ap_09

海螢の昼行燈 -To be determined-

2009年12月

30 12月

アメリカ医療ニュース

透析クリニックの崩壊ーアトランタ、ジョージア州の載っていた同じ記事からもう一つ抜粋です。医療ニュースと銘打ったにもかかわらず、発行日からほとんど1ヶ月遅れになりました(下手な翻訳は結構手間がかかる)。

せめて2009年の記事が2010年にずれ込まないよう、滑り込みセーフです。

 

カリフォルニア州-自転車操業

20097月までにカリフォルニアでの予想される年度赤字は263億ドルにのぼっていた。同時に530万人以上の住民は、合衆国政府の定義による貧困レベルを下回る暮らしに甘んじ、その内の20%は子供たちであった。健康保険に加入していない大人の数は、公式に経済不況が宣言された2007年1月の660万人から、推定710万人に増加した。新たな親の失業による民間保険の喪失は、子供に及ぶという現象を伴った。その結果、失業にあえぐ人々はセーフティーネットの健康保険プログラムに流れ込むことになった。悪いことに、カリフォルニア州の公的健康保険援助は、不況以前から既に疲弊していた。

 

しかし、不況による州税の歳入低下をやり繰りするために、公的援助プログラムには一層大きな圧迫が加えられることになった。メディ・カル(カリフォルニア州の貧困者救済健康保険プログラム)のドラコニアン財政削減は、カリフォルニアの子供たちに深刻な影響をもたらした。ファミリーズUSAは、25万人以上の子供たちが健康保険を失った上に、16万人がさらなる財政削減の提案により保険を失う危険にさらされていると報告している。

 

たとえば、人口約300万のサン・ディエゴ郡ではセーフティーネットは既に分断され、医療サービスが供給不可能なほどに低いメディ・カルの診療報酬の払い戻しに一層脅かされている。これにより最も起こりそうなことは、専門医へのアクセスが極端に減ることであろう。貧困者ケア・プログラムの登録は認定基準が狭められ縮小され、無保険者の無料診療を公的負担から民間プロバイダーへとシフトさせる原因になっている。

 

人口130万人をかかえるロサンゼルス郡は20082009年度においてほぼ1億4千万ドル(1ドル100円では140億円)近くの予算縮小をみた。上院議員のバーバラ・ボクサーによる200812月の報告によれば、カリフォルニアにおけるの不況のインパクトによるこれらの財政削減は、メディ・カルとメンタルヘルス・サービスにかなりの影響を与えた述べている。

 

サン・ジョアキン郡は家屋の差し押さえと不動産価格低下による3200万ドルの税収歳入損失に直面している。メンタルヘルスケアに対する、ことに成人のうつ病(および彼らの子供たち)に対する要求は相当増加したにもかかわらず、この増加に対応する財源はない。

 

200910月までに、国内の経済動向に基づき、専門家は不況は終わったと公式に表明した。しかし、連邦政府の経済刺激のためのバラマキにもかかわらず、今だに不況前に比し、雇用が8万件以上減ったというのが、カリフォルニアの州庁所在地であるサクラメントの状況だ。状況は州の他の場所では一層悪くなった。サンフランシスコ~オークランド地域では88千件雇用が少なくなった。そしてロサンゼルス・エリアでは25万件減った。そうした雇用の減少により、メディ・カルのようなプログラムを支える州の税収は減少し続けるであろう。しかしそれにはかわらず、雇用主が供給する民間健康保険を失う人や公的プログラムの登録者は増え続ける。そして、必要なヘルスケアの供給としては既にガタの来ているセーフティーネットの支えのみで、さらに多くの子供たちが、貧困にあえぐ暮らしを余儀なくされて行くのである。

NEJM 2009;361(23): 2201-04

 

 


日本の国民皆保険制度は世界的に見ても大変優れたものです。出てくる問題に対しては、修正が必要となっても、破綻したアメリカの支離滅裂な制度を真似る必要は全くありません。

 

29 12月

医薬品のネット販売 (3)

さて、前回は厚生労働省はどうやら明確な意図を持って省令の発令に踏み切った様子がうかがわれると述べました。

 

この省令について大きな反論、反対運動があるようですが、それに触れる前に、この新しい医薬品分類とはどのよう内容なのか、ちょっとみてみましょう。

 

