アプリケーションの迅速な改善を可能にする「マイクロサービスアーキテクチャー」。国内でも金融機関や伝統企業が導入するなど、本格的な普及期に入りつつある。ただし既存システムへの適用では、アプリケーションを独立性の高いサービスに切り分けるといった難題が立ちはだかる。どうすればうまくいくのか。最新の事例から成功の秘訣を探る。
ジェーシービー(JCB)は2年ほど前からマイクロサービスに取り組み、実績を上げてきた。「現在は1割ほどの開発案件で、マイクロサービスに基づいたアジャイル開発を推進している」。片岡亮介デジタルソリューション開発部部長はこう話す。
マイクロサービスに初めて取り組んだのは2020年。その目的を片岡部長は「クレジットカード会社として顧客や企業により良いサービスをより俊敏に提供する手段としてアジャイル開発とともにマイクロサービスを採用した」と説明する。
最新技術を取り入れた背景には、スマートフォン決済サービスに代表される新規参入企業との競争激化がある。「負けないためにチャレンジが必要」と片岡部長。ウオーターフォール型開発では影響調査に時間がかかり、変化に迅速に対応するのが難しかった。
1つめの開発チームを片岡部長が立ち上げ、1年ほどかけGoogle Cloud上にIT基盤をつくりながら10カ月程度でアプリを開発した。コンテナ管理サービス「Google Kubernetes Engine(GKE)」やサービスメッシュ管理の「Anthos Service Mesh」などで、マイクロサービスの利用環境を整えた。