fc2ブログ

大事なのは相手のことを知ろうと努力すること。その先に優しさや思いやりが生まれる。「葬送のフリーレン」

毎日生活している中で大なり小なりいろんな問題について、ああでもないこうでもないと自問自答を繰り返しているのが人間なんだと思います。動物たちも日頃、腹減ったなあとか、あの子カワイイなあとか、人間と同じようなこともそれなりに思っているのかもしれませんが、それ以外にも思慮深く何かに想いを巡らせたりはしているのでしょうか?自分や周りの世界に様々な考えを巡らせながら行動して生活しているのが人間なんだと思います。

自分が人あるいは人間である事は何の疑う余地もなく、私は人間という存在を深く掘り下げないでこれまでを生きてきました。人間は考える生き物であると言われていますが、自分のことだけでなく他者のことを気遣いながら生きて行けるのがより人間らしい人間なんじゃないかと思います。中には自己中な方々もそれなりはいらっしゃいますが。

私たち人間はこの世に生まれてから平均でも70~80年は生き長らえます。生物界の中では寿命においても知的生命体としても人間が最上位の生物だと誰もが当たり前に思っているでしょう。これは人間を上回る生命体が今のところこの地球上に存在しないからに他なりません。もしも、人間よりも優れた知的生命体がいたら・・・

そうした存在がいたとしたら人間はその存在と人間を比較しながら人間の優位性について意識せざるを得ないようになり、どうにかその存在より上回ろうとするんじゃないでしょうか。

最近ですが、話題の「葬送のフリーレン」というアニメを観ました。エルフという1,000年は生きる種族が人間世界で共存しているアニメです。全28話の作品ですが、観ている最中も、そして観終わった後にもまず思ったのがそうした人間という存在全般についてです。

人は生活していく中で自分ばかりではなく他者にももっと関心を持ち、互いを敬いながら生きて行くべきじゃないか?これから先を生きるものはまもなく死を迎える人たちの生きた証を次世代に伝えていく使命を持っているのではないか?先代がどう生きて何をこの世に残したかを周りの人たちが記憶に留め、バトンリレーで次の時代へ継承していく、こんなことが人間の本来の在り方ではないのでしょうか?

人間は一人では生きて行けない分、そうした人間らしいふるまいを心がけながら周りの人間と共存・共栄していく。人間よりも長く生きるエルフの目から観た人間とは?を傍観する、人間自体にフォーカスを当てたとてもユニークかつヒューマニックな作品です。

葬送のフリーレン4

この作品は昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」の枠を使って、物語のオープニング4話分が一挙に放送されるという異例の新作アニメのスタートをかざったことでも話題となりました。その後の日本テレビの「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が10月26日~2024年3月22日の期間で全国放送されました。

物語は”ファンタジー”系作品です。人間界を陥れる存在の魔界の魔王を討伐するために結成された4人の勇者パーティー。彼らが10年の月日をかけて世界を旅し、ついに魔王を討伐して世界に平和が訪れます。そして物語は討伐後の勇者パーティーの後日譚からスタートします。パーティーメンバーの一人である1,000年は生きるエルフ族”魔法使いのフリーレン”が本作品の主人公です。

勇者パーティーで過ごした10年間は彼女にとってはほんのまばたき程度の一瞬の出来事と感じていたのに対して、100年も生きられない人間にとっての10年間とは感覚的にも大きな隔たりがあり、フリーレンは深く考えずに50年後にまた会おうと他の勇者メンバーに再会を約束しながら別れを告げて魔法収集の一人旅に出かけます。

50年後にフリーレンはパーティーメンバーと再会を果たしますが、400年は生きるドワーフ族の戦士メンバーを除く勇者と僧侶のメンバーは確実に年老いていて、その後まもなく勇者がこの世を去ります。彼を墓地に埋葬する際に初めてフリーレンは彼と共に過ごした10年間以外で彼について何も知らない事に気づかされ、後悔して涙を流します。どうしてもっと彼を知ろうとしなかったのか?彼女は再び旅に出るのですが、魔法収集に加えて人間の事をもっと知ろうとする事が旅の目的となっています。

そしてそこから始まるその旅がこの物語の中心になっていきます。彼女が人間たちと一緒に過ごした日々の出来事を通して人間たちを観察した事柄がこの物語のベースになっています。

人生の中での限られた人との出会いと別れの必然、その中での人との関りの奥深さ、そしてそれらをひとまとめにした人間の素晴らしさを様々と魅せてくれる作品です。この作品に触れると人間同士の付き合い方だけではなく、日々を淡々と生きて行くことのもったいなさ、限りある時間をいかに有意義に過ごすしていくかなどについてもいろいろと考えさせられる物語です。

各話ごとに名言だなあって思える会話がちょくちょく出てきたりもしますのでそのあたりにも注目してご覧いただけたなら幸いです。言い方は悪いですが、とても少年漫画誌で連載中の作品とは思えないぐらいに繊細で心の琴線に触れるお話がたくさん詰まっているのでとても共感できます。フリーレンが人間を知ろうと努力する姿にも共感できますし、登場人物が発する一言二言にすごく重みが感じられますね。

序盤は勇者パーティーによる魔王討伐後に訪れた平和な世界とさらにそこから50年後の穏やかなお話で始まり、さらに20年後のお話へと続きます。その後はフリーレンと弟子たちとの新たな魔法収集の旅での出来事が中盤となります。中盤以降で行く先々でバトルも繰り広げられます。戦闘シーンもあれば、また新しい人との出会いも描かれています。コミカルパートの面白さ、そしてシリアスパートの魅せどころと両方あって、バランスもとれた見応え充分な作品です。それでは最初の1話だけご紹介しますね。

葬送のフリーレン1

魔王を討伐するために4人の勇者パーティーは結成された。勇者・”ヒンメル”、戦士・ドワーフ族の”アイゼン”、僧侶・”ハイター”、魔法使い・エルフ族の”フリーレン”。勇者一行は10年の長い年月を共に旅し、そして彼らは遂に魔王を見つけ出し、4人の総力で魔王討伐を成し遂げた。人類の悲願であった平和が世界にもたらされたのだ。

勇者ヒンメル一行は王都へ帰還。街を挙げて彼らの盛大な凱旋パレードが取り行われた。魔王討伐達成を王様へ報告し彼らの使命は無事に果たされた。夜は街中で祝宴が繰り広げられた。4人はこの10年の思い出を語り、終わりを告げた旅を懐かしんだ。ヒンメル、アイゼン、ハイターの3人は各々が冒険した10年を振り返りながら、これからのそれぞれの人生に想いを馳せていた。

すると、夜空に50年に一度の周期で降る”エーラ流星群”が流れ始めた。「きれいだな。」ヒンメルがつぶやいた。「街中だと見えにくいね。」とフリーレンが水をさす。「人が感動しているんだ。空気を読みたまえ。」とヒンメルは返した。1,000年を生きるフリーレンにとってはその10年はあっという間の出来事でしかなかった。人間にとってはとてつもなく長い年月だけど月日の重みを感じていないフリーレンは「じゃあみんなで50年後、もっときれいに見える場所知っているから案内するよ。」そう答えた。それを聞いたヒンメルは笑いながら「そうだな。みんなで観よう。」と感慨深げにそう答えた。

翌朝、エルフのフリーレンは感慨にふけることもなく3人に別れを告げ、また魔法探求への旅へと向かった。月日は流れて50年後、みんなとの約束のためフリーレンは再び王都を訪れた。50年後の勇者・ヒンメルは体つきも小さな老人になっていた。僧侶・ハイターは白髪交じりで貫禄のある僧侶姿に変わっていた。戦士・アイゼンは人間よりは長生きなドワーフ族のため、見た目にはほとんど変わりはなかった。フリーレンの知っているエーラ流星がきれいに見える場所までは1週間ぐらいかかるらしい。

