高速起動Linux「Splashtop」の開発ベンダーが、米Microsoft社と提携してWindowsと共存できるOSを公開した。起動には機種依存の制限が掛かっているが、仮想化ソフトの「VMware Player」を使えば試用可能だ。

 2010年12月1日、Webアクセスに特化した新たなOS「Splashtop OS」のベータ版が公開された。わずか数秒で起動と高速化を図り、利用できるアプリケーションをWebブラウザに限定したOSである。手早くWebやメールをチェックする用途を想定している(写真1)。

写真1 「Splashtop OS」のデスクトップ画面
写真1 「Splashtop OS」のデスクトップ画面
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Windowsと共存して使うOS

 Splashtop OSは、米Splashtop社(旧DeviceVM社)が開発したLinuxベースのOSである。ただし、他のLinuxディストリビューションと違って、Windows環境と共存して使うことが前提となっている。単独のOSとしてパソコンにインストールすることはできない。インストールもWindows環境から実行する。共存するWindows環境からブックマークをインポートすることができる。

 元々Splashtop社は自社開発した高速起動のLinux「Splashtop」を、パソコン関連メーカーを中心にOEM(相手先ブランド製造)で提供していた。台湾ASUSTeK Computer社のマザーボードに組み込まれた「ASUS ExpressGate」、レノボ社のノートパソコンに組み込まれた「Lenovo Quick Start」などが有名だ。

 SplashtopのWebブラウザはオープンソースのFirefoxをベースにしていた。今回公開したSplashtop OSでは初めてChromiumを採用した。Chromiumを採用したブラウザOSには「Chromium OS」もある。共通するのはWebブラウザとしてChromiumを採用している点だけだ。インストール方法、起動方法、ファイルシステムなどの違いを見ていくと、Splashtop OSとChromium OSは全く異なるOSであることが理解できるだろう(表1)。

表1 2つのブラウザベースOS「Splashtop OS」と「Chromium OS」の違い
表1 2つのブラウザベースOS「Splashtop OS」と「Chromium OS」の違い
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 特に、ソースファイルをコンパイルしてインストールするChromium OSに対して、Splashtop OSはWindows上からインストーラを起動するだけでインストールできる、という違いは大きい。簡単に導入できるので、より多くのユーザーに受け入れられそうだ。