ap_09

海螢の昼行燈 -To be determined-

アメリカ医療ニュース

24 6月

妊婦の百日咳ワクチン接種

2011622日付けのワシントンポストから

 

米国では、小児の百日咳ワクチンの接種は、2ヶ月から開始するように定められています。ところが百日咳による乳児死亡、入院のほとんどは、生後2ヶ月までに起こるのです。


そこで、つい先日、米国連邦政府は、妊婦に百日咳のワクチンを接種する奨励が発表されました。百日咳のワクチンは生ワクチンではなく、妊娠後期における接種が勧められています。


昨年の百日咳の流行をかんがみてのことでのあるのでしょうが(全米で
21千人を超える症例数、2009年に比し、少なくとも4千人増だったそうです)。


ワクチン接種そのものに対する反対運動が成果をおさめ、百日咳の予防注射に健康保険すらきかない日本ではどうなっているのでしょうね。

18 6月

子宮頚癌ワクチンの問題点(7)-3

ちょっとダラダラ長くなってしまったので、まとめを。

 

HPVワクチン義務化を推進する要素については、今まで述べていませんでしたが、以下の2点に要約されるようです。

1.    FDA (US Food and Drug Administration: アメリカ食品医薬品局) による推奨。

2.    立法に携わる連邦婦人団体(女性の法律家のための会のようです)によるプッシュ。

 


ワクチン義務化に反対する理由

 

1.    ワクチンの新規性 ― HPVワクチンには確実に効果があり、副作用は効果に見合う範囲で許容できる程度であるという科学的根拠は、まだ確立されていない。

2.   HPV感染の本質は性病

3.    HPVは通常の学校生活環境では感染しない ― 性交という密接な身体接触でのみ感染。

4.   HPVワクチンの製造業者、メルク社が義務化の立法にかかわっていると言う事実に対する戸惑い

5.    ワクチンの価格 ― 従来のワクチンに比し高価。

6.    ワクチン政策形成に関する要因、行政による強制に対する反感 ― 行政はどこまで個人の自己決定権に介入すべきなのか、製薬会社など特定の団体を利するために強制されはしないかという、一般的な懸念。

7.   反ワクチン運動

8.    ポリシー・メイキングの過程の性質 ― 法律の草案から議会を通るまでの過程、お役所仕事の煩雑さ。

 

という訳で、連邦政府(FDA)の推奨により、ガーダシル承認後直後、41の州でワクチン接種を普及するべく、次々とワクチン義務化の法律草案が州議会に提出されたり、一時は州知事令で施行に移された州もあったのですが、その後次々に沙汰止みになり、現在では、ホワイトハウスをいただくワシントンDCでしか義務化されていないという状況です。米国では、HPVワクチンには健康保険が利きます。公費補助も局所的にはありますが、日本で検討されているように無差別に公費負担ということではないようです。

 

州統治の落ち着き先としては、極めて常識的な判断である、と私は思ったのですが、いかがでしょうか?

アメリカは合州国と言うくらいですから、地方というか、州の自治権がもともと高いに違いありません。しかし、州の行政は、最初の一歩では連邦政府の言う通りに、HPVワクチン導入に素直に従いました。ところがその後、現実の状況を検討して、柔軟に訂正しているように見えます。

 

もう一つ、いったん立法しても、状況に応じて、迅速に変わって行くことができるのが、日本と異なる米国の行き方のように見えます。日本国憲法と言い、日本はなぜ、こういう柔軟性がないのかなぁ~などど、素人なりに思ったりします。

 

両国のこの違いについて、よく、欧米の狩猟民族vs.アジアの農耕民族という文化の違い、という説明を聞くのですが、そういうものでもないような気もするんですね。異なる意見や市民運動の喧々轟々(けんけんごうごう)振りでは同じように見えます。異なる意見や議論をとりまとめて、合意に至るまでのシステムが、日本では整備されていないようにみえます。やはり日本の民主主義の成熟度には、米国と比べて、まだ差があるのかもしれません。

 

さて、次回は利権だ!と一部では糾弾されたりした(連邦政府はワクチン推奨の立場を変えていませんし、米国医療従事者間では支持する意見も根強い)、メルク社の立場を追ってみたいと思います。

 