そして4人はエーラ流星を観るために再び冒険の旅に出た。途中で出くわす魔物も退治しながら4人は目的地に到着した。夜空に降り注ぐエーラ流星を眺めながらヒンメルは、「みんなで最後の冒険が出来たことに感謝しているよ。」とフリーレンに気持ちを伝えた。4人は50年後の約束を無事に果たすことが出来た。それから間もなくしてヒンメルがこの世を去った。

葬儀の際に涙1つこぼさないフリーレンを観た参列者から薄情だとの非難をフリーレンは受けた。しかし、ヒンメルを墓地に埋葬する際にフリーレンは、勇者パーティ以外でのヒンメルについて何も知らず、また知ろうともしなかったことに気づき後悔して涙を流した。フリーレンはこのことをきっかけに、人間を知るためと魔法収集のために再び旅に出た。

そこからさらに20年後、フリーレンはハイターを訪ねた。ハイターは戦災孤児の少女”フェルン”を引き取り一緒に生活をしていた。先行き短いハイターは魔法使いとしての素質があるフェルンをフリーレンの弟子にしてはもらえないか、と頼み事をする。しかしフリーレンはその頼み事を断った。見習い魔法使いの旅先同行での死亡率は高いため、足手まといにしかならないことが理由のようだ。ハイターはそれを聞いて思いのほかあっさりとそれを承諾した。

その代わりに5年ぐらいはかかるであろう魔導書の解読と、その合間にフェルンに魔法を教えてほしいと再び頼み事をする。フリーレンはかつての勇者パーティ―でハイターにいろいろと借りもあることからその頼み事を承諾する。ハイターの代替案の意図するところは一体何なのだろうか?(第1話)

葬送のフリーレン6

この作品は、漫画家・”山田 鐘人”さんによる同タイトル漫画が原作で、作画は漫画家・”アベ ツカサ”さんが担当、「週刊少年サンデー」の2020年22・23号合併号に掲載され、現在も連載中です。2021年には第14回マンガ大賞、第25回手塚治虫文化賞新生賞受賞。2023年には第69回小学館漫画賞、2024年には第48回講談社漫画賞などを立て続けに受賞するくらいに評価されている作品です。

その後アニメ化され、昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」4話、10月26日~2024年3月22日で日本テレビ「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が全国放送されました。インターネットでは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”U-NEXT”、”Hulu”、”FOD”、”ABEMAビデオ”、”バンダイチャンネル”他で配信されております。監督/”斎藤 圭一郎”さん、シリーズ構成・脚本/”鈴木 智尋”さん、キャラクターデザイン/”長澤 礼子”さん、アニメーション制作は”マッドハウス”。

声優さんは主人公・フリーレンが「SPY&FAMILY」/アーニャ役、「わんだふるぷりきゅあ!」/犬飼いろは・キュアフレンディ役を演じた”種﨑 敦美”さんです。普段の地声にはあまり特徴がない声優さんなのでそれぞれの個性のある役どころを聴いても種﨑さんだとは思えないほど振り幅が大きな声優さんです。まさに職人芸と言っても過言ではないくらいに声色を変えてどの役も名演技と言い切れる声優さんです。今回は魔法使いとしては超一流だが、生活面ではだらしなく弟子に面倒を見てもらう、抑揚のないしゃべり方で淡々と話すフリーレンを演じています。

勇者ヒンメルは「とある魔術の禁書目録」/一方通行(アクセラレータ)役、「鬼滅の刃」/不死川玄弥役、「ホリミヤ」/仙石翔役を演じた”岡本 信彦”さんです。割と激しい役どころも多い方ですが、勇者の割にとても穏やかな口調で物腰柔らかく優しさいっぱいでイケメンなヒンメルをさわやかに演じています。

フリーレンの一番弟子となるフェルンは、「機動戦士ガンダム・水星の魔女」/スレッタ役でブレイク中の”市ノ瀬 加那”さんが、普段は冷静沈着で大人びた少女ですが時折見せる気分屋で子供っぽい一面を持つ彼女を上手に演じています。

同じくフリーレンの弟子となる戦士・”シュタルク”ですが、こちらは「マッシュル-MASHLE-」/マッシュ・バーンデッド役でとても強いけれど天然ボケの主人公をコミカルに演じた”小林千晃”さんが、自己肯定感が低いけど努力家でいざとなったら逃げ出さないで弱い者を守る男気のあるシュタルク役をカッコよく演じています。

キャスティングされた声優さんがどなたも役割をしっかりと演じていて、あらためて声優さんの持つ演技力の高さを感じる作品だったと感じました。
 
最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。フリーレンの世界観がしっかりと詰め込まれたミュージックビデオですので作品を観る前と後で二度見して楽しんでくださいね。

オープニングテーマ「勇者/YOASOBI」
エンディングテーマ「Anytime Anywhere/milet」

ストーリー・作画・キャラ・声優・音楽の3方ならぬ5方良し!の文句なし・死角なし・共感ありのこの作品。まだ観てないよって方は今からでも遅くないので是非、ご堪能下さいませ!!

見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。

にほんブログ村

人気ブログランキング

エキゾーストとストップモーションが男の本能を刺激する。峠の伝説・カーバトルストーリーは次世代へ受け継がれる。「MFゴースト」

軽快なユーロビートのサウンドがリズムを刻み続ける中、トヨタ・86は峠を疾走する。かつての峠の伝説・藤原拓海がトヨタ・スプリンタートレノ・AE86で魅せた圧巻の4輪ドリフトを彷彿とさせるその走りは、非力なマシンながら類まれなドライビングテクニックとクールなスピリットで他のモンスターマシンたちの領域に新たな旋風を巻き起こす。

この映像を観て思わず昔観たその記憶と感動が一瞬でよみがえってきた。そう、それは公道最速をめざす奴等達の峠のバトルを魅せつけるアニメ「頭文字D」。ちなみに読み方は「かしらもじでー」ではございません。「イニシャルディー」とカッコよく読んでくださいね。

「頭文字D」 は、「週刊ヤングマガジン」で1995年から2013年まで連載された”しげの 秀一”先生による車の走り屋たちを描いた漫画です。累計発行部数は5600万部を突破。通称「イニD」。
アニメ化もされ、
1998年 4月~1998年12月/1stStage:全26話
1999年10月~2000年 1月/2nd Stage:全13話
2004年 4月~2006年 2月/4thStage:全24話
2012年11月~2013年 5月/5thStage:全14話
2014年 5月~2014年 6月/Final Stage:全4話
の計81話が放送されました。

初回放送は今から26年前にスタートし、10年前に物語は完結・終了という事で、40~50代の男性世代には懐かしいアニメかと思います。曲がりくねった峠道でタイヤを滑らせながら流れる車体、そして車のエキゾースト。そこにユーロビートの音楽がシンクロする。今の時代なら絶対に許されないような危なげな公道での車のバトルに心も脳みそも揺らされた40~50代はそれなりにいたんじゃないかと思います。視覚と音・音楽が脳を刺激するそのアニメーションは大人であってもワクワクが止まりませんでした。しげの先生といえばその前のバイク漫画「バリバリ伝説」も人気を博しましたよね。

頭文字D1

16、17年前の私の日常ですが、よくTUTAYAに行ってイニDをレンタルしては小学生の息子と共に心ワクワクしながら観ていたことを思い出します。息子はさて置き、私は全81話をすべて観ております。その後、リアルでマイカーをチューンナップする方向にはいきませんでしたが、イニDの影響でプレステーション(SONYのゲーム機)の”グランツーリスモ”という、車をカスタマイズしながら自動車レースに出場してレースを勝ち上がっていくシミュレーションゲームソフトを購入、息子共々そのゲームにドハマりしていました。ゲームの中でマイカーを自分好みにチューンナップし、グリップの良いタイヤに替えてドリフト走行していましたね。懐かしい限りです!

