「1000円のヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)が売られているらしい」。筆者はHMD関連の取材を進めていくうちにこんな情報を入手した。そのHMDとは、スマートフォンと組み合わせてバーチャル・リアリティ(VR)映像を体験できるダンボール製の「ハコスコ」だ(写真1)。
HMDは頭部に装着するディスプレー装置のことで、米オキュラス VRの提供するオキュラスリフト(写真2)や、ソニーの提供するHMZ-T3などがある。韓国サムスン電子も、米オキュラスと共同開発したHMDを2014年12月に発表している(関連記事:Samsung、VRデバイス「Gear VR Innovator Edition」を米国で発売)。
VR映像とは、 コンピュータグラフィックスや実写の映像などをディスプレーに投影して、あたかもその場にいるかのような体験ができる映像のこと。例えばHMDのディスプレー部分に、住宅の内部から見た映像を投影して、住宅の内装を仮想的にチェックするなどの実用例がある(関連記事:ヘッドマウントディスプレーでバーチャル住宅内覧が実用化)。
ハコスコは、理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チームの藤井直敬チームリーダーが、2014年7月に創業した同名のベンチャー企業が提供するHMDだ。名前の由来は「箱+スコープ」。レンズをつけたダンボールと、スマホを組み合わせることで、手軽にVR映像を体験できるという(写真3)。なお1000円の段ボール製のほかに、3000円のプラスチック製「ハコスコDX」もある。ハコスコならば「スマホの性能でも、十分にバーチャルな映像を体験できる」と藤井氏は言う。