透析クリニックの崩壊ーアトランタ、ジョージア州の載っていた同じ記事からもう一つ抜粋です。医療ニュースと銘打ったにもかかわらず、発行日からほとんど1ヶ月遅れになりました(下手な翻訳は結構手間がかかる)。
せめて2009年の記事が2010年にずれ込まないよう、滑り込みセーフです。
カリフォルニア州-自転車操業
2009年7月までにカリフォルニアでの予想される年度赤字は263億ドルにのぼっていた。同時に530万人以上の住民は、合衆国政府の定義による貧困レベルを下回る暮らしに甘んじ、その内の20%は子供たちであった。健康保険に加入していない大人の数は、公式に経済不況が宣言された2007年1月の660万人から、推定710万人に増加した。新たな親の失業による民間保険の喪失は、子供に及ぶという現象を伴った。その結果、失業にあえぐ人々はセーフティーネットの健康保険プログラムに流れ込むことになった。悪いことに、カリフォルニア州の公的健康保険援助は、不況以前から既に疲弊していた。
しかし、不況による州税の歳入低下をやり繰りするために、公的援助プログラムには一層大きな圧迫が加えられることになった。メディ・カル(カリフォルニア州の貧困者救済健康保険プログラム)のドラコニアン財政削減は、カリフォルニアの子供たちに深刻な影響をもたらした。ファミリーズUSAは、25万人以上の子供たちが健康保険を失った上に、16万人がさらなる財政削減の提案により保険を失う危険にさらされていると報告している。
たとえば、人口約300万のサン・ディエゴ郡ではセーフティーネットは既に分断され、医療サービスが供給不可能なほどに低いメディ・カルの診療報酬の払い戻しに一層脅かされている。これにより最も起こりそうなことは、専門医へのアクセスが極端に減ることであろう。貧困者ケア・プログラムの登録は認定基準が狭められ縮小され、無保険者の無料診療を公的負担から民間プロバイダーへとシフトさせる原因になっている。
人口1千30万人をかかえるロサンゼルス郡は2008―2009年度においてほぼ1億4千万ドル(1ドル100円では140億円)近くの予算縮小をみた。上院議員のバーバラ・ボクサーによる2008年12月の報告によれば、カリフォルニアにおけるの不況のインパクトによるこれらの財政削減は、メディ・カルとメンタルヘルス・サービスにかなりの影響を与えた述べている。
サン・ジョアキン郡は家屋の差し押さえと不動産価格低下による3千200万ドルの税収歳入損失に直面している。メンタルヘルスケアに対する、ことに成人のうつ病(および彼らの子供たち)に対する要求は相当増加したにもかかわらず、この増加に対応する財源はない。
2009年10月までに、国内の経済動向に基づき、専門家は不況は終わったと公式に表明した。しかし、連邦政府の経済刺激のためのバラマキにもかかわらず、今だに不況前に比し、雇用が8万件以上減ったというのが、カリフォルニアの州庁所在地であるサクラメントの状況だ。状況は州の他の場所では一層悪くなった。サンフランシスコ~オークランド地域では8万8千件雇用が少なくなった。そしてロサンゼルス・エリアでは25万件減った。そうした雇用の減少により、メディ・カルのようなプログラムを支える州の税収は減少し続けるであろう。しかしそれにはかわらず、雇用主が供給する民間健康保険を失う人や公的プログラムの登録者は増え続ける。そして、必要なヘルスケアの供給としては既にガタの来ているセーフティーネットの支えのみで、さらに多くの子供たちが、貧困にあえぐ暮らしを余儀なくされて行くのである。
日本の国民皆保険制度は世界的に見ても大変優れたものです。出てくる問題に対しては、修正が必要となっても、破綻したアメリカの支離滅裂な制度を真似る必要は全くありません。