主人公・”藤原 拓海”の愛車は”トヨタ・スプリンタートレノ・AE86”(通称ハチロク)。自営業の親父が営む藤原とうふ店のオリジナルチューンナップを施された、とうふ配達用車両である。拓海の親父からスーパー等へのとうふの納品を頼まれる拓海は、チューンナップされたハチロクで配達という大義名分で運転させられ、知らなうちに峠道を走ることで最速ドライビングテクニックを鍛えられる。その峠道は走り屋のメッカであって幾多の走り屋が拓海の走りを見聞きしてバトルを仕掛けてくる。マツダ・RX-7・FD3S、三菱・ランサーエボリューションVII、ニッサン・スカイラインGT-Rなど、当時の日本の人気スポーツ車との激しい峠のバトルが繰り広げられるのであった、とさ。40歳OVERのおじさんにとっては必見の、とっても胸を熱くさせられるアニメなのでまだ観ていない方はCheck it out!です。

実はここまではあくまで序段であって本題はこの先なのですが、イニDは完結しましたが、しげの先生がその後に描いた走り屋漫画がアニメ化され2024年秋アニメとして放送になりました。
「MFゴースト」という作品です。”新公道最速伝説”と謳ったこの作品は、イニDを観ていない方でも速い車が大好きな方なら充分に楽しめる作品です。

しかしながら、イニDで”公道最速伝説”になった主人公藤原 拓海がその後の人生でレーシングスクールのコーチとなり、彼が育てた若者が公道最速を目指すという本作品は、イニDを継承する作品であるため当然、イニDから観た方がその関連性をより理解しながら奥深くこの作品を楽しむことが出来ます。イニDから順を追って観るも良し!MFゴーストを先ずは楽しんでからイニDを観て深掘りするも良し!

MFゴースト1 (2)

世界的に内燃機関自動車(ガソリン車)の生産が中止となり自動車はEV化が主流となっている未来。片や、絶滅危惧種となった化石燃料車のハイパワーマシンで一般車両がクローズドされた公道でのレースバトル・MFGが日本では大人気となり、日本各地で連戦開催されるようになっっていた。MFGは世界中のファン3,000万人に配信される一大モータースポーツである。

箱根を舞台に繰り広げられるMFG第1戦・小田原パイクスピークでは300台を超えるマシンが参戦し、本選に出場できる15台、”神フィフティーンを目指して予選が始まっていた。

イギリスのレーシングスクール出身であるカナタ・リヴィントンこと”片桐 夏向”(かたぎり かなた)は日本の空港に降り立った。日本人の父とイギリス人の母との間に生まれたハーフであり、彼は行方不明の父を探すために日本へやって来た。

17歳の高校生”西園寺 恋”(さいおんじ れん)は、MFGのレースクイーン”MFGエンジェルス”のナンバー7としてプロフィールを明かさずアルバイトをしている。 人を外見では判断しないと豪語する彼女だが、ある日家に帰るとそこには、とても容姿が良くてカッコいい青年がいた。彼を見るなり彼女は不覚にも一目ぼれをしてしまう。彼女の目の前に現れたのは片桐 夏向だった。恋の両親と夏向の母が旧友であったことから夏向は恋の家に下宿することになったのだ。父から夏向を紹介された恋だったが、もやは上の空で父の話は全く彼女の頭の中には届いていなかった。夏向と握手を交わすなり、恋は尋常じゃない胸の内を抑えながらそそくさと自分の部屋へと上がっていった。

夏向は外出し、緒方自動車株式会社を訪れた。その会社は何の変哲もないごく普通の自動車整備会社に見える。しかしながら、社長の緒方はかつてのMFG出場経験者だった。自ら走るより、自分は車をいじる方が性に合っていると彼は自分自身のことをそう語っていた。その時に乗っていた車があるが観て見るか?と緒方は夏向に話す。そして夏向はガレージでその車と対面した。その車は真赤なトヨタ・86だった。3ペダルのMT車であり、夏向はスクール時代に乗っていたタイプと同じなので問題ないと緒方に伝える。

夏向が日本に来た理由を知った恋。夏向が持っていた父と母が若き日に鎌倉で撮ったとされる唯一父が映っている大切な1枚の写真を見せられる。彼は日本に来たら両親の想い出のその場所を訪ねてみたいと思っていたことを恋に話した。それを聞いた恋は、「その場所を一緒に探すの手伝ってもいいかな?」と夏向に提案する。彼女の優しい気持ちに夏向は胸打たれながら感謝し、その提案に同意した。後日、夏向と恋は写真の背景に映っている神社かお寺らしき建物を目印に鎌倉の思しき個所を訪ねてみた。けれど、そこは違っていた。神社・仏閣が多い街、鎌倉。せっかくなので、二人は神社でお願い事をして帰路に着いた。

MFG第1戦・小田原パイクスピーク予選7日目。恋は出走ゲートの前でエンジェルス”のナンバー7として何も知らずにボードを頭上にかかげて立っている。実況者からのアナウンスが流れる。「次は初出場のルーキーが登場です。86号車はイギリスからやってきたチャレンジャー 、かたぎりかなた選手、19歳。」アナウンスを聴いた恋は思わず反応する。「かなた?」そこへ緒方の整備したトヨタ・86に乗って夏向は出走ゲートへと入ってきた。恋がその車の運転席を観て見ると、そこには紛れもない夏向の姿が存在した。「うそでしょ!?かなたなの?なぜそこにいるの?かなた・・・」突然の出来事に戸惑う恋をよそに、夏向は全神経を86に注ぎながらも冷静にカウントダウンに合わせスタートを切った。(第1話) 
MFゴースト16
MFゴースト10

今回の作品の魅力は、何と言ってもリアリティのある車の作画と効果的な3DCGによるアニメーション演出です。出てくる車すべてのフォルムが忠実に再現されていまして、そのベース作画絵をもとに3DCGで車の走る挙動を実写さながらに再現してくれています。直進道路のストレートでの伸びやかな速さやカーブでのブレーキングからの車体の左右の傾きなどとてもリアルに感じられます。車と車の接近戦では後続車が前を走る車をオーバーテイク(抜き去ること)する瞬間、ストップモーションで今から抜くぞ(抜かれるぞ)と予感させる演出が加わって、視聴者も疑似体験しているようでドキドキとワクワクの世界へ引きずり込まれます。

そして、現代の交通事情にも配慮してか公道レースが近未来モータースポーツというストーリー設定になっています。昔であれば公道での走り屋同士のバトルならあり得ないこともないと解釈も出来ましたが、今のご時世では一般人に対してのあおり運転などのとんでもないトラブルが社会的にもローズアップされているので、当然、公道バトルはNGですね。この物語での設定では、一般車の乗り入れを禁止した(クローズドされた)公道で市民に迷惑が掛からない公道レース仕様となっています。言ってみればF1グランプリのモナコGPと同じですね。また、その公道モータースポーツの迫力ある映像をリアルタイムでファンにお届けするために、出場レース車両毎に180㎞のスピードで追随して映像中継できる高速ドローンが導入されています。

また、本作品はモータースポーツという事で男性ドライバーオンリーが登場かと思いきや、女性ドライバーも登場します。モータースポーツ一色でもなく、主人公に恋するヒロインも登場したりと恋愛要素も入っております。恋ちゃんの恋心は夏向に届くのか?そして行方不明の父を探しにイギリスから日本に来た主人公がこの先無事に父親と再会を果たすことはできるのか?という命題もあり、”父をたずねて三千里”の要素も併せ持っています。モータースポーツ以外のストーリーもいろいろと組み込まれていてとてもも楽しめる作品に仕上がっていると思います。

筋の通ったストーリーがあって作画もまずまず、3DCGでの演出効果は抜群、そしてレースマシンが走る局面ではブレーキングノイズにアクセル音が交互に響き、ユーロビートのリズムが大いに観るものの気持ちを盛り上げてくれる、そんな面白い要素が詰まった作品です。

イニDは国産車同士のバトルがメインであったのに対してこの作品は、ポルシェ・フェラーリ・ランボルギーニ・アウディ・BMW・ロータス・アルファロメオ他外国車乗りのレーサーが多く、海外のハイパワースポーツ車に国産車のトヨタ・86やニッサン・GT-Rがドライバーテクニックで席巻する構図となっています。外車が好きな方にはたまらないでしょうし、レースという観点から国産車を応援する方にとっては自国愛を再認識してしまうかもしれませんね。

