全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月18日に記者会見を開き、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で発生した障害に関する原因調査の状況などを説明した。
真因は調査中としたものの、事前準備段階で中継コンピューター(RC)が参照するテーブルが破損していたことや、ディスクからメモリーへテーブルを書き出す生成プログラム自体は正常終了していたことを説明した。主な一問一答は以下の通り。
事前準備で一部テーブルに生じた「不具合」とは。
辻松雄理事長:内国為替制度運営費(旧銀行間手数料)を計算する際に「金融機関名テーブル」、ならびに金融機関名テーブルを読み出す「インデックステーブル」が必要になる。このうち「インデックステーブル」が破損しており、一部の金融機関コードが読み取れなかった。
RCの中のテーブルはどのように構築しているのか。例えばRC自体にディスクを接続してRC内で生成処理を実行するのか、別のコンピューターで処理するのか。あるいはネットワーク経由で構築しているのか。
小林健一事務局長兼業務部長:ディスク内のテーブルは同じRCの中で構築準備している。RCの主記憶に生成プログラムをロードし実行することで生成している。生成プログラムによるディスク内へのテーブル展開処理自体は正常終了しており、エラーは発生していない。このディスク内のテーブルを毎営業日、RCを立ち上げる際に主記憶へそのままコピーする形で展開している。
ディスク内のテーブルは「事前準備」とのことだが、更改初日である10月7日より前に作成されていたのか。
小林事務局長:認識の通り、10月7日より前に作成した。
事前準備の段階でテーブルが破損していたのか、あるいはRC更改後に破損したのか。
辻理事長:事前準備の段階でディスク内のテーブルが破損しており、壊れたファイルを主記憶にコピーしてしまっていた。
RC23シリーズではRC17シリーズから環境構築手順を変更したか。
小林事務局長:手順やデータは変えていない。
元々のテーブルのデータに問題があったのか。
辻理事長:金融機関名テーブルやインデックステーブルの中身に問題はない。
テーブルのデータを正しく読み取れなかった際にエラーを出して終了させる仕組みは実装していたのか。
小林事務局長:実装はしている。インデックステーブルの読み込みだけが原因かどうかも含め、(システム障害の原因を)調査する。