第一類医薬品のリスト

ここに挙げられている薬剤は、今どきどんな医師が処方するんだろう(ヨヒンビン、ストリキニーネ)というものや、ジエチルスチルベスチロールのような、稀とはいえ、悪性の癌を引き起こすので、大量に出回った米国では、現在もなお、母子二世代(妊婦による使用)に渡り追跡調査が続行中の薬剤も入っています。

またアミノフィリンのような喘息薬は、私は日本にいたときは使っていましたが、米国では心臓や神経系に対する副作用が強いため、医師はまず処方しません。日本でも同じような傾向にあるのではないかと推測します。

水虫の薬には、抗菌剤が入っていますが、抗菌剤は多用すると耐性菌出現(従来の抗菌剤が効かなくなる)の問題が出てきますので、役所が自由販売に規制を設けようという動きは理解できます。

まだ安全性についてよくわかっていない、発売後間もない新薬は第一類に入ります。

 

他にもここに挙げられている薬には、稀に重大な副作用を引き起こすものがあるので、何らかの規制をすること自体は必要なのではないかと思います。

 

第二類医薬品のリスト

ここにもステロイドや、かなり副作用の強いものが入っています。ブロムワレリル尿素は医薬品のネット販売でも言いましたように、アブナイ薬です。今はもっと副作用の少ない良い薬があるので、日本でも欧米でも処方されていないと思います。ところがこの薬は、現在、日本を含めたアジアの国々で出回っているようです。最近もハデな副作用について、こうした国からの症例報告が国際学術雑誌に掲載されています(売薬として売られてること自体がすごいと思う)。


いわゆるドラッグ(
recreational drugs)として使えそうなものは主に第二類に分類されているようです。


第二類には漢方薬が含まれます。漢方薬は有効成分が何なのかわかっていないものが多く、その使用には専門家の積極的な関与が欠かせないのではないかと思います。特に西洋医薬と併用する場合、飲み合わせの問題をどうしているのか、私は知りません。どなたかご存知でしたらお教え下さい。

 


これまで特に事故や犯罪が社会問題となるほど目立たなかったのは、ひとえに製薬会社や薬剤師さんが自主的に情報提供をして、顧客の安全を考慮してくれたからだと思います(こういうところが日本という国は素晴らしいと思う)。

法的規制をかけることは必要で、逆に今までなかったことの方が、あきれるべき事態といえるでしょう。

 

ところで、個人差はありますが、対面(マンツーマン)による情報伝達は、自分だけで文書を読むより効率の良い面があると思います。

多くの人にとって、日常的でない、薬や医学に関する情報伝達については、特にそういう場合が多いのではないでしょうか。

 

また、直感的に予測がつきますが、医療費は高齢になるほどかかるものです。


平成
16年度の国民医療費32兆円余りにおいて、一人当たりの平均額を示します(医療の項2424より)。

国民全体: 25万千500円

39歳以下: 9万9千700円

65歳以上:659600円

75歳以上:815100

 

高齢者をターゲットに自由な商活動が行われる場合、対面販売は非常に有効な情報伝達方法です。またこの世代に対する介護世代も含め、これらの人々でネットに熟達している人はそれほどおられないと思います。したがって、実際のネット販売の状況はどうあれ、ネットのような直接の人対人でないコミュニケーションにより事故、悪用、詐欺を考慮することは、理不尽とは言えないのではないでしょうか。

 


では医薬のネット販売はこのまま見捨てられてしまうべきなのでしょうか?

そうではありません。

 

ここで私から、ひとつ提案をしたいと思います。

 

“処方薬販売のネットビジネスに乗り出す” のです。

 

ネットはデータ収集、管理、処理に非常に強みのあるツールです。

まずは病院と契約でもして、宅配サービスで処方薬を買えるようにします。「対面云々」については実際に受診したあとなので問題はありません。

個人情報の厳正な管理が含まれ、大きなITビジネス市場でもあります。

 

ついでに将来的には国民総背番号制の導入、電話・メール・ウェブカメ等の応対をフル活用し、病院・診療施設への受診回数軽減にも動き出します。こうすれば離島、山間部住民の問題はなくなります。

 

国全体のデータ・レジストリーを作り、各薬剤の有効度、副作用出現に関する国民全体のデータの集積、分析ができるような一大プロジェクトに発展させるのです。


これは国全体の医療効果の実態を客観的に示すデータの集積になります。ネットというツールの性質上、そのデータ分析にも非常に大きな利便性を発揮します。
つまりデータ収集から分析までを視野に入れたシステムの、グランドデザイン、開発をするということです。

 

事業側も利用者側もウィンウィン(win-win)ではないでしょうか。

 