そしてユーロビートのリズムが体に刻み込まれた40歳OVERの方には親近感が感じられるでしょうし、20~30代の方が観ればユーロビートと映像のマッチングが新鮮に思えるかもしれません。

MFゴースト7

この作品は「週刊ヤングマガジン」2017年より掲載の漫画家・”しげの秀一”先生の「MFゴースト」が原作で、アニメ化されて2023年10月~12月に全12話がBS11他で全国放送されました。インターネットでは ”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”ABEMA”、 ”DMM TV”、 ”Hulu”、 ”U-NEXT”、 ”Netflix”、” FOD”、 ”バンダイチャンネル”他で配信されています。

監督/頭文字Dの監督”中智 仁”さん、シリーズ構成・脚本/”山下 憲一”さん、キャラクターデザイン/”恩田 尚之”さん、音楽/ロックバンド”レベッカ”のメンバーであった土橋 安騎夫”さん。アニメーション制作/”FelixFilm”。

声優さんは主人公・”片桐 夏向”(かたぎり かなた)役/”内田 雄馬”さん、西園寺 恋役/”佐倉 綾音”さん。内田 雄馬さんは「マクロスΔ」/ハヤテ・インメルマン、「呪術廻戦」/伏黒 恵を演じた方です。ハーフな夏向の異文化人ぽい話し言葉が絶妙です。佐倉 綾音さんは「のんのんびより」/越谷 夏海、「ご注文はうさぎですか?」/ココア、「五等分の花嫁」/中野 四葉を演じた方です。多感なお年頃のIKである恋の心情や言動を上手に表現されていて、声優として様々な役どころを演じてきた佐倉さんのキャリアを感じます。

最後はこの作品のオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。
オープニングテーマ「JUNGLE FIRE feat. MOTSU/芹澤優」
エンディングテーマ「Stereo Sunset (Prod. AmPm)/茜屋日海夏」

何故この作品に惹かれるかを上手く説明はできませんが、とにかく男心をくすぐられる作品です。非力なマシンを非凡なドラテクで操り、上位者に競り勝って行く様が痛快ですね。主人公に共感・シンクロできるかどうかぜひ、作品を観て体感してくださいね!

見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。

にほんブログ村

人気ブログランキング

互いに影響し合って人は生きて行く。心の中も観る世界も人それぞれの大切な何かがきっかけで色づき始める。「色づく世界の明日から」

日本の漫画・アニメ界において、突然の訃報が立て続けに入ってきました。『Dr.スランプ アラレちゃん』『ドラゴンボール』の原作者である鳥山 明先生がお亡くなりになりました。そして国民的なアニメ、日曜夕方18:00から放送の『ちびまる子ちゃん』の主人公・さくらももこ(まる子)役の声優のTARAKOさんがお亡くなりになったのです。

初めて週刊少年ジャンプで『Dr.スランプ アラレちゃん』に触れた時の面白さと感動はいままでにない衝撃でした。その後にアニメ化され、TVでも毎回観ていましたね。私の少年時代はアラレちゃんとともに在りました。『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんはサザエさんと同じく私たちが毎年、年を取っていっても私たちの中ではずっと変わらない存在でした。毎週日曜日に必ずルーティンのように観る番組として生活の一部となっていましたね。

永遠に変わらないコンテンツ・キャラクターを提供してくれるそれぞれお二人が常にこの世にいてくれるというのが当たり前のことだと錯覚していましたが、そうではないのですよね。当然ですが、お二人とも普通の人間です。いつまでも永遠ではいられないわけです。お二人ともまだ若いだけに非常に残念なことです。鳥山先生・TARAKOさんのご冥福を心からお祈りいたします。今まで素敵な時間を与えていただきありがとうございました。

私たちが何気に当たり前のように生活していることは実は当たり前ではなく、失ったり無くしてしまって初めてそれが当たり前のことではないことに気づきます。人間が何気にふだん使いこなしている視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚のいわゆる五感と言われるものも、人間にとってとても重要な役割を果たしています。コロナ禍でウイルスによって味を感じなくなった方がいましたが、普段あるべきことがなくなる違和感は相当なものですよね。気持ち的にもうつむき加減にならざる負えない影響を及ぼすことでしょう。

例えば、自分の目の前に映る世界がモノクロだったら一体どんな気持ちになるでしょうか?私たちは普段、当たり前のように色のついた世界で生きています。中には視覚障害をお持ちでそうじゃない方もいらっしゃるかもしれませんが、大抵の方は、何の疑いもなくカラーの世界で生活していることと思います。ある日、生活の中から色が無くなってしまったら?色のある世界だからこそ私たちは奇麗だと感じることができ、感情も豊かになるでしょうし、自己表現にも色が関係し、積極的に生きる原動力にもつながります。色がある事、色がわかる事の恩恵を無意識領域の中で私たちは得ながら生きています。

今回紹介するアニメは、そうした色がない世界でずっと生きてきた少女が過去の世界にタイムスリップし、とある事がきっかけで色のある日常を再び経験し、乏しい感情で後ろ向きに生きてきた人生からやがて前を向いて生きて行こうと変化して行く様を描いた「色づく世界の明日から」です。

色づく世界の明日から21

舞台は2078年の長崎県長崎市。17才・高校二年生の”月白 瞳美”は祖母と花火を見に出かけようとしていた。用事を片付け中の祖母を置いて一足先に瞳美は花火の見える丘に向かった。魔法一族の末裔である瞳美はいつしか色のある世界を失っていた。幼い頃に母と観ていた花火には色があった。「魔法なんて嫌い。」彼女はそう心に思う。色のない世界で生きてきたせいか、あまり人と関りを持とうとしないし一人でも大丈夫だと自分に言い聞かせる彼女。

「私が魔法使いでなかったら花火は今もきれいだったかな?」瞳美がそんなことを考えている所へ遅れて祖母がやって来る。「お待たせ。遅くなってごめんなさい。やっと準備が整ったわ。時間魔法の必需品。今日のために60年分の満月の光を浴びさせ続けてきたの。」そう言って祖母は瞳美の目の前に星砂時計を差し出したのだ。

「あなたは今から高校2年生の私に会いに行きなさい。魔法であなたを過去へと送ります。せっかく行くのだから楽しんでいらっしゃい。」「私、行くなんて一言も・・・」瞳美がそう言いかけるやいなや、祖母は魔法の呪文を唱えはじめた。気が付くと瞳美は2018年版の地図と手紙を握りしめ、バスに乗っていた。時空を移動するバスの中?「到着。」車掌がつぶやく。「あの~、ここはどこですか?」彼女は尋ねた。「君の行くべきところ。」車掌はそう答えた。バス停の表示にはむかし→いま→みらいの停留先の表示が出ていた。彼女はバスを降りた。次の瞬間、瞳美は見知らぬ部屋に背中から落ちた。

ここはどこなのか?今は西暦何年?部屋を見渡すとカレンダーと思しき物があり、2018年4月が表示されていた。突然、部屋に近づく足音が聞こえてくる。とっさに瞳美は部屋にあったベットの下に隠れた。部屋に入ってきた人の足が見え、彼女は身構えた。着替えを済ませた住人らしき人物は部屋から出て行った。彼女はそのタイミングでどうにか部屋の窓から外へ逃げ出すことに成功した。彼女が観る目の前に広がる風景はどこかで今までに観たことのある景色に感じられた。

彼女が家の窓から出てくるところを二人の女子高生に見られていた。”川合 胡桃”と”風野 あさぎ”だ。 同じ写真美術部仲間の男子・”葵 唯翔(あおい ゆいと)”の家の窓から少女が出てくる光景は、彼女たちにしてみれば大スクープである。二人はその事実を部活仲間にスマホで伝え、招集をかける。街中で合流し事の経緯と少女の容姿を話していると、まさにその容姿にピッタリ当てハマる少女が目の前に現れた。地図を持ちながら右往左往している瞳美だった。

