競争優位を生み出す商品デザインを解説する専門誌、日経デザインは、米アップルが韓国サムスン電子を訴えたデザイン訴訟について詳しく調べ上げた。第1回の今回は外観のデザインパテントや商標の争点について取り上げ、次回の第2回ではインターフェースに関する争点を解説する。第3回ではサムスンの反論を紹介、第4回ではこの大係争が今後の商品デザインにどう影響を及ぼしていくのかについて考える。
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米調査会社IDCが2011年8月4日に発表した4月から6月期のスマートフォン(多機能携帯電話)の世界出荷台数で、これまで首位を維持していたフィンランドのノキアを初めて追い落とし、米アップル(以下アップル)が前年同期比2.4倍の2030万台で首位に立った。
そして2位には、前年同期比4.8倍の1730万台を出荷した韓国サムスン電子(以下サムスン)が浮上し、アップルを追い上げている。スマートフォン市場で、この2強による新たな覇権争いが勃発した。
アップルとサムスンの2社は、市場競争とは別の場面でも激しい闘争を展開し始めた。それが、特許などの知的財産権を武器にした、司法の場だ。両者はiPhone用のチップの供給を通じてかつては蜜月を経験した間柄。しかしそれがいまや果てなき法廷闘争を繰り広げるにまで関係が悪化している。
事の発端は2011年4月にアップルが、同社が持つiPhoneやiPad関連の知的財産権を侵害したとして、サムスンを米国カリフォルニア州北部連邦地方裁判所に提訴したことに始まる。
このアップルの提訴に対して、サムスンはわずか1週間で反応。日本、韓国、ドイツの各国で、サムスンが持つ通信技術に関する特許などを侵害したとして、アップルを提訴した。その後訴訟合戦は世界を舞台に広がりを見せている。