というわけで、私はビジネス・プラン(?)の発案者ですので、実際に乗り出す時には、是非、お声をおかけ下さることをお忘れなく(⌒∇⌒)(m_ _m)。

 

ところで、もし、これが実際に地方自治体以上の規模で運用されるようになるとしたら、利権発生の温床になる可能性については、今回の薬事法改正の比ではないでしょう。

 

ひょっとすると、厚生労働省の優秀なる官僚の方々は、そんな将来の’うまみ’をも考慮に入れて、今回の改正を強行したのかもしれません。

 

26 12月

医薬品のネット販売 (2)

さて、前回のエントリーで厚生労働省は「”ドラッグ・カルチャー“の促進をも懸念して・・・?」と疑問符で閉じましたが、優秀なる官僚の方々は『明らかに懸念』しておられたようです。明確に文書で全国に通達されていました。そのままサワリを抜粋してみます。この改正法の施行は平成2161日からです。

 

薬食発第0614006

平成18614  

  都道府県知事

各 政令市長   殿

  特別区長

 

厚生労働省医薬食品局長

 

薬事法の一部を改正する法律について  

「薬事法の一部を改正する法律」については、平成1837日第164回国会に提出され、去る68日可決成立し、本日、平成18年法律第69号として公布されたところである。

 

国民の健康意識の高まりや医薬分業の進展等の医薬品を取り春く環境の変化、店舗における薬剤師等の不在など制度と実態の乖離、薬学教育6年制の導入に伴う薬剤師の役割の変化等を踏まえ、医薬品の販売制度を見直すことが求められている。また、違法ドラッグについては、乱用による健康被害が発生しており、かつ、その使用が麻薬、覚せい剤等の使用のきっかけとなる危険性があるにもかかわらず、人体摂取を目的としていないかのように偽装されて販売されているため、迅速、かつ、実効ある取締りを行うことが困難となっている。

 

このため、薬事法(昭和35年法律第145号)の一部を改正し、医薬品の適切な選択及び適正な使用に資するよう、医薬品をリスクの程度に応じて区分し、その区分ごとに、専門家が関与した販売方法を定める等、医薬品の販売制度全般の見直しを行うとともに、違法ドラッグの製造、輸入、販売等を禁止すること等により、保健衛生上の危害の発生の防止を図ることとした。

今回の改正は、一般用医薬品の販売等に関する安全性の確保及び違法ドラッグによる保健衛生上の危害の発生の防止を図る上で極めて重要な意義を有するものであるので、下記の改正要旨に十分留意の上、関係者に対する周知徹底等、その円滑な施行について特段の配慮をお順いすべく、通知する。

 


下線は私によりますが、赤字は原文の通りです。

市販薬の一類から三類までの分類も旧法にはなく、新しくできたもののようです。

 

旧法をネットで検索してみたのですが、みつけられませんでした。

というわけで推測まじりですが、この法改正の通達からすると、日本における市販薬の販売というのは、今まで規制も何もなく“野放しであった”と言う印象であり、
アゴラの泉ゆきなりさん
の「医薬品のネット販売禁止がといかけるもの」、コメント2にあるような“薬剤師の既得権益の保護“というよりはむしろ、
薬剤師は「今までよりもっと、キリキリ働いてちょーだい」とお役所が言っているように見えます。


どういうことかと申しますと、まず

この医薬品の分類というのは何なのか、ちょっと概説してみましょう。

 

ヤフーのニュースからです。

第一類医薬品:特にリスクが高いもの ー 効能・副作用の情報提供は義務(文書で)

第二類医薬品:比較的リスクが高いもの ー 効能・副作用の情報提供は努力義務

第三類医薬品:リスクが比較的低いもの ー 効能・副作用の情報提供は不要

となっています。

 

購入者が効能・副作用について‘相談があった場合は’、第一類については薬剤師、第二類、三類については薬剤師か登録販売者が情報提供するのが義務となっています。

これは言いかえると、

“改正以前は情報提供について何の法的義務もなかった”

ということではないでしょうか?