「あの~、大丈夫ですか?えッと、何か困ってますか?」部長の山吹 将が話しかける。「あの~、私たち怪しい者じゃなくて、道に迷っているみたいだから、何か力になれればと思ったんだけど、大丈夫?」そう話しかける胡桃たちの制服を観て瞳美はつぶやく。南ヶ丘高校。」「ああ、そうだよ。丘の上のね。」将が答える。「制服変わったんだ。」瞳美がそう呟くと「いや、変わってないけど。」と胡桃とあさぎが思わずハモル。瞳美は魔法屋へ行きたいことを伝え、彼女らに案内してもらい無事に魔法屋へたどり着くことが出来た。

中へ入ると店主らしき女性がいた。「あの~、こちらに”月白 琥珀”さんて・・・」瞳美が言いかけると、「琥珀のお友達?ごめんなさい。あの子は今、イギリスに留学しているのよ。魔法を勉強しに。」瞳美は要件を得られずに外に出る。その場を立ち去ろうとすると、「お待ちなさい。」と老婆に呼び止められた。瞳美の祖母の祖母だった。瞳美は持っていた手紙を差し出した。それを読むと祖母の祖母は話をはじめた。「残念ながら琥珀はいないけど、他に行く当てはあるの?来たところへ帰れる?」瞳美は首を横に振る。「あの子が帰ってくるまで家にいてもらうしかないかしら。この手紙が本当なら、あなたはうちの家族なんですもの。」

祖母の琥珀が使っている屋根裏部屋を使うよう案内された瞳美。60年前の屋根裏部屋は新築の香りがした。魔法のアクセサリーであるアズライトを無くしたことに気付いた瞳美は魔法の砂の力を借りて無くした場所を特定してもらった。どうやら瞳美が初めにこの世界に舞い降りた葵 唯翔の部屋に落として来てしまったらしい。

翌日、瞳美が唯翔の家へ向かうと、家から唯翔が出てきた。隠れながら後を追うと、唯翔は公園で絵を描き始めていた。遠目から彼女がその絵を眺めると、普段はモノクロにしか見えない彼女の視界はカラーに彩られはじめた。そして絵の中の魚は動き出し、虹はアーチを描いた。瞳美はその絵にしっかりと色を感じることが出来たのだ。いつの間にか色のある世界を楽しみクルクル回る瞳美。悦に入っていた彼女は「誰?」という声に我に返る。瞳美は唯翔の目の前に立っていた。(第1話)

色づく世界の明日から25

この作品の魅力はまず一つ目に、作画の良さが挙げられます。テーマも色であるだけに終始、奇麗な映像美を堪能できるところにあります。作中のみんなが普段観ているであろうカラーの世界とヒロインが見ているモノクロの世界が交互に映し出され、その対比を観ることから私たちは日頃からカラーの世界の恩恵にあずかっていることを知り、それが何気に幸せなことに映ります。

目の前の世界がカラーに見えるからこそ私たちは豊かな感情を持ちながら生活を送ることが出来ています。食べ物だってカラーだからこそより一層おいしく感じることが出来ているのではないでしょうか。おそらく色が無ければ私たちは確実に今より無機質に生きていることでしょう。長崎市が舞台の作品ですが、長崎の美しい情景も手伝ってとても視覚効果に優れた作品に映ります。色彩と風景も相まって、観終わった後は長崎に行きたくなること請け合いですね。オリジナルアニメーションを丁寧に作る印象のP.A.WORKSが制作会社と言う事もあって、背景から人物まで安定した作画で私たちに作品を魅せてくれます。

二つ目に、ストーリーの良さですこの作品は主人公が未来からタイムスリップして過去を今としてお見せするお話しなので、様々な物事のつじつまも加味して物語が設定されていないといけませんが、そのあたりがきちんと設計されているように感じます。いろいろと伏線も盛り込まれていて、物語の最後にはそれらがきちんと回収されて腑に落ちるストーリー展開にもなっています。

未来人と現代人の心の交流。友情そして恋。家族の絆。最後に皆さんの想像に任せられる設定も見受けられますが、すべてを言わない終わり方も観終わってみると粋なラストだときっと思える作品です。心の琴線に触れる箇所がたくさんあって良い作品である事は間違いないかと。さらにストーリーに”魔法”というエッセンスが加わり、現代のお話のようでありながら実はファンタジーなお話に私たちをいざなってくれる素敵な作品となっています。見方によってはこの作品は、もう一つの「時をかける少女」かもしれません。

三つ目に、役割のしっかりとした個性あるキャラクターの登場です。基本、作品の登場人物すべてが優しさに溢れる人ばかりで構成されていますので、嫌な気持ちにならない作品です。それぞれのキャラの内面が繊細に扱われていて、心のやり取りも様々あってお互いの距離感も絶妙に描かれています。青春期ならではの独特な異性への感情や登場キャラのそれぞれの進路に対するエピソードもいろいろと描かれていて、主人公ばかりではなく他の登場人物にもしっかりとフォーカスされた厚みのある物語だと感じました。

色づく世界の明日から1

モノクロの世界で生きてきただけに感情が乏しく物事に対してどこか積極的になれない、人との関りもあまり持とうとしない主人公が、タイムスリップした先で様々な人々と出会い、その関りによって徐々に自主性を持ちながら前向きな生き方に変わっていく。そんな生き方にエールを送りながら共感して観て行ける作品です。

祖母の時間魔法で過去に送られる主人公ですが、果たして無事に現代に帰還することは出来るのでしょうか?その方法とは?祖母が大事な孫を過去へ送った理由とは何だったのか?ハラハラドキドキの時間旅行の冒険もありながら夢から覚める現代で主人公は何を観て何を考えるのか?

この作品は原作が”ヤシオ・ナツカ”さん、アニメーション制作会社”P.A.WORKS”のオリジナルアニメです。2018年10月~12月に”TBSテレビ”(関東広域圏)・”毎日放送”(近畿広域圏)・”BS-TBS”(日本全域)で放送されました。インターネットでは”Amazonプライム・ビデオ”にて配信。現在では多数のネット配信会社から配信されています。

監督は、「黒執事」「凪のあすから」の監督も担当された”篠原 俊哉”さん。シリーズ構成は、「そらのおとしもの」「ちはやふる2・3」「orange」「月がきれい」「あそびあそばせ」「Buddy Daddies」のシリーズ構成・脚本も担当した”柿原 優子”さん。キャラクターデザインは、”P.A.WORKS”の専属アニメーターとして同社作品を多数手がけている”秋山 有希”さんです。監督とシリーズ構成のご担当者の作品を知る限りでも面白い作品ばかりで本作が面白い理由に納得が行きます。そして個人的にはキャラデザが私好みですので手掛けた秋山さんの他作品も気になるところです。

今回の作品の声優さんは現在大活躍中の方々が多数出演されています。主人公・月白 瞳美/”石原 夏織”さん、月白 琥珀/”本渡 楓”さん、葵 唯翔/”千葉 翔也”さん、風野 あさぎ/”市ノ瀬 加那”さん、河合 胡桃/”東山 奈央”さん、深澤 千草/”村瀬 歩”さん。

以下、声優さんの代表的な出演作品・役名も挙げておきます。

”石原 夏織”さん:「緋弾のアリア/レキ」「変態王子と笑わない猫/小豆 梓」「お兄ちゃんはおしまい!!/緒山 みはり」
”本渡 楓”さん:「魔女の旅々/イレイナ」「パリピ孔明/月見 英子」
”千葉 翔也”さん :「月がきれい/安曇 小太郎」「86-エイティシックス/シンエイ・ノウゼン」「青のオーケストラ/青野 一」
”市ノ瀬 加那”さん:「機動戦士ガンダム 水星の魔女/スレッタ・マーキュリー」「葬送のフリーレン/フェルン」
”東山 奈央”さん:「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている/由比ヶ浜 結衣」「きんいろモザイク/九条 カレン」「マクロスΔ/レイナ・プラウラー」「ゆるキャン△/志摩 リン」
”村瀬 歩”さん:「ハイキュー!!/日向 翔陽」「ひろがるスカイ!プリキュア/夕凪 ツバサ・キュアウイング」

