ジュニパーネットワークスは2008年2月14日,イーサネット・スイッチの新製品「EXシリーズ」の説明会を開催した。製品自体は既に2008年1月29日に米国で発表している。今回,日本国内に向けて,あらためて説明するための場を設けた。
同社の出発点は,インターネット接続事業者(ISP)などのコア・ネットワーク用高速ルーターを中心に提供してきたルーター・ベンダーである。その後,セキュリティ・アプライアンス,WAN高速化装置なども手掛けてきた。しかし,スイッチ製品については,これまで提供してこなかった。今回のEXシリーズで,初めてスイッチ市場に参入することになる。
説明会の冒頭で,同社日本法人の大須賀雅憲代表取締役は,「スイッチ市場参入は数年前に決断した」と述べた(写真1)。今回のスイッチ市場参入に当たり,WAN高速化装置の場合とは異なり,買収ではなく自社開発によってラインアップをそろえることにした。「一時,ジュニパーが米ファウンドリーネットワークスや米エクストリーム ネットワークスといったスイッチ・ベンダーを買収するといううわさが流れた。しかし,企業買収によってスイッチ製品をラインアップに加えた場合,OSの統一が難しい。長期的に見ると,自社開発の方がメリットが大きいと考えた」と説明する。同社は従来のルーター製品に「JUNOS」と呼ぶルーター用OSを搭載してきたが,今回のスイッチ製品にも同じJUNOSを搭載するという。
製品の概要については,同社AT営業開発本部の短田聡志本部長が説明した(写真2)。EXシリーズは「EX 3200」,「EX 4200」,「EX 8200」の三つのラインアップで構成されている。ボックス型のEX 3200とEX 4200は2008年3月中旬に出荷を始める予定。シャーシ型のEX 8200は2008年第4四半期に出荷を開始する予定だという。
同氏は,EXシリーズの特徴として,「高信頼性」,「仮想化」,「セキュリティ」,「見える化」,「グリーン」――の5点を挙げた。
高信頼性については,アップリンク・モジュール,PSUモジュール,ファン・モジュールなどをホット・スワップできるようにしたり,様々な冗長化を加えたりするなどの工夫を施した。とくに,ファン・モジュールには三つのファンを搭載し,このうち二つのファンが壊れても残り一つで運用可能だという(写真3)。
また,仮想化については,複数台のスイッチをスタックし,仮想的なシャーシ型の大型スイッチのように運用できる「バーチャル・シャーシ」という機能をEX 4200に搭載した。従来のスタッキング技術に比べ,スイッチ間の帯域を128Gビット/秒と広帯域にすることで,シャーシのバックプレーンのように利用できるようにした。また,ケーブルを延長することで,離れた場所にある複数のスイッチを1台のように扱えるという。
日本国内の参考価格は,EX 3200(10/100/1000BASE-T×24ポート,8PoE)が72万円,EX 4200(10/100/1000BASE-T×24ポート,8PoE)が114万円である。基本機能としては,レイヤー2のスイッチング機能と,RIPとOSPFによるルーティング機能を備える。BGP,IS-IS,IPv6,MPLSの機能はオプションとして提供する。
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