子宮頚癌ワクチンの問題点(1)
子宮頚癌ワクチンの問題点(2)
子宮頚癌ワクチンの問題点(3)
子宮頚癌ワクチンの問題点(4)
子宮頚癌ワクチンの問題点(5)
子宮頚癌ワクチンの問題点(6)
子宮頚癌ワクチンの問題点(7

子宮頚癌ワクチンの問題点(7)2



N Engl J Med 2010; 363:785-791


 

13 1月

昔から衰えを知らないアンチ・ワクチン派との闘い(NEJM1月13日号から)

知らない間に世の中便利になったものです。New England Journal of MedicineことNEJMが日本語で読めるようです。http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm

 

 訳が出る前に最新号(1月13日号)から記事を紹介しようと思ったら・・間に合いませんでした。

 

にもかかわらず、Wiki情報をまじえて、はしょって紹介。

ワクチン後進国といわれるようになってしまった日本の現状としては一読の価値のある意見です。

 

<視点>

昔から衰えを知らないアンチ・ワクチン派との闘い

Perspective

The Age-Old Struggle against the Antivaccinationists

Gregory A. Poland, MD and Robert M. Jacobson, MD

NEJM 2011; 364:97-99

日本語版では「予防接種反対派とのたたかい」という表題になってます。購読しないと読めないみたいですが、元記事はタダでネットでアクセスできます。ヘンな訳つけてたのがバレバレですが、そのまま放置です^_^'


 

ワクチンは発明されたその時点から常にそれに反対する人、アンチ・ワクチン派(Antivaccinists)がいました。


ウィキペディア
によれば、天然痘の種痘に相当する手技は紀元前年頃から既にインドで行われていたらしい記録があり、ジェンナーによる痘瘡の発明は1796年ですから、18世紀の終わりには既に普及可能は技術として存在していました。


しかし種痘が天然痘撲滅をめざして本格的に広く普及したのは
1940年代になってからのようで、発明から実に150ほどかかってやっと普及したことがわかります。天然痘の撲滅宣言がWHOによってなされたのは1977年でした。


こちらの種痘に関する日本語版のウィキペディアでは、今も“ワクチンは重大な副作用という厄災をもたらすもの”というニュアンスをにじませた紹介になっています。
英語版の、いかにも百科辞典というフラットな事実の記載と比べ、“おどろおどろしさ”さえにじませた日本語版の記載は、日本人らしいウェットさにあふれ、お茶目です。

Cow_pox

表題のNEJMの記事から
牛痘-あるいは-新しい接種の素晴らしい効果 .
J. ギルレイ(J. Gillray),1802年.(国立医学図書館:National Library of Medicine の好意による)



新しいワクチンが出るたびに、
18世紀以来、人々は、これを恐怖と不信でもって迎えて来ました。
病原体そのものを利用して病気を防ぐという、毒をもって毒を制するという考えに、人は拒否反応を示すのかもしれません。)


1940年代から1980年代の初頭にかけては、ワクチンの科学、発見、製造のブームにあたり、ワクチンへの不信感は後退してた時期でした。はしか、おたふく風邪、風疹、百日咳、ポリオなどの流行により、感染症に対する公衆の関心が高まり、ベビーブームの影響もあって、子供の病気を予防したいという願望が高まったのです。


ところが、その後、感染症は影を潜め、つぎつぎと新しいワクチンが加わってゆくと、科学的根拠の貧困な、エピソード的ワクチンの害が、メデイアを通じて広められ、
1970年代から再び、アンチ・ワクチン思想が隆盛になったのです。


テレビとインターネットがアンチ・ワクチン思想の流布の主流で、科学的根拠から目をそむけるよう世論を方向付けてきました。


たとえばジフテリア、百日咳、破傷風の混合ワクチンは
DPT と呼ばれますが(DPT: diphtheria-pertussis-tetanus)、“DPT=ワクチン・ルーレット”のようなキャッチ・コピーで、根拠の明確でない害についてテレビが華々しく報道。議論が巻き起こり、反対運動が広がり、多くの国でDPTワクチンの一律接種は取りやめられました。


1970年代から1980年代に百日咳ワクチンの一律接種をやめた国では、ワクチン接種を継続している国に比し10倍から100の百日咳の発生率をみるようになり、結局、ワクチン接種を再開した国もあります。


米国では訴訟の嵐が吹き荒れ、ワクチン製造会社は製造中止に追い込まれたため、被害者のための補償プログラムを作って、製造者がワクチンを供給する能力を維持できるよう救済されました。


