にゴールインが普通と言う地域があるわけですね。それを聞いてドイツ人の大学生が、ドイツの彼女の周りではみんな大学に進学し、生涯の伴侶を選ぶなどと言う考えは彼女くらいの年では想像もつかない、どうやって相手を見つけたらいいのか、どのタイミングで結婚したらよいのかわからない(だから心配というニュアンスを感じました)、と言いました。ユダヤ系の女の子は、若い女の子らしく結婚生活にとても憧れを持っているようでした。

するとアフリカ系の秘書さんが、黒人社会における結婚、家族に関する熱弁をふるったのでした。

黒人には、シングル・マザーがとても多いのです。テレビのドラマなどを見ていても、黒人のカップルは、盛大にけんかします。どうも男性には家庭を持つということに無責任な人が多く、女性とそれなりの関係になってもマジメに家族を作って暮らそうとしない人がかなりあるようです。一方、女性は子供ができると、果敢にシングル・マザーとなってでも、子育て、日々の糧を得る為に健気に働く人が多いのです。日本と違ってアメリカでは、ある女性が強い人だという評価は皮肉ではなくポジティブで、さらに黒人社会では、特にほめ言葉のようです。家庭を作るということに関して男性が当てにならないので、家族の維持、子供を育てるためにも、女性は強くなければならないようです。日本風のかわいい妻は全く通用しないように見えます。

ところで、母子家庭が普通ということになると、家庭における父親像というのが、なんだかわからなくなってしまうのですね。これは後々の世代にも影響を及ぼします。とくに男の子を持つシングルマザーは、男の子をどう躾けたらよいのか、成人男性のあるべき姿とは何なのか、子供に伝えることができなくなってしまったのです。

そこで結婚して家庭を持つという、人生の一大事には違いありませんが、普通の生活と人々が思っていることが、その黒人の彼女にとっては、ことさら難題なのです。



<つづく>

3 7月

家族の風景(1)

先日職場の女の子が国際結婚するために、結婚式のため3週間の休暇を取るというので、女性ばかりで、サプライズ・ランチ・パーティーというのをしました。なぜ女性ばかりかというと、これも未だに、私には米国の新しい慣習を学ばせて頂きました。

お祝いのギフトが、なんと、エロな下着だったのでした。ビクトリア・シークレットという有名なブランドの下着アパレルで選ばれたその下着は、スケスケの黒地に小さなピンクの水玉模様のキャミソール、そしてそろいのT-バックなのですが、T-バックはスケスケな上に紐状態で、一体これで、お尻のどこを覆うことができるのか、こっちの方が赤面したくなるような代物だったのです。そのほかにムード作りを意図してと思われる、香りつきキャンドルと、キッチンに便利なソフトクリームのデザインのタイマー(ほかの用途ありと解説されていたのですが、私にはイマイチ??)が贈られました。とにかく、新婚初夜を想定しての品々です。

なるほど、男子禁制とはこういう女性ばかりのざっくばらんな楽しみであるからだと納得したのでした(途中に、昼時のケーキ目当ての男子乱入というのがありましたが)。

その職場の女の子はヨーロッパ人で、お相手の男性は、なんとアフリカ人の上に回教徒なのだそうです。結婚披露宴はアフリカでするそうで、忙しくてろくに旅行の準備をするヒマがない新婦を尻目に、新婦の両親はヨーロッパからアフリカへの旅の準備に、余念がないのだそうです。新婦のご両親は60代なのだそうですが、私は、きっとご両親にとっては、一世一代のアフリカへの海外旅行なのだろうな~、と思って話を聞いていました。

新婚カップルは成婚後、アメリカで生活することを計画しているようです。新婦がヨーロッパ、新郎がアフリカ出身、生活の場はアメリカと、世界の3つの大陸を股に掛けたロマンスが実ったという、『すげぇ~、スケールのカップルじゃのう』と、内心思っていたのでした。

よくよく考えてみると、まず娘を外国であるアメリカで自由に羽ばたかせ、アフリカの異教徒と結婚することを認める、ご両親の懐の深さというか、度胸に、しみじみと感じ入ったのでした。こういうところは、本人の主体性を尊重するという、ヨーロッパの個人主義のたまものかもしれません。

22 4月

与太話 クレジット・カード

今住んでいる所の郵便はあまり当てになりません。郵便物がなくなったり、開封されていたり、破損していたりします。郵便局に文句を言っても改善せず、日本ではちょっと考えられません。地元の人はあきらめているというのか、大事な物のやりとりは、基本的にフェデックスなど民間の運送会社を利用するのが普通になっています。

先月クレジット・カードの請求書が届かなかったので、気付かずに支払いが一月滞ってしまいました。なぜ自動引き落としにしないのかと思われるでしょうが、カードのチャージには、個人情報漏洩による被害だとか、訳のわからない支払いが請求されることがしばしばあるので、一々、月々の請求書の内容を確認してからでないと払う気がしません。だから自動引き落としにしないのです。

これまで、クレジット・カード会社にとって、「支払い遅滞」というのは大変ウェルカムなことでした。カード会社は支払い遅滞料金や遅滞による高率の利子で稼いで来たのですから。

ところが、今回異変が起きました。

まず、当該クレジット・カードが使えないことが過去23日に起き、変だなと思って問い合わせた結果、支払い遅滞を発見しました。今までは支払いが遅れている状態でカードを使用すると、使えば使うほど罰金・利子がどんどん加算されて行くので、顧客には定期の請求書発行の時期が来るまでは逆に知らせないことが普通だったのです。驚くべきことに、今回はなんとカードの使用自体をブロックされてしまいました。これが第一の異変。

そこでメンドーだと思いつつも、さっさと払ってしまおうと、いつもの通りオンライン支払いに行くと、複数段階に渡って、なぜ支払いが遅れたのかの理由の調査です。次に、なんと支払いのための銀行預金口座の再登録と、本当にその口座にお金があるのかどうか、カード会社が確認を取ると言うではないですか。何年も同じカードを使っているのに、こんなことをきかれたのは初めてです。

また、支払い時期が迫るとe-メールで連絡をもらえることになっていたのですが、ほとんど使っていないメール・アドレスだったので、よく使う方のメール・アドレスに変更しようとしました。すると、変更の受付は拒否され、画面がエラーになってしまいました。メール・アドレス変更の問いは、支払い確認ページの前だったので、もう一度はじめからアクセスし直しです。すると今度は、同じ日に複数の支払いはできないという、エラー・メッセージが現れて、支払いそのものが拒否されてしまいました。結局カスタマー・サービスに電話を掛けて支払いましたが、身元確認の厳重さが以前の比ではありませんでした。

どうやら失職したり等で、カードの支払いができない人がたくさんあるようです。今まではこういう人にさらに罰金・利子を吹っかけて儲けて来たはずのカード会社が、こういう人たちを、逆に、締め出そうとしているようなのです。これはクレジット・カード会社経営における、大きな異変なのではないでしょうか。

米国の不況は、大恐慌は別としても、かつてないほど深刻のようです。しかも政府による操作で、メディアは本当の現状を伝えないようです。

日本のメディアは日本経済について悲観的な情報で溢れているようですが、なんだかんだ言っても、日本の方がアメリカよりずっとマシなのではないかと感じるのは、私だけなのでしょうか?

プロフィール

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