 

そう言えば日本で風邪薬買った時、箱に成分や薬効や副作用がチマチマと小さい字で書いてありましたが、”文書“と呼べるような説明は付いてなかったように思います。

つまり、市販薬の販売とは、薬局や薬剤師さんの良心的営業に任せた“野放し”だったのです。

 

こりゃ~、米国なんかより、よっぽど“無法地帯”だったのです。

皆さん、日本の薬剤師に悪い人がいなかったことを感謝しましょう。


改正後の現行法ですら、米国と比べると、まだゆるゆるです。
米国では医薬部外品でも物によっては詳細な”文書“つきです。

 

改正がなかったら、法規制のない、野放しのまま、薬に関する十分な情報提供すらないまま、
ネットでリスクのある商品が広く行き渡って行ったことでしょう。


そもそも自己責任という言葉がはやっていますが、十分な情報提供がなされず、
買った商品のリスクをよく知らされないまま、何か起こったら自己責任で片付けられてしまう仕組みになっていたって一体・・・

 

ところで、薬を買って、ちまちました字でぎっしり書かれている説明文を、あなたは読みますか?


私は読みません。既に調子が悪いので、普段に増してそんな精魂を要するような作業はしたくありません。


だから、「対面販売が原則」というのは、かゆい所に手が届くような、誠に行き届いた、
優秀なる官僚の方々の私たちに対する、気遣いと申せましょう。

 

でも自分は薬の買い置きをするから、
そのときよ~く吟味して購入するので、
ちまちました文書は問題にならない。
だから説明文さえ手に入れば薬剤師と話す必要はない。
ネットの方が便利だ、という方もおられるかもしれません。

 

次回はその辺も含めてもうちょっと、この医薬品分類について述べたいと思います。


<つづく>

25 12月

医薬品のネット販売

アゴラの泉ゆきなりさんの「医薬品のネット販売禁止が問いかけるもの」からです。

>育ちつつあった医療品ネット販売というマーケットは、国の規制によって潰された形となりました。

>医薬品を手軽に買いたいニーズはもはや誰にもとめられるものではなく、ましてはインターネットは国の規制など簡単にすり抜けてしまいます。

21世紀に至っても日本の優秀な官僚が間違いを犯す(それとも確信犯か?)

 

日本の優秀な官僚は確信犯にちがいありません。

 

この改正でどのくらい既得権益が保護可能なのか存じませんが、

国民への安全性を視野に入れていることは確かでしょう。それが過保護過ぎてウザイかどうかはさておき。

 

ところで

米国にもヨーロッパにも華々しいドラッグ・カルチャーがあります。

 

麻薬の産生国はアジアやラテンアメリカですが、薬物依存者はそれほど社会問題になっていないようです。

(それをビジネスにしているギャングの犯罪のひどさは、メキシコでは国家当局との抗争で内戦に近いくらいのすさまじさがありますが。)

 

とあるインド人医師はこう言いました。「インドでは薬局で簡単にモルヒネが買えるが、米国のような薬物患者は稀だし、医療目的でなく、ドラッグ欲しさにウソの症状で受診する人は見かけない」

 

米国内でもアジア人は特に、薬物に耽溺する人の率は低いようです。

ところがたとえそうでも、アジアからの移民一世から代を経るにつれ、たとえば、アルコールの摂取量(飲酒)は増えて行くといいます。

ただし、飲酒に関する最近の調査にそうした差はないとするものもあり、これは過去数十年でアジアの国々が急速に経済成長し欧米化しているのが影響を与えているのではないかと考えられているようです。http://pubs.niaaa.nih.gov/publications/arh22-4/233.pdf

もし今回の改正が施行されず、人々が自由に医薬品を買える環境が進んでいったら、日本人の行動パターンがどう変化してゆくのか、私には極めて興味深いものがあったのですが・・・

残念です

 

実際に市販薬の乱用というのは、米国ではヘビー・ドラッグには経済的に手の出ない、ティーン・エイジャーに多いようです。

 

ネット販売だとドラッグストアに行くよりもっと簡単に手に入るかもしれませんね。

 

ネットでなくとも、改正前まで、ブロバリン(第二類医薬品)という、本来は睡眠薬が簡単に買えました。

こちらはブロバリン(ブロムワレリル尿素)について
Wiki情報です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%A0%E3%83%AF%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%AB%E5%B0%BF%E7%B4%A0



自殺目的でも使われますが、


長期使用
では、呂律が回らなくなったり、足元がおぼつかない等、中枢神経症状が脳のちぢみ(脳萎縮)とともに起こることがあります。

米国ではブロバリンのようなアブナイ薬は市販でも処方でも、販売されていないので、中毒患者にお目にかかったことはありませんが、日本ではブロバリンによる自殺未遂や長期濫用の患者さんはときどきおいでです。

 

果たして、厚生労働省の優秀なる官僚の方々は、“ドラッグ・カルチャーの促進”をも懸念して、一般医薬販売制度改正の実現にこぎつけたのでしょうか?

