『のだめカンタービレ』 -- チャンスの神様は前髪しかない
以前、フィギュアスケートの高橋大輔選手の「気持ちが弱かった」という言葉を紹介しました。2013年のフィギュアスケートのグランプリシリーズ第1戦で完敗(第4位)した後に発した言葉でした。
その後、NHK杯でショートプログラム世界歴代2位となる圧巻の演技で優勝し、グランプリファイナルへの出場権を得ながら練習中の怪我が原因で出場辞退。
そして、オリンピック選考がかかった全日本選手権で5位。本人も周囲もオリンピック出場を絶望視している中での代表指名。個人的には “正解” だったのではないかなって思います。小塚崇彦選手の気持ちを思いやると、まあ色々と思う事もありますが・・・・・。
女子の方は、本命中の本命、浅田真央選手が不調で3位。優勝は、いつもいつも安定した演技を見せてくれる鈴木明子選手。今季限りでの引退を決めているとの報道もある中、13回目の全日本で、ついに初のタイトルってのは、素直に良かったなって思います。
鈴木明子選手の優勝を、自分のことのように本人以上に喜んで泣いていた(今大会を最後に引退を表明した)織田信成選手の姿が本当に印象的でした。
でも、なんと言っても、今大会で一番印象に残ったのは、全日本2位の成績でオリンピック初出場を決めた村上佳菜子選手の姿。スケートの内容も勿論だけど、それ以上に “気持ち” が凄かった。
ショートプログラムでもフリーでも、滑り終わった後の涙やガッツポーズに、その思いが溢れ出ていました。高橋選手の “思い” と、村上選手の “思い” 。やっぱり大事だなって。
全日本で浅田選手のフリーの演技を見ながら、二ノ宮知子さんのマンガ『のだめカンタービレ』を思い出してました。
ってことで今回の本題は、フィギュアスケートとは全然関係の無い『のだめカンタービレ』の紹介。
とは言っても、この本、友人に借りて読んだものなので、キチンとした紹介は出来ないと思いますが、とても印象に残っているシーンに関して話したいと思います。
先のラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」は、主人公の一人、千秋 真一が、彼の師匠で世界的にも著名な指揮者シュトレーゼマンの指揮のもと、音大の文化祭で演奏し、会場から絶賛の嵐を受けます。
このシーンは強烈に印象に残っています。浅倉卓弥 著 「四日間の奇蹟」の時は、文章から “音楽” を感じましたが、絵でこんなにも音楽の感動を伝えることが出来るんだなって本当に驚きました。
でも、今回お伝えしたいのは別の場面です。ここでの登場人物は、千秋 真一、シュトレーゼマンに加えて、指揮科の学生である大河内守の3人。
因みに、千秋は指揮者を目指しているけど、在籍しているのはピアノ科。指揮科の大河内は、シュトレーゼマンがピアノ科の千秋にSオケの指揮を任せていることに不満タラタラ。
Aオケの練習で、シュトレーゼマンが練習をサボって出掛けようとするので、「用事があるなら代理で指揮させて下さい」ってシュトレーゼマンに頼み込むのですが、けんもほろろに断られ。
そして定期公演の当日、(前座で?)千秋が指揮するSオケが演奏し拍手喝采を浴びます。その演奏を見て、大河内は「あんな下品な演奏、子供だましだ!!」って叫んでいます。
続いてAオケの出番で、そんな大河内にシュトレーゼマンは、「曲、勉強してあるんだよねぇ?」と声をかけます。大河内は「もちろん!! 完璧ですよ!!」と答えます。
「じゃあ、ボクの代理よろしくネ」とシュトレーゼマン。「はいっ、チャンスですヨー」って言いながら楽譜と指揮棒を大河内に手渡し、「お腹が痛くなったので、帰って寝るー」と去っていきます。
そしてAオケは、大河内守の名とともに、伝説の(悪夢の様な)舞台を作り上げてしまいます。
ある日、二日酔いで体調絶不調のシュトレーゼマンは、午後の練習の指揮に千秋を指名します。
千秋は、「無理です。先生の代わりなんて!」と尻込みしますが、シュトレーゼマンは「勉強・・・・・してあるんデショ? 千秋」と。
そして午後の練習で、千秋はシュトレーゼマンの代役を素晴らしく上手にこなしていきます。
そんな千秋の姿を見ながら峰龍太郎(バイオリン科の学生で千秋の友人)は思うんです。「この曲、千秋は完璧に勉強してあった」と。
どれだけ勉強してあったとしても、シュトレーゼマンが急病(二日酔いだけど)にならなかったら、千秋に指揮するチャンスなんかなかった筈です。
チャンスの神様が向こうから歩いてきたら、自分の目の前に来た時に神様の前髪を掴まないと、神様が通り過ぎてから慌てて後ろ髪を掴もうとしても掴めないよって話です。
前髪を掴む(掴める)というのは、常にその時のための準備や努力をしているってことです。
チャンスが目の前にやってきた時、慌てて努力しても遅いんです。こちらの準備が整った時には、そのチャンスは既に過ぎ去ってしまっています。
「私にやらせて下さい!」って主張しながら何の準備もしていなかった大河内と、そんなチャンスが巡ってくるとは思ってもいなかったのに完璧な勉強をしていた千秋。
成功する人と、成功出来ない人。ここにその違いが端的に表現されています。
その後、NHK杯でショートプログラム世界歴代2位となる圧巻の演技で優勝し、グランプリファイナルへの出場権を得ながら練習中の怪我が原因で出場辞退。
そして、オリンピック選考がかかった全日本選手権で5位。本人も周囲もオリンピック出場を絶望視している中での代表指名。個人的には “正解” だったのではないかなって思います。小塚崇彦選手の気持ちを思いやると、まあ色々と思う事もありますが・・・・・。