1998年に発表された、MMRと呼ばれる、はしか、おたふく風邪、風疹(measles-mumps-rubella: MMR)ワクチンは自閉症を起こすという報告は、英国、アイルランド、米国その他の国でMMRワクチン使用を低下させました。その結果アイルランドでは、はしかの流行が起こり、300例以上の症例と、100例の入院、3人死亡という結果になりました。


アンチ・ワクチン派には単なる科学的無知から、故意に虚偽情報の流布、暴力による使用阻止・反対意見の押さえ込みまであります。彼らには、政府や製造者に向けて
100%の不信感、陰謀説、否認、複雑なことを認識できない思考能力の低下、論理破綻、データを感情的な逸話(いつわ)の挿入でさしかえる、といった傾向がみられます。


アンチ・ワクチン派の努力は、混乱とコストの増大をもたらして来ました。これらには個人から健全な社会・共同体へのダメージまでが含まれます。かつては制御されていた病気の流行、ワクチンの市場からの撤去、国防(アントラックス、天然痘ワクチン)、そして生産性の低下です。


2009年から2010年のH1N1インフルエンザの蔓延でも、公衆のワクチンに対する強い恐怖がしめされました。米国では7千万投与量に及ぶワクチンが、ワクチンによる害という証明の無いまま破棄されました。


この間
MMRワクチンには何の害も無いことが、12件を超える研究で報告されて来ました。MMRワクチン反対派は、公衆をワクチンから遠ざけ続けています。結果として、この世代にわたる恐怖感は、はしかとおたふく風邪の流行により、子供の命を奪っています。かつてはコントロール下にあった病気が入院、休学、欠勤、医学的合併症、社会混乱、そして死をもたらしています。


過去
50年で最悪の百日咳の流行が、現在カリフォルニアでおこり、乳幼児の間に既に10の死亡が報告されています。


このような負の遺産に直面して、アンチ・ワクチン・キャンペーンを撲滅するために、私達ができることは何でしょうか?

1. ワクチンの安全性について質の高い研究とそれを支える予算を確保すること

2. 本当の稀な副作用を知るために、副作用モニタープログラムを維持すること。そのためには、副作用被害者の補償制度を、全ての被害者に行き渡るよう拡張すること

3. アンチ・ワクチン派の虚偽かつ害のあるクレームに対して、どうやって抵抗したらよいかを、医療従事者、両親、患者にを教育する4. 一般の人を教育し、世論を説得する。患者と親はリスクと利益のバランスを目指すようにする。そのためには科学的リテラシーを上げる。誤情報には法的手続きで対処することも、必要に応じて考慮する

 

現在予防すべき病気に対するワクチンのリスクは、1900年初頭の天然痘のワクチンに比べたら、はるかに小さいものです。これは不幸にも、アンチ・ワクチン派は自分達を安全な場所に置いたままで、小児、老人、病弱な人々を危険にさらすようなやり方で偽りの科学情報を流布し続けることができるということを意味しています。

 

かつては、天然痘の撲滅や、そのために多くの人を障害者にした原因だった病気のコントロールの達成という、素晴らしい歴史的勝利があったのです。


そしてワクチン反対派が主張するような、ワクチンによる広範な被害など、時間の経過にも科学の上においても耐え得るような主張ではないのです。筆者は、アンチ・ワクチン派は、公衆の健康に著しい害を与えて来たと確信しています。

 

最後に、科学というのは、民主主義とは違って、多数派や声の大きい者が、何が正しいかを決定するものではないということを、一般社会が認識しなければなりません。

 

米国でも日本と類似した状況があるようです。しかし、日本では、ほとんどのワクチンが保険からはずされてしまっているのに比し、米国では公的補助や、例外規定をつけるとはいえ、就学前に接種しないと入学を認めないというようなペナルティーをかけて、州によっては普及に努めるところもあるようです。

 

ひるがえって、日本の現状について、皆さんはどう思われますか?

