大事なのは相手のことを知ろうと努力すること。その先に優しさや思いやりが生まれる。「葬送のフリーレン」
毎日生活している中で大なり小なりいろんな問題について、ああでもないこうでもないと自問自答を繰り返しているのが人間なんだと思います。動物たちも日頃、腹減ったなあとか、あの子カワイイなあとか、人間と同じようなこともそれなりに思っているのかもしれませんが、それ以外にも思慮深く何かに想いを巡らせたりはしているのでしょうか?自分や周りの世界に様々な考えを巡らせながら行動して生活しているのが人間なんだと思います。
自分が人あるいは人間である事は何の疑う余地もなく、私は人間という存在を深く掘り下げないでこれまでを生きてきました。人間は考える生き物であると言われていますが、自分のことだけでなく他者のことを気遣いながら生きて行けるのがより人間らしい人間なんじゃないかと思います。中には自己中な方々もそれなりはいらっしゃいますが。
私たち人間はこの世に生まれてから平均でも70~80年は生き長らえます。生物界の中では寿命においても知的生命体としても人間が最上位の生物だと誰もが当たり前に思っているでしょう。これは人間を上回る生命体が今のところこの地球上に存在しないからに他なりません。もしも、人間よりも優れた知的生命体がいたら・・・
そうした存在がいたとしたら人間はその存在と人間を比較しながら人間の優位性について意識せざるを得ないようになり、どうにかその存在より上回ろうとするんじゃないでしょうか。
最近ですが、話題の「葬送のフリーレン」というアニメを観ました。エルフという1,000年は生きる種族が人間世界で共存しているアニメです。全28話の作品ですが、観ている最中も、そして観終わった後にもまず思ったのがそうした人間という存在全般についてです。
人は生活していく中で自分ばかりではなく他者にももっと関心を持ち、互いを敬いながら生きて行くべきじゃないか?これから先を生きるものはまもなく死を迎える人たちの生きた証を次世代に伝えていく使命を持っているのではないか?先代がどう生きて何をこの世に残したかを周りの人たちが記憶に留め、バトンリレーで次の時代へ継承していく、こんなことが人間の本来の在り方ではないのでしょうか?
人間は一人では生きて行けない分、そうした人間らしいふるまいを心がけながら周りの人間と共存・共栄していく。人間よりも長く生きるエルフの目から観た人間とは?を傍観する、人間自体にフォーカスを当てたとてもユニークかつヒューマニックな作品です。
この作品は昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」の枠を使って、物語のオープニング4話分が一挙に放送されるという異例の新作アニメのスタートをかざったことでも話題となりました。その後の日本テレビの「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が10月26日~2024年3月22日の期間で全国放送されました。
物語は”ファンタジー”系作品です。人間界を陥れる存在の魔界の魔王を討伐するために結成された4人の勇者パーティー。彼らが10年の月日をかけて世界を旅し、ついに魔王を討伐して世界に平和が訪れます。そして物語は討伐後の勇者パーティーの後日譚からスタートします。パーティーメンバーの一人である1,000年は生きるエルフ族”魔法使いのフリーレン”が本作品の主人公です。
勇者パーティーで過ごした10年間は彼女にとってはほんのまばたき程度の一瞬の出来事と感じていたのに対して、100年も生きられない人間にとっての10年間とは感覚的にも大きな隔たりがあり、フリーレンは深く考えずに50年後にまた会おうと他の勇者メンバーに再会を約束しながら別れを告げて魔法収集の一人旅に出かけます。
