マイクロソフトが5月30日に開催した,オフィス・スイート次期版「2007 Microsoft Office system(Office 2007)」に関する説明会「Reviewers Workshop」に基づき,8回に分けてOfficeの新機能を紹介する。今回は,変換エンジンを変更してくだけた言い回しなどでの誤変換が減ったという「IME 2007」について説明しよう。
マイクロソフトによればIME 2007における機能改善点は,(1)くだけた言い回しでの誤変換を減らしたり細切れ入力での変換精度向上を実現する新しい変換エンジン「Trigram/SLM(Statistical Language Model)」の採用,(2)Outlookの連絡先と連携して人名の変換候補を連絡先から引いてくる「拡張辞書」の搭載,(3)過去に何回か入力した文字列を再度入力する際に,入力の途中でその入力結果を予測して候補を挙げる「予測入力」機能の搭載---などであるという。
(1)の変換精度の向上に関しては,マイクロソフトは表1のような例を挙げて,旧バージョンの「IME 2003」よりも変換精度が上がったことをアピールした。IME 2007では,前後の文章を考慮してより正確な候補を挙げられるようになったという。
表1:IME 2007で一発変換できるようになった表現
(2)のOutlookとの連携機能は,人名をより確実に入力するための機能である。人名の読みを平仮名で入力して変換すると,候補としてOutlookの連絡先に登録されている人名がリストアップされる(写真1)。
IME 2007が,変換時にリアルタイムでOutlookの連絡先を読み込んでいるわけではないようだ。同機能を実現する辞書は「アドレス帳人名辞書(姓)」「アドレス帳人名辞書(名)」という名称でIMEの辞書フォルダ(C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\IME12\IMEJP\DICTS\)に保存されていた。何らかのタイミングでOutlookの連絡先を読み込んで,辞書ファイルに保存しているようだ。
定型入力を簡略化する「予測入力」
(3)の予測入力は,ATOKのほか携帯電話の日本語変換ソフトで既におなじみの機能だろう。「いつもお世話になっております」「よろしくお願い申し上げます」といったフレーズを何度も入力していると,次に「よろしくお」と入力しただけで写真2のような予測した候補が表示される。ここで「TAB」キーを押すと,文章が補完される仕組みだ(写真3)。
写真2:フレーズの一部を入力すると続きを予測してくれる
写真3:TABキーを押すと予測に基づいて文章が補完される
IME 2007のプロパティを確認したところ,予測入力に使用する「入力履歴」は,デフォルトではメモリーに保存されていた(写真4)。OSを再起動するたびに履歴がクリアされるため,予測入力の利便性はデフォルトではあまり高くない。写真4の画面で,履歴をファイルに保存するよう設定すると,OSを再起動しても履歴がクリアされなくなる。
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