女子の方は、本命中の本命、浅田真央選手が不調で3位。優勝は、いつもいつも安定した演技を見せてくれる鈴木明子選手。今季限りでの引退を決めているとの報道もある中、13回目の全日本で、ついに初のタイトルってのは、素直に良かったなって思います。
鈴木明子選手の優勝を、自分のことのように本人以上に喜んで泣いていた(今大会を最後に引退を表明した)織田信成選手の姿が本当に印象的でした。
でも、なんと言っても、今大会で一番印象に残ったのは、全日本2位の成績でオリンピック初出場を決めた村上佳菜子選手の姿。スケートの内容も勿論だけど、それ以上に “気持ち” が凄かった。
ショートプログラムでもフリーでも、滑り終わった後の涙やガッツポーズに、その思いが溢れ出ていました。高橋選手の “思い” と、村上選手の “思い” 。やっぱり大事だなって。
浅田選手のフリーの演技を見ながら
やけに長い前振りになってしまいましたが(実は前振りにもなってないけど)、浅田真央選手が今季のフリーの曲に選んだのは、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。
ってことで今回の本題は、フィギュアスケートとは全然関係の無い『のだめカンタービレ』の紹介。
とは言っても、この本、友人に借りて読んだものなので、キチンとした紹介は出来ないと思いますが、とても印象に残っているシーンに関して話したいと思います。
先のラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」は、主人公の一人、千秋 真一が、彼の師匠で世界的にも著名な指揮者シュトレーゼマンの指揮のもと、音大の文化祭で演奏し、会場から絶賛の嵐を受けます。
このシーンは強烈に印象に残っています。浅倉卓弥 著 「四日間の奇蹟」の時は、文章から “音楽” を感じましたが、絵でこんなにも音楽の感動を伝えることが出来るんだなって本当に驚きました。
でも、今回お伝えしたいのは別の場面です。ここでの登場人物は、千秋 真一、シュトレーゼマンに加えて、指揮科の学生である大河内守の3人。
大河内は定期公演で
音大の定期公演で、シュトレーゼマンは「Aオケ」(上手い学生だけで構成したオーケストラ)を指揮し、千秋は「Sオケ」(落ちこぼれ?で構成されたオーケストラ)を指揮して対決(?)することに。因みに、千秋は指揮者を目指しているけど、在籍しているのはピアノ科。指揮科の大河内は、シュトレーゼマンがピアノ科の千秋にSオケの指揮を任せていることに不満タラタラ。
Aオケの練習で、シュトレーゼマンが練習をサボって出掛けようとするので、「用事があるなら代理で指揮させて下さい」ってシュトレーゼマンに頼み込むのですが、けんもほろろに断られ。
そして定期公演の当日、(前座で?)千秋が指揮するSオケが演奏し拍手喝采を浴びます。その演奏を見て、大河内は「あんな下品な演奏、子供だましだ!!」って叫んでいます。
続いてAオケの出番で、そんな大河内にシュトレーゼマンは、「曲、勉強してあるんだよねぇ?」と声をかけます。大河内は「もちろん!! 完璧ですよ!!」と答えます。
「じゃあ、ボクの代理よろしくネ」とシュトレーゼマン。「はいっ、チャンスですヨー」って言いながら楽譜と指揮棒を大河内に手渡し、「お腹が痛くなったので、帰って寝るー」と去っていきます。
そしてAオケは、大河内守の名とともに、伝説の(悪夢の様な)舞台を作り上げてしまいます。
千秋は夏の音楽祭で
時と場所が変わり、長野で開催される夏の音楽祭。そこにシュトレーゼマンは公開セミナーの講師として呼ばれ、弟子の千秋も同行し、マネージャーの代役としてこき使われています。ある日、二日酔いで体調絶不調のシュトレーゼマンは、午後の練習の指揮に千秋を指名します。
千秋は、「無理です。先生の代わりなんて!」と尻込みしますが、シュトレーゼマンは「勉強・・・・・してあるんデショ? 千秋」と。
そして午後の練習で、千秋はシュトレーゼマンの代役を素晴らしく上手にこなしていきます。
そんな千秋の姿を見ながら峰龍太郎(バイオリン科の学生で千秋の友人)は思うんです。「この曲、千秋は完璧に勉強してあった」と。
「あいつはスゴイやつだけど、いつもそれなりの努力はやってんだ!」
どれだけ勉強してあったとしても、シュトレーゼマンが急病(二日酔いだけど)にならなかったら、千秋に指揮するチャンスなんかなかった筈です。
チャンスの神様は前髪しかない
昔々、あるセミナーで「チャンスの神様は前髪しかない」という話を聞きました。チャンスの神様が向こうから歩いてきたら、自分の目の前に来た時に神様の前髪を掴まないと、神様が通り過ぎてから慌てて後ろ髪を掴もうとしても掴めないよって話です。
前髪を掴む(掴める)というのは、常にその時のための準備や努力をしているってことです。
チャンスが目の前にやってきた時、慌てて努力しても遅いんです。こちらの準備が整った時には、そのチャンスは既に過ぎ去ってしまっています。
「私にやらせて下さい!」って主張しながら何の準備もしていなかった大河内と、そんなチャンスが巡ってくるとは思ってもいなかったのに完璧な勉強をしていた千秋。
成功する人と、成功出来ない人。ここにその違いが端的に表現されています。
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