「取引先からセキュリティについて確認された」「最近社員が増えて、サーバーやクライアントパソコンの管理が大変」「退職した社員のアカウントが残っていていまだにアクセスできるらしい」──。こんなことが、身の回りで起こっていないだろうか。
セキュリティ強化の要求に応える、小規模でも導入の効果あり
セキュリティを強化したり、クライアントやサーバーの管理の負荷を軽減したりしたいなら、Active Directoryが役に立つ。Active Directoryは米マイクロソフトが開発したディレクトリーサービス。社内ネットワークの資源(ユーザーやコンピュータなど)を一元的に管理できるようになる。
一般的に、大規模なネットワークほどActive Directory導入のメリットが大きいと考えられている。実際、マイクロソフトがWeb上でアンケートを実施(回答数は256社)したところ、500人以上の規模の企業では約8割が導入済みだったという。
とはいえ、小規模でも役立つことは間違いない(図1)。約20台ほどのクライアントパソコンを抱える北陸マックスでは、Active Directoryを活用してログオン時のパスワード入力の徹底や、データのバックアップなどをしている。ネットワーク管理者であるメンテ部係長の荒川 信寛さんは「いろいろトラブルもありますが、セキュリティが向上し、パソコンの故障時の対応も楽になりました」とメリットを語る。
一般にActive Directoryは、サーバー(ドメインコントローラー)を2台用意して冗長化するため、小規模ネットワークだとコスト面で導入がためらわれがちだ。しかし、最近は「仮想サーバーによって導入のハードルは下がっています」(大塚商会 技術本部システム技術部門テクニカルソリューションセンターMSソリューション課 課長の板垣 智和さん)
そこでこの特集では、Active Directoryの基礎と活用方法を紹介する。大規模ネットワークの管理者なら、改めてActive Directoryの仕組みや活用法を確認するのに役立ててほしい。小規模ネットワークの管理者には、管理やセキュリティ対策の悩みを解決するためのヒントになるだろう。