#つくりおき

一人暮らしをする男性の雑な料理たち

突如、パンを焼く

突然ですが「タミさんのパン焼器 ミニ」(OIGEN)という調理器具を入手しました。「タミさんのパン焼き器」ではなく「タミさんのパン焼器」です。「き」の有無が気になる。

「ミニ」(内径14cm、深さ5.5cm)はだいぶ昔に発売されていたもののようで、今は廃番となり、現在は「タミさんのパン焼器」と「タミパンクラシック」のラインアップとなっています。

「タミさんのパン焼器 ミニ」を購入したきっかけはこちらの記事です。

srdk.rakuten.jp

2016年4月の記事ですが、ふとしたきっかけで最近再読し、「ちょっとやってみたいな……」と思ってしまったのです。パン焼きを。

パンを焼くキャラではない

私の過去の「#つくりおき」を見れば(あるいは昔から私のことをご存じの方は)、私が製菓・製パンを含む料理一通りを全くやらないことをわかっていただけるかと思います。いわゆるスペックを書いておくと、共働き(概念としての独身男性ではある)で夫はシフト制・私は土日休み、普段は夫が晩ごはんを用意することが多く、簡単なものを作るかお総菜やお弁当を買うか、朝はチーズトーストで統一、という生活を送っています。二人とも「日常的に食材を組み合わせて料理をする」という感覚があまりなく、家でごはんを食べるために電気圧力鍋などを使っておかずを作り、ごはんを炊いて食べる。たまに私がいわゆる「漢の料理」をやりたくなってかたまり肉をやるなどします。

私は料理独特の用語をあまり理解できる方ではありません。「さっくり混ぜる」は今でも苦手な感覚だし、「一晩漬けておく」「肉を常温に戻す」が書かれているレシピは避けて通ります。

そんな状態ですから、計測や温度管理に厳格なお菓子作りやパン作りが向くはずがありません。「さっくり混ぜる」は頻発、「生地をまとめる」「大きな固まりがなくなるまで」は意味がよくわかりません。

一時お菓子作りをやってみたくなり、レシピの文章にあまりに納得がいかないので、先にお菓子を科学的に解説する本を買って読んでいました。最近は目を通してはいませんが、いつかまた私の中にお菓子熱がやってくる時のために、以下の本は本棚に丁寧にしまってあります。

1月に体調を崩していた

そんなこんなで先日の年末年始も、一切おせち料理を準備することなく、餅も焼かず、お雑煮も食べず、普通の食事で過ぎ去っていきました。

1月の第2週、私は突如体調を崩しました。具体的には胃の調子が激烈に悪い。昨年11月頃にも胃腸炎になってしまって2日ほど寝込んだのですが、それと似ているようでいて似ていない。胃酸過多かなぁ、と思いながら胃腸薬を飲んでやり過ごしていましたが、胃がきゅっと締め付けられるような感覚や、吐き気、食べられる量が激減するなど、明らかに胃腸炎の時よりひどい。

私も年が年ですから(今年48歳の年女)、まあ胃の調子がよくないくらいは普通に起こり得るだろうと当初は気楽に横になっていたものの、あまりに調子の悪さが続くので徐々に不安になってきました。私が敬愛する故・逸見政孝アナウンサーは、48歳でスキルス胃がんのため亡くなっています。胃の不調を訴え受診した時にはもう末期がんだった逸見さんの生き様は、当時まだ高校生だった私に深い衝撃を与えていました。その逸見さんと同じ年に胃を悪くする、というのは、私にとってはちょっとした「死」への連想を与えるには十分なものでした。

幸い、胃カメラを含む病院での各種検査では「とりあえず何の問題もない」ことがわかり、私の不安は杞憂に終わりました。とはいえ調子がよくないのは事実なので、経過観察へと移行。胃の薬を毎日飲んで1ヶ月に1回ほど受診をすることになりました。

今となれば少し会社と交渉して長めに有給休暇でも取ればよかったな、と思うのですが、「これくらいの不調で仕事を休むわけにはいかん!!!」という強固な私の思い込みにより、平日は(私にとっては)必死に業務をして、夜は早めに寝て、朝は胃の調子が非常によくないため少し遅く始業し、土曜・休日になると横になって過ごす、という日々が続きました。

ようやく薬が効いてきたのか1月下旬には食べられるものが元通りになり、2月頭には簡単な外出にも耐えられるような身体に戻りましたが、正直遠方へ出かけたり旅行をしたりするにはちょっと気力が足りない。

そこにふと入り込んできたのが、冒頭の記事でした。パン焼き器楽しそう。家で大人しくしながらできるし、もともと料理は得意ではないのだから別に失敗しても捨ててしまってよい*1。長い不調と家にいる時間が長いことからちょっとした“断捨離”気分になっていて、古くなった調味料などを捨て始めていたこともあり、気分新たに近所のスーパーとカルディで材料を買いそろえたのでした。