50年後にフリーレンはパーティーメンバーと再会を果たしますが、400年は生きるドワーフ族の戦士メンバーを除く勇者と僧侶のメンバーは確実に年老いていて、その後まもなく勇者がこの世を去ります。彼を墓地に埋葬する際に初めてフリーレンは彼と共に過ごした10年間以外で彼について何も知らない事に気づかされ、後悔して涙を流します。どうしてもっと彼を知ろうとしなかったのか?彼女は再び旅に出るのですが、魔法収集に加えて人間の事をもっと知ろうとする事が旅の目的となっています。
そしてそこから始まるその旅がこの物語の中心になっていきます。彼女が人間たちと一緒に過ごした日々の出来事を通して人間たちを観察した事柄がこの物語のベースになっています。
人生の中での限られた人との出会いと別れの必然、その中での人との関りの奥深さ、そしてそれらをひとまとめにした人間の素晴らしさを様々と魅せてくれる作品です。この作品に触れると人間同士の付き合い方だけではなく、日々を淡々と生きて行くことのもったいなさ、限りある時間をいかに有意義に過ごすしていくかなどについてもいろいろと考えさせられる物語です。
各話ごとに名言だなあって思える会話がちょくちょく出てきたりもしますのでそのあたりにも注目してご覧いただけたなら幸いです。言い方は悪いですが、とても少年漫画誌で連載中の作品とは思えないぐらいに繊細で心の琴線に触れるお話がたくさん詰まっているのでとても共感できます。フリーレンが人間を知ろうと努力する姿にも共感できますし、登場人物が発する一言二言にすごく重みが感じられますね。
序盤は勇者パーティーによる魔王討伐後に訪れた平和な世界とさらにそこから50年後の穏やかなお話で始まり、さらに20年後のお話へと続きます。その後はフリーレンと弟子たちとの新たな魔法収集の旅での出来事が中盤となります。中盤以降で行く先々でバトルも繰り広げられます。戦闘シーンもあれば、また新しい人との出会いも描かれています。コミカルパートの面白さ、そしてシリアスパートの魅せどころと両方あって、バランスもとれた見応え充分な作品です。それでは最初の1話だけご紹介しますね。
魔王を討伐するために4人の勇者パーティーは結成された。勇者・”ヒンメル”、戦士・ドワーフ族の”アイゼン”、僧侶・”ハイター”、魔法使い・エルフ族の”フリーレン”。勇者一行は10年の長い年月を共に旅し、そして彼らは遂に魔王を見つけ出し、4人の総力で魔王討伐を成し遂げた。人類の悲願であった平和が世界にもたらされたのだ。
勇者ヒンメル一行は王都へ帰還。街を挙げて彼らの盛大な凱旋パレードが取り行われた。魔王討伐達成を王様へ報告し彼らの使命は無事に果たされた。夜は街中で祝宴が繰り広げられた。4人はこの10年の思い出を語り、終わりを告げた旅を懐かしんだ。ヒンメル、アイゼン、ハイターの3人は各々が冒険した10年を振り返りながら、これからのそれぞれの人生に想いを馳せていた。
すると、夜空に50年に一度の周期で降る”エーラ流星群”が流れ始めた。「きれいだな。」ヒンメルがつぶやいた。「街中だと見えにくいね。」とフリーレンが水をさす。「人が感動しているんだ。空気を読みたまえ。」とヒンメルは返した。1,000年を生きるフリーレンにとってはその10年はあっという間の出来事でしかなかった。人間にとってはとてつもなく長い年月だけど月日の重みを感じていないフリーレンは「じゃあみんなで50年後、もっときれいに見える場所知っているから案内するよ。」そう答えた。それを聞いたヒンメルは笑いながら「そうだな。みんなで観よう。」と感慨深げにそう答えた。
翌朝、エルフのフリーレンは感慨にふけることもなく3人に別れを告げ、また魔法探求への旅へと向かった。月日は流れて50年後、みんなとの約束のためフリーレンは再び王都を訪れた。50年後の勇者・ヒンメルは体つきも小さな老人になっていた。僧侶・ハイターは白髪交じりで貫禄のある僧侶姿に変わっていた。戦士・アイゼンは人間よりは長生きなドワーフ族のため、見た目にはほとんど変わりはなかった。フリーレンの知っているエーラ流星がきれいに見える場所までは1週間ぐらいかかるらしい。