 

17 10月

スパーム・ドナー(精子提供)―人工授精の子供達(3)

文化
精子提供者の匿名性が生まれた子供達の間に論争の火花を散らす
By Stephanie Pappas, LiveScience Senior Writer
2010926日付

 


この話で何が一番すごいかというと、やはり
『子供125人』の部分ではないでしょうか。

ハーレムを持つ王様でも、こうはいかないでしょう。しかも必要経費、お手当ては「ゼロ」どころか、母親志願者が切望の上の妊娠出産し、嬉々として育ててもらえちゃう。


これ以上、男冥利につきる(?)ことはないような気がするのですが。

子孫を残すという、生物としての努めは、十二分以上に果たせるわけだし、あとは何して気ままに過ごしても、人生オッケー、てなものではないでしょうか。

 

一人一人妊娠出産しないと子供の持てない女性はこうは行きません。

 

これに比べると、最近の日本の若い男性は、草食系だの、新卒・正社員、年収**以上でなければ結婚できないだの、一体なんの苦労をさせられているんでしょうね。

 

もう一つ文化的に興味深いのは、日本とは違う家族のあり方です。アングロサクソンはもともと家族形態として核家族が一般的なようですが、父親の家族に対する、特に子どもに対する関わり方が、アジアの文化である大家族、拡大家族、あるいはコミュニティー全体(たとえば終身雇用制の会社)が家族的に振舞う文化とは、随分違うように見受けます。

 

アメリカの中産階級では、家族は人間関係の核として大変比重が高く、父親の子どもに対するコミュニケーションの濃さは、「背中を見て育つ」とか「会社人間」「仕事人間」と評される日本のお父さん方とは全然違います。


アメリカでは小さい子どものいる父親は、仕事が忙しいと、

「子どもと接する機会が少ない」

「家に帰るのが遅くなって、家ではまるでお客さんのようで、疎外されているように感じる」

などど、大の男が臆面もなく不平を言ったりするのです。

 

米国では夫婦とは、パートナーシップに近く、日本の役割分担である、男は仕事、女は家庭で、男社会(職場)、女社会(主婦のご近所、子どもの学校の付き合い)と別々に、あたかも棲み分けているような社会とは随分違うのです。アングロ文化のような濃密な人間関係の核家族だと、女がシングル・マザーになることを故意に選ぶことは、男性心理においては、家族からの疎外という、裏切りや脅威を感じることかもしれません。

 

ところで、話が突然飛びますが、遺伝学が進歩し、遺伝相談が普及した結果、世の中の父親の.7%0.830%)は、あたかも鳥のカッコウのように、知らずによその男の子供を生んだ妻と他人の子供の面倒をみている、ということがわかってきました。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1733152/pdf/v059p00749.pdf

 

遺伝相談というのは、カッコウのご家庭ということがわかってしまったりするところが(医療者がその部分だけ告げなければバレないことではありますが)、今後そういう事柄も含めて倫理の問題をどう処理するかが焦点になるでしょう。


このような微妙かつ深刻な結果をもたらしかねない情報は、明らかにされると法的な問題にも発展して行きます。

 

医学の進歩はテクノロジーの進歩と違って、便利になって良い、というふうに簡単に割り切れないことを、どんどん増やして行きます。



<この項オワリ> 

15 10月

スパーム・ドナー(精子提供)―人工授精の子供達(2)

文化
精子提供者の匿名性が生まれた子供達の間に論争の火花を散らす
By Stephanie Pappas, LiveScience Senior Writer
2010926日付

(1)の続きです。

 

匿名性の利点、欠点

 

どのようなやり方であれ、子供達が出生の事実について知る時、彼らは精子提供者が誰であるかを知ることはほとんどない。

 

英国では200541日以降から精子提供者を匿名にする約束を廃止する法律が、議会で通過した。現在18歳になると、精子提供人工授精の子供達は、精子提供者が誰であるかを突き止めることができるようになった。

米国においては、精子バンクは提供者についての詳細な、家族歴も含めた医学的情報を、以前よりもっと開示するようになった。しかしそれでも匿名が原則である。精子バンクは提供者の精子からどれだけ出生があったかの追跡をする義務はない。生まれた子供達にはお互い知ることのない複数の兄弟姉妹がいるかもしれない。

 

精子提供人工授精の子供達(あるいはその親達)が皆、匿名制に満足しているわけではない。2000年、コロラド在住の母親、ウェンディー・クレーマーとその精子提供人工授精の息子ライアンは、人工授精による異母兄弟姉妹登録を設立した。そのウェブサイトは、人工授精の兄弟姉妹がお互いに知り合い接触する手助けをしている。ライアン・クレーマーは、最終的に6人の異母兄弟姉妹を、精子提供者とともに突き止めた。

