ソフトバンクは、さいたまスーパーアリーナで開催中の「バスケットボール日本代表国際試合 International Basketball Games 2019」において、2019年8月22~25日の5試合で5G(第5世代移動通信システム)のプレサービスを提供している。低遅延を特長とする5Gだが、「未来のスポーツ観戦」をうたったプレサービスでは映像などのタイムラグが目立った。
VRやARをフル活用
ソフトバンクが今回提供していたスポーツ観戦体験サービスの内容は多岐にわたるが、5Gネットワークを活用したのは、主に(1)VR(仮想現実)観戦、(2)AR(拡張現実)観戦、(3)タブレット観戦の3つ。
(1)はVRヘッドセットを装着し、会場内の3カ所に設置されたVRカメラの視点を自由に切り替えながら観戦できる。(2)はARグラスを装着すると、実際の試合の光景に別の映像を重ねて付加情報を表示する。(3)では、30台のカメラで撮影した映像から生成した自由視点映像を視聴可能だ。
この他、Dolby Visionを用いたHDR映像とDolby Atmosを用いた立体音響による観戦を体験できるブースを設け、5Gで試合映像をライブ配信していた。
5Gネットワークの周波数には3.5GHz帯の40MHz幅を使い、既存の4Gネットワークに5Gネットワークを組み合わせたNSA(ノンスタンドアローン)の構成としていた。会場内に多数設置したカメラで試合の模様を撮影し、サーバーで処理した映像データをVRヘッドセットやARグラス、タブレットなどに送る部分に5Gを活用。端末には5Gスマホを使用していた。
会場内に設置した5G基地局は1つ。大量のアンテナ素子を用いた「Massive MIMO」技術に対応したもので、会場の6階にあるキャットウォーク(上部にある狭い通路)に設置した。配管などが近くにあり、見通しがよい状態ではなかった。