色づく世界の明日から14

最後は作品のオープニングテーマ・エンディングテーマの紹介です。

オープニングテーマ「17才/ハルカトミユキ」
エンディングテーマ「未明の君と薄明の魔法/やなぎなぎ」

この作品を観終わった後、みなさんの目の前と心にも何かしら素敵なものが色づくことを願っております。

見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。

にほんブログ村

人気ブログランキング

夢を叶えるために信念を貫く。人に喜ばれるために妥協はしない。共感できる生き方がここに。「シュガーアップル・フェアリーテイル」

令和6年能登半島地震に見舞われ被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様が一日も早く心穏やかな日常を取り戻せますようお祈りしております。

私は東日本大震災を経験しましたので、毎日のニュースを見ていると胸が痛いです。日頃の幸せに感謝しつつ、妻と私でそれぞれ少ない額ですが、募金をしました。今は何かとしんどいと思いますが、希望の光を持ち続けてほしいと思います。

2024年は波乱の幕開けとなりましたが、いつも訪問下さる皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。m(__)m

世の中の一流と呼ばれる方々の中で「気がついたらオレ、一流になっていたよ。」なんて宝くじに当たったかのように突然一流になる方はまずいないはずです。一流な人は一流になれるだけの凡人とは一味も二味も違う、アンテナと経験と知識と努力を積み重ねてその地位を築き上げてこられたのだと想像します(遠い目)。

私のような凡人日本代表のような者には他人の芝生はすごく良く見えます。うらやましいと思いながらもその割に自分なりの確固たる目標は掲げないで、流れに身を任せてのほほんと生きてきた結果が目の前の現状ですね。

「ああ、ぼくは疲れたよ、パトラッシュ。だんだん眠くなってきた。」となるその前に、自分なりに意識して努力を重ねていかないといけませんよね。今から一流を目指すことはないものの、せめて自分なりに残りの人生が有意義だったと振り返られるエンディングに出来るよう軌道修正をしていかないと!と思っております。

今回紹介いたします作品はファンタジーアニメ。「シュガーアップル・フェアリーテイル」という作品です。一流の砂糖菓子職人を目指す少女の物語です。

いつも明るく真面目でお人良しな少女が、信念を貫きまっすぐに生きながら自分の夢を叶えていく、といったサクセスストーリーが描かれています。主人公が様々な試練や困難な状況に遭遇しても決して負けずに自分の生き方を貫き通していくこの物語は、過去にTV放送されていた○ルピスこども名作劇場、ハ○ス食品・世界名作劇場のテイストを感じさせる作品に映ります。

子供に共感され支持されるのが世界名作劇場だというコンセプトがあるらしいですが、子供ばかりではなく、大人でも引き込まて観ていたという方はそれなりにいたんじゃないでしょうか。一本筋が通ったぶれないストーリーが持ち味で、時に優しく時に荒波にもまれるような波乱の展開もあったりと、視聴者が引き込まれる脚本の上手さが多くの作品の中にあったような気がします。

シュガーアップル・フェアリーテイル01

世界名作劇場は、時代背景なども割ときっちり設定されている作品が多かったように思います。こちらの作品は”ファンタジー”作品という事で、世界のどのあたりの地域でいつ頃の物語かという細かい設定にはなっていませんが、お城が出てきたり馬車で旅をしながら物語が進んでいくあたりを見ると中世ヨーロッパの時代を感じさせる設定でしょうか。ちょっとした恋や以外にもバトル要素もあったりしまして、中学生以上から大人が楽しめる作品かと思います。子どもよりは社会で働いている大人が共感できそうな内容ですね。  

ここは人間と妖精が共存している世界。それぞれが対等な関係であったがいつしか人間が妖精を使役する上下関係へと変わっていく。人間に奉仕するための労働妖精、人間の身を守る護衛のための戦士妖精、ペットのようにかわいがるために飼われる愛玩妖精などが存在している。

この世界では砂糖菓子は”聖なる砂糖菓子”と呼ばれ、人々に幸運をもたらすものとして信じられている。そのお菓子は誰にでも作ることを許された代物ではなく、王都で年一回開催される砂糖菓子品評会において国王陛下にその腕前を認められた、ただ一人だけが”銀砂糖師”の称号を手にすることができ、その資格を持った者だけが砂糖菓子を作ることが許されている。

15歳の少女”アン・アルフォード”は銀砂糖師であった母を亡くしてしまう。母の作った砂糖菓子はとても甘くておいしいだけでなく、観る人々の心を掴んで離さないほど魅了される砂糖菓子であった。そんな砂糖菓子を身近で感じながら育ったアンは自らも銀砂糖師になることを決意する。

銀砂糖師になるためには年に一度の砂糖菓子品評会に参加して国王陛下のお目にかなう砂糖菓子を作らないといけない。アンは砂糖菓子品評会に参加するために馬車に砂糖菓子を作る原料と道具を積んで王都へ向けて旅立つ。行く先々で修業を積みながら王都を目指ざす一人旅が始まった。

王都へ向かう途中でアンは、旅先での危険を考え戦士妖精を雇った。彼の名前は”シャル・フェン・シャル”。戦士妖精にしては端整な顔立ちと容姿をしていた。黒曜石から生まれた彼は戦士妖精としての実力は本物のようだが、とにかく口が悪い。やせっぽっちのアンを見るなり”かかし”呼ばわりする。シャルが人間を信用していないせいか、二人はことある毎に口げんかをしてしまう。

二人は旅の途中で、妖精ハンターに襲われている”ミスリル・リッド・ポッド”という湖水から生まれた小さな妖精を救い出す。ミスリル・リッド・ポッドは助けてもらったその恩を返そうと二人の旅に同行するようになる。行く先々で3人は様々な出来事に遭遇するが、3人で力を合わせ試練を乗り越えていく。

旅が進んでいく中、アンは人間が妖精を使役するという関係に馴染めずにいて、命令で妖精を動かすのではなく、出来れば友達の関係で過ごしていきたいと願いはじめる。人間のアンと妖精のシャルが種族や立場を越えて友達になれる日は訪れるのか?そしてアンは無事に王都までたどり着き、砂糖菓子品評会に参加して砂糖菓子職人としての実力を認めてもらう事はできるのだろうか?  

シュガーアップル・フェアリーテイル8

この作品の共感ポイントは3つございまして、1つ目はストーリーの良さと分かり易さにあります。全24話で起承転結もしっかりと組み立てられており、主人公たちが目標を達成するためにそれに向かってぶれずに突き進んでいく流れがシンプルで分かりやすいです。途中で幾多の困難にぶつかりハラハラドキドキの展開もありますが、知恵と努力と周りの助けも借りながら乗り越えて行きます。伏線回収が楽しみな作品もありますが、この作品はどなたが観ても非常に分かりやすい展開かなって思います。

登場人物過多な作品もありますが、この作品は物語に必要不可欠な主要キャラのみ(決して登場キャラが少ないという意味ではなく)で進行していきますので、そう言う意味でも分かりやすい作品ですね。

全24話には中だるみ回はございませんので物語の流れに集中して観れますし、最後はきれいに一旦、完結を迎えております。今後の人気の度合いによっては続編2期があり得なくもないですが。

2つ目の共感ポイントは、主人公のお客様ファーストな考え方です。主人公が他の砂糖菓子工房で働くお話がありますが、お客様ファーストな考え方で行動しているところが非常に共感できます。最近の世の中では行き過ぎた自社ファーストの姿勢の会社が浮き彫りにされ、某中古車販売会社や某自動車メーカーが問題となっていますよね。自分の夢や目標を叶えるために他人をないがしろにするような行動は一切なく、周りとの調和の中で折り合いをつけていくあたりは、主人公のお人好しな性格が功を奏しているところもあります。今の世の中にも当てはまる姿勢かと思います。