クレーマーは、提供者の匿名制は提供先の家族にではなく、精子バンクに利益があるのだという。匿名を守ることにより、精子バンクは結果として何人子供が生まれたかを追跡する事なしに精子を売りさばくことが許されているという。彼女のサイトには約1,200人の精子提供者が登録されている。ある提供者は、彼が125人の子供の父親になったことを発見した。

ウェンディー・クレーマーは、精子提供者は、彼らの子孫である生まれた子供達の医学情報を共有することができないと主張する。また彼女はこうも言う。

「女性にとって、男性は精子提供者に過ぎない一方、生まれた子供達にとって、提供者は生物学的父親なのです。」

 

本年5月、『両親業の未来』と題する委員会は、インターネットをベースにして集められた、精子提供人工授精によって妊娠した人々のサンプルから、人工授精は子供にとって悪影響を及ぼすとする研究報告を発表した。この報告は、ブライスや他の研究者から、実際のデータが示している以上の解釈を加えていると批判された。この研究は、Institute for American Valuesという伝統的な結婚や家族の定義を推進している組織による研究費によって賄われた。

 

たとえば、「私の出生の起源である受精の状況には、気分的にひっかかるものがある」

という記述に関して、

19%の精子提供受精の子供達は「強く同意」、

26%は「ある程度同意」というデータと、

「私の精子提供者は、私という者の半身を成した」という記述に65%が同意あるいは強く同意というデータとが組み合わされて、

『自身の起源と同一性に関して、著しい葛藤があることを明らかにした』と解釈された。

この解釈は研究の著者の一人である、IAV結婚家族センターのディレクターであるエリザベス・マークワァートによる。

 

「私は報告を読んだ時、支持できない内容がいくつかあるのに気付きました。」

とグレン・ノーバルは述べた。ノーバルはテキサス大学オースティン校の社会学者で研究報告の共著者でもあるが、最終稿には加わらなかった。

しかし同時に、ノーバルは、マークワァートが回答のあるものについて否定的な側面に焦点を当てたことは理解できる、とライブサイエンスに伝えた。

「エリザベス(マークワァート)は否定的な態度について過剰評価しているが、そういう要素はある」

とノーバルは言う。

 

 

分かれる意見

 

提供者の匿名性に関する意見は、生まれた子供達の間においても分かれている。誰が自分の精子提供者であるかということについて、強い好奇心を抱く者がある一方、軽度の好奇心、それについては全く興味の無い者もある。

 

ハンナ・アンダーソンは21歳、アラバマ州モービル市で精子提供人工授精によって妊娠した母親によって育てられた。アンダーソンは彼女の兄弟姉妹、精子提供者について調べてみたいと多少は思う一方、匿名の法的妥当性について考えてみたことはなかったと言う。

「私は、精子提供者の名前や連絡先という詳細な情報について匿名であることに、どこにも悪い理由は見出せません。もちろん民族的側面(米国では個人の民族的ルーツを大切にし、誇りに思うことが一般的)や、より科学的なことに踏み込みたい時には、そういう情報は常に手に入れられるべきだとは思います。」とライブサイエンスに向かって述べた。

 

シンガーは匿名精子提供は最終的には廃止されると考えている。しかし彼女はこうも言う。

「匿名を条件に精子提供した男性の許可を得ることなく、匿名を破棄することは、彼らに対して公正なのかどうか疑問です。」

 

シンガーの娘のジャクリーンは人工授精による異母兄弟姉妹登録を通じて、一人の異母兄弟(姉妹)に会った。この二人には、ほとんど共通点はない。精子提供者の鼻の形以外、似通ったものはほとんどない、とシンガーは言う。

精子提供者と会うかどうかに関して、ジャクリーンは精子バンクが提供するバイオグラフィカル・スケッチで、今のところ満足している。

シンガーは言う、

「娘は提供者が誰なのか興味はあるけれど、知りたくてたまらない、というほどのものではないのです。」

 

[記事オワリ]



<つづく> 

プロフィール

ap_09

<% for ( var i = 0; i < 7; i++ ) { %> <% } %>
<%= wdays[i] %>
<% for ( var i = 0; i < cal.length; i++ ) { %> <% for ( var j = 0; j < cal[i].length; j++) { %> <% } %> <% } %>
0) { %> id="calendar-839303-day-<%= cal[i][j]%>"<% } %>><%= cal[i][j] %>
カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード