いばらの王-King of Thorn- レビュー(ネタバレあり)
ビルから飛び降りた少女ローラ・オーエンはメドゥーサと呼ばれる石化病に掛かっていた。
世界的に広がりを見せ、致死率100%のメドゥーサに何の対策も見つけられない。
製薬会社ヴィナスゲート社はこの奇病に対して、治療法が見つかるまでの間のコールドスリープ計画を提案する。
古城を改造したコールドスリープ施設に収容できるのは抽選で選ばれた160人のみ。
その中にカスミ・イシキの姿があった。
両親を同じ病気で亡くした彼女は、双子の姉 シズク・イシキに付き添われて施設へとやってきたが、シズクを残して自分だけが眠りにつく事に抵抗を覚える。
一方、某国ではウォルター・ヒューイットの調査によりメドゥーサがヴィナスゲート社による細菌テロであると判断し、コールドスリープ施設への襲撃を決断する。
アリスと呼ばれるハイテクコンピュータに管理されて眠りに付く事になったカスミたち。
再び目を覚ました時、カスミは床に倒れている人物を目撃するが、直ぐに周囲の異変に気を取られる。
施設には無数の巨大な茨が多い茂っていたのだ。
次々と目を覚ました人々だが、施設内に出現した怪物に襲われて人々はパニックに陥る。見た事もない怪物に襲われ、命からがら逃げ延びたのはカスミを含めて僅かに7名だけだった。
ローラという刺青を入れた凶悪犯のマルコ・オーエン。
幼い少年のティモシー・レイゼンバック。
アメリカの警察官ロン・ポートマン。
いばら姫の物語を読みふけっていた看護士のキャサリン・ターナー。
科学者らしきピーター・スティーブンス。
元議員でコールドスリープの権利を金で買ったアレッサンドロ・ペッチノ。
7人は自分達が眠ってからどれだけの時間が経過するのか、世界がどうなっているのかを調べるため、外へと向かう。
遅い来る怪物から逃げる7人だが、ティムはこれらの怪物がゲームに出てきたモンスターと同じだとはしゃぐ。
その中で、ペッチノが早々に怪物の餌食となってしまう。
残された6人は制御室へと辿り着くが、そこでピーターが患者ではない事を追求する。コールドスリープの被験者はアクセサリーなどを身につけられない筈が、彼はネックレスを身につけていたからだ。
カスミを人質にして逃げるピーター。残された5人は、自分達が眠りについてから2日しか経過していないという事実を知る。
ピーターはカスミと以前に出会っていると語る。
カスミはそれが双子の姉・シズクであると思うが、何故シズクが施設にいたのかは判らないが、彼女の無事を信じる。
カスミはピーターがマルコと会話している現場に遭遇してしまう。
何故2人が繋がっているのか、疑問を覚えるカスミだが、真実を知るピーターはモンスターに襲われて命を落としてしまう。
彼はメモリーチップをカスミに託し、アリスの真実に近づいた者が、という言葉を残す。
マルコに救われる形になったカスミたちは、逃げる途中ではぐれていたポートマンやティム、キャサリンとの合流を果たす。
マルコの正体はCIAに雇われたスパイであり、本当ならばピーターの手はずで冷凍睡眠から目覚め、外部からの襲撃と連携する手はずだったのだ。
酒蔵へと逃げ込んだ彼らだが、そこにヴィナスゲート社のアイヴァン・コラル・ヴェガが逃げ込んでくる。
彼によって明かされるメドゥーサの正体とは、宇宙から飛来した細菌による仕業だった。
だがメドゥーサに汚染された村で、たった一人の少女だけが石化する事なく、生き続けていた。しかも未知の生物がその村に息づいていた。その生物は少女の夢から誕生した事が発覚し、アイヴァンたちは彼女に対して実験を続けるも、遂に彼女は死してしまう。
ヴィナスゲート社はそこで、アリスと同じ素質を持つと思われる者達を選出し、今回の実験に参加させたのだ。だが、そこで予想外の出来事が発生してしまった。
彼らの求めた人物は、今回集めた人物以外のところから誕生したのだ。そしてその力が暴走し、この施設は瞬く間に怪物の住む茨の城となってしまったのだった。
かなりCGは多用されているものの映像は綺麗です。
物語は徐々に謎が解きほぐされていく感じで良く考えて作られていると思いました。
原作は未読でも充分に楽しめるレベルではないかと思われる。
ただ、回想シーンが細切れで入るので、人によってはそこで混乱が生じてしまうかもしれない。
なんでゲームのモンスターを実体化させたのかと思っていたら、アリスがティムの記憶から捻出したからなのか。彼の中のゲームのモンスターが一番最適だと思ったのかな。
ところで、本物のシズクの身体はどこにあったのだろうか。もうアリスみたいにドロドロになって何処にあるのか判らないのかな。死んだら下の状態に戻るのだろうか。
ピーターは序盤から正体がバレバレというか、隠すつもりが無かったというか。
あれで実は別人でしたというオチだったら凄かったとは思うが。
ペッチノはあのウザい性格から、いるだけで面倒な存在なので、序盤に早々と死んで犠牲者の存在をアピールするにはもってこいの役割だったのでしょう。
ラストは結局、メドゥーサの治療方法は見つからず仕舞いなんじゃ……
あの場は収まったものの、世界的には何一つ良い方向に転がってないんだよね。
そして本来ならばシズクが想像したカスミはシズクが消滅した時点で消えている筈。という事は、カスミの言葉通り夢なのか、それとも独自の存在として誕生したので消える事なく残っているのか、或いはシズクはまだ何処かで生きているのか……色々な可能性が考えられるラストでした。
被験者は全員が何かしらのトラウマを持っているという事でしたが、ポートマンのトラウマが何だったのかはハッキリ描かれてないんですよね。
マルコは妹の事、ペッチノは弟の事、キャサリンは子供の事、ティムは両親の事だと思うのだが。
個人的評価:70点
暫定アップ。
個人的評価:70点
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