3つ目の共感ポイントは、主人公の仕事のこなし方にあります。主人公が他の砂糖菓子工房の経営の立て直しのためにその工房の経営者に企画提案をするエピソードが出てきますが、絶対に良い提案なのに経営者の伝統的で保守的な経営理論の前にそれが潰されそうになります。普通だったらそこでジエンドとなりますが、決して諦めずに工房再建のために理路整然と丁寧に経営者と対話を重ねることで打開し、新しい風を吹き込むことに成功します。

現代社会でも十分通じる商品づくりや経営基盤の在り方・組織の在り方など、共感できる内容が結構出てきます。

広い視野で物事を観ること、目先の事ばかりではなく先々も考えて行動する事、自分事と他人事を同時進行していく事等、主人公に共感できるポイントは結構ありまして、働く大人の方々にもぜひ、観ていただければ幸いです。私の仕事にも通じることは意外に多いように感じました。

総合的に”初心貫徹”に向かう主人公の姿勢と行動力には一流さを感じながら観進めていけて非常に楽しめました。

シュガーアップル・フェアリーテイル2

今回の作品も割と全体的に作画が良い印象を受けました。その中で更に本作品の要となる砂糖菓子のビジュアルはとても奇麗で華やかで繊細。銀砂糖師が作るアーティスティックな作品である事を上手く表現されています。そうでなければ一流な銀砂糖師の仕事柄を視聴する方々に理解してもらえないでしょう。やはりそれがこの作品のキモになると思われます。

この作品は小説家・”三川 みり”さんによるライトノベル作品が原作です。「ヤングエース」「花とゆめコミックス」で漫画化もされておりその後にアニメ化され、2023年1月~3月に1クール目・7月~9月に第2クール目の全24話が”BS朝日”で全国放送されました。インターネットでは”Amazon Prime Video”、”ABEMA”、”Hulu”、”U-NEXT”、”dアニメストア”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他で配信されております。

監督/”鈴木 洋平”さん(変態王子と笑わない猫/監督)、シリー構成/”水上 清資”さん(とある科学の超電磁砲S/シリーズ構成)、キャラクターデザイン/”飯塚 晴子”さん(たまゆらシリーズ妖狐×僕SS田中くんはいつもけだるげホリミヤ/キャラクターデザイン)、アニメーション制作/”J.C.STAFF”。ホリミヤを手掛けた飯塚 晴子さんのキャラはとても洗練されている印象で、私好みのキャラデザで大変満足です。

本作品の主要な声優さんは、アン・アルフォード/”貫井 柚佳”さん、シャル・フェン・シャル/”水中 雅章”さん、ミスリル・リッド・ポッド/”高橋 李依”さんです。

貫井さんは昨年あたりから主役級のキャラを2~3やられていて、歌が好きとのことですので、今後で活躍が期待される声優さんかと思います。

水中さんは「東京リベンジャーズ」場地 圭介役を演じた方でクール系キャラが似合う声優さんといった印象です。海外映画の吹替えでも活躍されているようでして、今後さらに露出が増えてくるのではないかと。

高橋李依さんは「リゼロ」/エミリアや「からかい上手の高木さん」/高木さん、「魔法つかいプリキュア!|/朝日奈みらい/キュアミラクル、「この素晴らしい世界に祝福を!」/めぐみん役ですでにメジャーな中堅どころの声優さんではありましたが、昨年の「推しの子」の星野 アイ役でどなたにも知られる声優さんとなりました。

それぞれの声優さんの今後のさらなるご活躍に期待したいですね。

シュガーアップル・フェアリーテイル6

最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。
これから始まっていく喜怒哀楽のたくさん詰まった自分の人生を、ミュージカルの舞台に例えたようなオープニング曲と、自分の願いや希望をあきらめないで叶えて行こうとする、未来へ向かって前向きに生きる気持ちがこもったエンディング曲それぞれを聴いてください。どちらもこの作品にピッタリで前向きな気持ちになれる素敵な曲です。

オープニングテーマ「ミュージカル/鈴木 みのり」
エンディングテーマ「叶える/諸星 すみれ」

※一流つながりでこちらの素敵な言葉も載せてみました
~”好きなこと”に自信を持って自分を表現し続ければ、新たな扉はきっと開かれる~ byイチロー(メジャーリーガー)

見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。

にほんブログ村

人気ブログランキング

愛情だけは人一倍強いが生活能力は壊滅的。ダメ人間が猫を進化させる、主従関係逆転の痛快ホームコメディ。「デキる猫は今日も憂鬱」

あれは私がまだ小学校に入って間もない頃、夏の夜の出来事だった。なにやら縁側の網戸の方からガリガリとこすれるような物音がした。私は音がする方に近寄ってみた。そこには爪で網戸をガリガリとひっかく猫がいたのである。白くてとてもやせ細った猫だった。首輪はしていない、迷い猫のようだ。

かわいそうに思えたことと、もしかしたらお腹を空かせているかもしれないと思い、ご飯に魚の煮凝りをかけて混ぜて与えてみた。すぐさま猫はそれを瞬く間に食べつくした。やはりお腹が空いていたようだ。その後一旦姿を消したその猫は、翌日にまた我が家にやって来た。またご飯をやるとそれからその猫は我が家に居つくようになる。

徐々に慣れ始め、触れても逃げない間柄となった。こうなるとだんだんと可愛く思えて情が沸いてくるというものだ。しかしながら我が家は洋服屋という事もあって、猫の抜け毛が商売には相性が良くなかった。家族会議でこのままずっと長く猫を飼い続けるわにはいかないという事になり、うちに買い物に来る猫好きなお客さんの家にもらわれていくこととなった。ちょっと寂しいけど猫好きの家に引き取られるなら猫のためにも良いのかもしれない、子供心にそう思って車で引き取られていく猫の姿を見送った。

それから数日が経った。夜、また網戸をひっかくような物音で目が覚めた。なんと、我が家からもらわれて行った猫がふたたび我が家に戻ってきたのである。我が家から4キロも離れた家へ車でもらわれて行ったのに。一匹で我が家を探して戻ってくるとは大したものである。猫は家に着くというのは本当なのかもしれない。その出来事に私はとにかく感動した。翌日、うちの親が飼い主となった方へ連絡して再び帰って行ったものの、あの時の光景は今も私の記憶に刻まれている。

我が家で猫を飼ったのは、例えほんのちょっとでも後にも先にもそれ一度きりですが・・・。

最近観たアニメ作品の中で何気に過去のそんなエピソードを思い出させてくれたものがあります。猫を拾った飼い主とその猫との楽しく幸せでちょっと?問題ありな日常を描いた作品「デキる猫は今日も憂鬱」というアニメです。

飼い主と猫の心温まる日常話がメインのホームコメディですが、こちらは黒い猫さんが出てきます。猫と言っても熊ぐらい大きな猫なんですよ。(笑)しかも、人間の言葉を理解し、言葉は発しませんが料理・洗濯その他家事全般ができて、かっぽう着を着て2足歩行でスーパーで買い物まで行くという、人間も顔負けな超スーパーなデキる猫さんなのです。

デキる猫は今日も憂鬱20

例えて言うならドラえもんのような頼れる相棒的な存在ですね。ドラえもんは未来からやって来た”万能ネコ型ロボット”ですが、こちらの猫さんは現代に生きる普通の猫でした(過去形)。が、飼い主があまりにも自堕落的な人間のために共倒れしないよう飼い主の世話をするために大きく育ち、主婦のように家事をこなせる生活能力を身に着けた後発的な”進化型猫”なのです。

現代社会において熊みたいに大きな猫はまずもって存在しないし2足歩行もしません。ましてや家事をこなして買い物にも出かける猫なんて誰も信じないでしょうし、うちで飼っているペットはそんな感じです、なんて話しても頭がおかしくなったと思われるのでそうした事実もまわりに説明できないことを悟り、その幸せを独り占めしながら日々を送る飼い主なのでした。

なにゆえに彼は(猫は)大きく成長したのか?どのように生活能力を身に着けていったか?について気になるところが多々ありますが、それについては物語の中で回想録がいろいろと登場します。寒空の公園のベンチ下にいた諭吉は飼い主となる幸来に拾われ、あたたかな部屋と食事を与えられた。一宿一飯の恩を果たそうと彼は決意し、そして大きく成長し様々な経験と技を磨いていく。

彼の名前は”諭吉”(ゆきち)と名付けられました。飼い主はOLとして会社で働く”福澤 幸来”(ふくざわ さく)と言います。なるほど!そう言う事ね。

彼は割と早起きで、幸来よりも早く起きて彼女の朝食を作り、彼女を起こすのが日課になっています。彼は朝食だけでなく幸来のお弁当も作り彼女にお弁当を持たせます。そのおかげで幸来は規則正しく生活ができて健康管理も行き届き、会社のみんなからは仕事もバリバリこなしつつ弁当も作って持参する、非常に女子力の高い女性と思われています。本人はわたしがすごいんじゃなくうちの猫がすごいんだという事をみんなに説明したいのですが、出来るわけもなく少々後ろめたさを感じています。

諭吉は部屋を掃除し、洗濯もします。ごみをきちんと分別して所定のごみ置き場にごみを出しにも行きます。隣人のおばあさんとも割と普通に接していて、家に宅急便が届けばちゃんと受け取りもします。家事の合間にはTVを観てきちんと世の中のトレンドも理解しています。

諭吉はよくス―パーに買い物に行くのですが、スーパーの店員や一般のお客さんは諭吉のことを着ぐるみを着ながら買い物をするちょっと変わった人間、と認識しているようです。キャベツの重さを比べて野菜選びが出来、電子マネーやポイントを使って使って普通に(いや、彼は人間じゃないのでそれはまったく普通ではないのですが)買い物をしてしまいます。

幸来が会社から帰ってくると晩御飯と幸来の好きなビールを出してくれます。彼女は今日あった出来事を諭吉に話すのですが、彼は彼女の言ってることをよく理解し会話に反応しています。外で働いている彼女にとっては諭吉は家庭を守る頼れる主夫あるいはパートナーであり、また娘の健康を気遣うお母さん的な存在でもあり、元来の飼い主を癒すペットでもあるという、一猫3役はこなす家族としての重大な存在となっています。

デキる猫は今日も憂鬱3

この作品のお勧めポイントはいくつかありますが、先ずは今までお伝えしたようにストーリーが抜群に面白いという点にあります。ヒト化した普通ではない猫と、外では完璧ですが家では家事ができない1人暮らしのOLの共同ライフという、ありえないけどあったらいいなと思わせてくれる斬新な切り口のスト-リーが最高です。恋人のような家族のような互いにじゃれたりもたれたりするなんとも心地よさげな関係がGood!です。

猫好きあるいはペットと一緒に暮らす方々にとっては彼ら彼女らとお互いに意思疎通がはかれる生活なんて、まさに一度は夢見る願望の世界かもしれません。人間社会でそんな動物がいれば問題にならないはずがないという前提のもと、様々な理想が現実との間でギャップとなって毎回、コミカルに展開されていきます。

登場人物は主人公である幸来と諭吉の他にたくさん登場します。ご近所の皆さんと幸来の会社の同僚・上司など様々ですが、幸来と諭吉のそれぞれとの繋がりの中でいろんなドラマが生まれます。基本、ハプニングは結果オーライな流れにはなっていくのですが、そのあたりのつじつまが非常に絶妙ですね。

それともう一つ、普通だと第三者目線と主人公目線でストーリーが語られますが、この作品は夏目漱石の”吾輩は猫である”のように猫が語る場面もあり、主人公であるOLと猫とのそれぞれの目線での語り口が時折入れ替わりながらストーリー展開する、なかなかユニークな構成になっています。

ストーリーとくれば次は作画ですが、こちらも手を抜くことなくしっかりと背景まで丁寧に描かれています。そしてそれらの描かれ絵が動画となってリアルな日常を表現しています。幸来が通勤する駅のホームの混雑した様子や、登りと下り電車がすれ違った瞬間のリアル風景、あるいは広々としたオフィス内の情景が360度カメラを回して紹介されるようなカメラワーク的な技法など、ストーリ以外でも視聴者を魅了してくれます。ちょっとしたところにも工夫や変化があってこの作品を作った制作会社”GoHands”の存在感がキラリと光る作品だと感じました。

それと、声優さんも作品の魅力を存分に引き出してくれています。OLの幸来役は”石川 由依”さん。「進撃の巨人」/ミカサ・アッカ―マン、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」/ヴァイオレット・エヴァーガーデン等クール&シリアスな役柄が似合うというかそう言う配役が多い声優さんですが、今回はとてもコメディな役柄なため、かなりはじけたユーモラスな演技でこういうのも石川さんはありな方なんだなって思わせてくれています。ちなみに石川さんは、プリキュアシリーズの「トロピカルージュ!プリキュア」/一ノ瀬 みのり(キュアパパイア)のなかの人です。

片やの諭吉役の”安元 洋貴”(やすもと ひろき)さんは、今回は猫なので基本的に話さない演技がほぼほぼでしたが、それでもキャラの個性を表現する力はさすがは声優さんだと納得でございました。諭吉目線の語りの際は安元さんの特徴である落ち着いた低音ボイスで諭吉の幸来に対する心の声がしっかりと語られています。

これらが今回の作品の主な特徴でして、笑いあり、また心に染みる入るエピソードありと、ストーリー・作画・演出・声優とどれもバランスよくメリハリがあって上質な作品だと思います。

デキる猫は今日も憂鬱17

この作品は、”山田ヒツジ”さんによる月刊漫画誌「水曜のシリウス」(講談社発刊)に2018年8月より連載中および、月刊漫画誌「月刊シリウス」(講談社発刊)に2021年12月号より連載中の同タイトル漫画が原作となっております。

その後アニメ化され、2023年7月~9月に全12話が”毎日放送”(近畿広域圏)・”TBSテレビ”(関東広域圏)そして”BS-TBS”では全国放送されました。インターネットでは”Amazon Prime Video”、”ABEMA”、”U-NEXT”、”Netflix”、”dアニメストア”、”Hulu”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他と非常に多くの配信会社から配信されております。

ジャンル/コメディ、 総監督/”工藤 進”さん、シリーズ構成・アニメーション制作/”GoHands”、脚本/”八薙 玉造”(やなぎ たまぞう)さん、キャラクターデザイン/”内田 孝行”さん。

人生いろいろありますが、一人だけで抱えているとしんどいこともたくさんあると思います。誰かと一緒なら良い事は倍に、悪いことは半分になるかもしれません。人じゃなくてもペットが家族の一員であれば癒されるでしょうし、話しかければそれなりに相手になってくれます。自分だけのためじゃなく誰かのためにも前を向いて生きて行くことはとても大事なことではないかと思います。

最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。
オープニングテーマは人生への応援歌のような曲で、大変な事ばかりだけど想う人がいてくれるからこそ頑張れるという感じの前向きになれる曲です。エンディングテーマは大都会で暮らす女性の恋愛模様が歌われていますが、想い人との出来事を回想するようなちょっと切ないけどポップで頭の中でリフレインするラブソングです。どちらも良い曲なのでぜひ、聴いてみてくださいね。

オープニングテーマ「憂う門には福来たる/somei」
エンディングテーマ「破壊前夜のこと/asmi」

見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。

にほんブログ村

人気ブログランキング
プロフィール

takapon46

Author:takapon46
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マジンガーZにパイルダ~オン!ヤマトと999の主人公達と一緒に旅していたアニメ世代の私も今は40歳。嘘です。年齢だけは立派な50歳になりました、てへぺろ。40歳を過ぎた頃から再び、アニメの世界へ戻って来まして、今は専ら深夜帯アニメに夢中です。私なりに選りすぐりだと思うアニメを紹介しておりますので、良かったら覗いていって下さいね。

処方箋(カテゴリ)
最新コメント
いらっしゃいませ!  カウンター
information
RSSリンクの表示
リンク
当ブログはリンクフリーです。
メールフォーム
相互リンクの方は恐れ入りますが、こちらからコメントいただけるとありがたいです。

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
information