「タミさんのパン焼器」を買えばよいという選択肢もありましたが、夫がいない(上記の通りシフト制)時に一人でやってみたいと考えていたため、ネットで調べて存在を知った「ミニ」を選択。廃番になっているのでメルカリを使って購入。数回使用して外装はないもののきれいな状態で我が家にやってきました。

さて、タミさんのパン焼器 ミニでパンを焼こう

当初は気力が十分でなく、ブログにレポートを書く発想もなかったため、突如調理中の逆さまの写真からスタートです。まずは付属の取扱説明書にあったパンケーキのレシピにチャレンジ。

材料を混ぜて焼くだけなので、大変簡単です。とはいえ未知の調理器具なので勝手がわからず、分量外のバター*2を鍋の内側に丁寧に塗り、材料を混ぜたものを流し込んで、ごく弱火で10分ほど焼きます。

見てくれは多少悪いですが、公式レシピでの「基本のパンケーキ(プレーン)」の出来上がり。なんだか昔懐かしい味の焼き菓子を食べた感じで、おいしかったです。

そして本番(?)のパンに、本日チャレンジいたしました。

参照したのはこちらのレシピです。ちゃんとレシピを最後まで読み込み、分量外のものもチェックしておきます。料理ができない民はちゃんとレシピを読むべきだ(そしてよくわからない用語でもだえる)。

cookpad.com

料理ができない民はレシピのアレンジをすべきではないとわかっているのですが、プレーンヨーグルトだけ、基本のパンケーキのために買った牛乳に差し替えました。牛乳をほとんど飲まないので少しずつ消化していくしかないんだよ……。

パンを作らない人生を送ってきたので「一次発酵」「二次発酵」も当然わかりません。ぐぐっていくつかの検索結果を見て、「一次発酵は30℃で40分」「二次発酵は40℃で30分」と決め、レシピ通りに材料をこね、結婚祝いに前職の同僚からいただいた2006年製電子レンジの「発酵」機能を生まれて初めて使い、発酵を進めます。ぜいたくな土曜の時間の過ごし方といえますね。

二次発酵後の様子がこちら。パンだねを5等分するはずが5等分にできなくて偏っています。360°のパンだねを5等分ってなんだよ。人力じゃできねえよ。

ごくごく弱火(最弱)で15分焼きます。

いい匂いがしてくるかな?と思っていましたが、弊家では調理中はがんがんに換気扇を回す掟があるのであんまりよくわかりませんでした。単に経験の不足からくる嗅覚の未発達かもしれない。

一次発酵と二次発酵が写真の通りにうまくいかなかったので、焼き上がりが心配でしたが、15分後、見事に膨らんでいました! ちょっと膨らみすぎでは????

ひとまずうまく焼けたようなので、ひっくり返してふたの方を10分、これも弱火で焼きます。一度10分後にふたを開けたらまだ焼き色が付いていなかったので、10分追加で焼きました。

焼けたらこんな感じ。もうちょっと焼き色がつくと格好いいような気がしますが、初めてなのでこれでよしとします。

ふたの上にひっくり返すとこんな感じ。まあまあうまいこといったのではなかろうか。

お皿に移します。「5等分する」の意味があんまりよくわかっていなかったのですが、パンっぽく手でちぎれるようにするためだったのですね……自動的にちぎれてびっくりした……(合ってる?)……確かに切り込みがないとパン焼き器から取り出しにくかったかもしれない。

コーヒーと一緒に記念撮影。

この後、半分食べて、半分は明日の朝ごはんのために冷凍しました。パンが冷凍できるのは市販のパンで知っていたけど、作っておいて冷凍するってこともできるんだなー。パンすごい。

メーカーであるOIGENのサイトの「タミパンヒストリー」を読むと、タミさんのパン焼器の歴史にある通り、簡単にパンを焼いて食べられるように工夫してあるんだなとよくわかります。思いのほか簡単だった。

oigen.jp

KPT

  • K
    • 気合を入れなくても気軽な気持ちで焼ける
    • そんなに凝った材料がなくても焼ける
  • P
    • 明らかに画像と比べてこね方が足りない
    • 生地とかパンだねとかを怖がっている
      • 手に生地がくっつくのが苦手なのです
    • 発酵はもうちょっと攻めてもよかったっぽい
  • T
    • もっとがしがしこねる
    • 発酵の温度と時間をアグレッシブに設定する

*1:実は「料理を失敗してもよい」という思考様式に至るまでに非常に長い戦いがあったのですが、これ以上長くなるのは本意ではないので割愛します。詳細は「Cooking for Geeks」という本に書かれていますのでもしご興味があれば読んでみてください。要は「失敗したらピザを食え」です。

*2:これも苦手な料理用語の1つ。分量なくてもいいからレシピに書いてあってほしい。書いてあるものもあるけど。