23 12月

ちょっとつぶやいてみた

日本の状況について、bobbyさんのように

前に述べましたように、日本は20年間も貧乏化が進んでいるので、2000前半からかなり経済成長した他の先進国と比べても、あまり意味がありません。

下記の方のサイトの千賀さんは私と同じIT業界ですが、ap_09さんと同じ米国在住です。ご参考までに。

http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/04/future_of_japan.html

http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/12/despair.html

そして、上記記事で紹介されていた、「日本がこんなに貧乏になった」という記事も下記に示します。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090730

と感じておられる方がおそらく多いのであろう。私にはよくわからないが、日本では閉塞感が蔓延しているらしい。

渡辺千賀さんのように、シリコン・バレーというアメリカでも最もホットで最先端な地でばりばりと活躍しておられれば、日本のような保守的かつ閉鎖的な社会はそのように見えるであろうし、その腰の重さには危機感(を通り過ぎてあきらめ?)を感じるに違いない。

Chikirin さんのグラフは、別段日本人の所得が一夜にして突然変化したというのはなく、徐々に下がっているとグラフで示されている。危惧すべきだが、破綻しているわけではない。

このような方々は、私の基準では”エリート“に属する人々である。こうして警告を発し、なんとかせよ、とおっしゃる。口ばかりでなく、自らも活動しておられることであろう。
Bobby さんもそのような人の内のおひとりであろう。

素晴らしいと申し上げたい。

 

日本は今耐える時期のようだ。

 

話は突然変わるが、お世話になった米国の指導医で、アルメニア人にしてレバノン出身という先生がおられた。コスモポリタンで頭も切れるが、なによりユーモアに富み愉快で楽しく、そばにいるだけでこちらまでがウキウキしてくるような人徳の持ち主である。

アルメニアは現在では人口300万余りの小さな貧乏国だが、古代には大アルメニア王国を築き、最近ではオスマン帝国でも栄えた民族のようだ。

大変優秀な民族である。

このアルメニア系レバノン人の先生は、本人から直接聞いたわけではないが、第一次大戦時の「アルメニア人虐殺」を逃れてレバノンに移住した人々の子孫らしい。レバノンというのもまた戦争ばっかりしているような国だが、ここで教育受け、アメリカに渡って臨床研修をして、グリーン・カードの取得のためだろう、アメリカの辺境地でしばらく働き、現在は大学病院の教官だが、2006年のレバノン侵攻のときには現地に残っていた両親が戦火に巻き込まれ、何とか脱出の後アメリカに引き取る等々、波乱万丈な人生、家族の運命である。

何が言いたいかというと、優秀なアルメニア人は大陸で幾多もの戦い、虐殺の上、今はチリジリになって世界中に散らばっている。残っているのはアジアと中東の境にある、本当に小さな国だけだ。

 

そこへ行くと日本は、海という天然の防壁に守られて、太平を謳歌し、独自の文化を長いことかけて醸成する幸運を得た。

日本は凋落して行くように見えるかもしれないが、まだまだ豊かで、平和ボケと言われるほど、おめでたいくらい太平な国である。

日本にも、近代では明治維新や太平洋戦争のような危機はあったが、その度にうまく切り抜けて来ている。
優秀である。

我々日本人の文化、あるいは精神的遺産というものは大変強力なもので、一夜にして霧散してしまうようなものではない。

他の国と比べても、全般に教育程度が極めて高い。人的資産の蓄積には並々ならないものがある。

 霧散するとすれば外交と防衛の失敗によって物理的に分断され、アルメニアのようになる心配である。

それでも、アメリカではヘンリー・キッシンジャーが日高義樹のワシントン・リポートで「日本は10年後に強力な軍隊を保有しているだろうというほどに、今もってなお、恐れられているのである。

 

日本という国は、麻生太郎元総理大臣の言う通り、「とてつもない」のであり、「底力」があると思う。

本当に苦しくなるのはこれからなのかもしれないが、挽回の見込みもまだまだある。


その源泉はやはり、”人“に尽きる。

 

医療とは、その大事な”人“が病気や怪我と言う災難にみまわれた時に、なくてはならないものである。

“人”を大事にする社会では、医療はあまねく行き渡るべきものである。

だから、日本は今は我慢の時期かもしれないが、
医療において、わざわざ“撤退”したり、レベルを下げる必要はないのである。

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