そして4人はエーラ流星を観るために再び冒険の旅に出た。途中で出くわす魔物も退治しながら4人は目的地に到着した。夜空に降り注ぐエーラ流星を眺めながらヒンメルは、「みんなで最後の冒険が出来たことに感謝しているよ。」とフリーレンに気持ちを伝えた。4人は50年後の約束を無事に果たすことが出来た。それから間もなくしてヒンメルがこの世を去った。
葬儀の際に涙1つこぼさないフリーレンを観た参列者から薄情だとの非難をフリーレンは受けた。しかし、ヒンメルを墓地に埋葬する際にフリーレンは、勇者パーティ以外でのヒンメルについて何も知らず、また知ろうともしなかったことに気づき後悔して涙を流した。フリーレンはこのことをきっかけに、人間を知るためと魔法収集のために再び旅に出た。
そこからさらに20年後、フリーレンはハイターを訪ねた。ハイターは戦災孤児の少女”フェルン”を引き取り一緒に生活をしていた。先行き短いハイターは魔法使いとしての素質があるフェルンをフリーレンの弟子にしてはもらえないか、と頼み事をする。しかしフリーレンはその頼み事を断った。見習い魔法使いの旅先同行での死亡率は高いため、足手まといにしかならないことが理由のようだ。ハイターはそれを聞いて思いのほかあっさりとそれを承諾した。
その代わりに5年ぐらいはかかるであろう魔導書の解読と、その合間にフェルンに魔法を教えてほしいと再び頼み事をする。フリーレンはかつての勇者パーティ―でハイターにいろいろと借りもあることからその頼み事を承諾する。ハイターの代替案の意図するところは一体何なのだろうか?(第1話)
この作品は、漫画家・”山田 鐘人”さんによる同タイトル漫画が原作で、作画は漫画家・”アベ ツカサ”さんが担当、「週刊少年サンデー」の2020年22・23号合併号に掲載され、現在も連載中です。2021年には第14回マンガ大賞、第25回手塚治虫文化賞新生賞受賞。2023年には第69回小学館漫画賞、2024年には第48回講談社漫画賞などを立て続けに受賞するくらいに評価されている作品です。
その後アニメ化され、昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」4話、10月26日~2024年3月22日で日本テレビ「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が全国放送されました。インターネットでは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”U-NEXT”、”Hulu”、”FOD”、”ABEMAビデオ”、”バンダイチャンネル”他で配信されております。監督/”斎藤 圭一郎”さん、シリーズ構成・脚本/”鈴木 智尋”さん、キャラクターデザイン/”長澤 礼子”さん、アニメーション制作は”マッドハウス”。
声優さんは主人公・フリーレンが「SPY&FAMILY」/アーニャ役、「わんだふるぷりきゅあ!」/犬飼いろは・キュアフレンディ役を演じた”種﨑 敦美”さんです。普段の地声にはあまり特徴がない声優さんなのでそれぞれの個性のある役どころを聴いても種﨑さんだとは思えないほど振り幅が大きな声優さんです。まさに職人芸と言っても過言ではないくらいに声色を変えてどの役も名演技と言い切れる声優さんです。今回は魔法使いとしては超一流だが、生活面ではだらしなく弟子に面倒を見てもらう、抑揚のないしゃべり方で淡々と話すフリーレンを演じています。
勇者ヒンメルは「とある魔術の禁書目録」/一方通行(アクセラレータ)役、「鬼滅の刃」/不死川玄弥役、「ホリミヤ」/仙石翔役を演じた”岡本 信彦”さんです。割と激しい役どころも多い方ですが、勇者の割にとても穏やかな口調で物腰柔らかく優しさいっぱいでイケメンなヒンメルをさわやかに演じています。
フリーレンの一番弟子となるフェルンは、「機動戦士ガンダム・水星の魔女」/スレッタ役でブレイク中の”市ノ瀬 加那”さんが、普段は冷静沈着で大人びた少女ですが時折見せる気分屋で子供っぽい一面を持つ彼女を上手に演じています。
同じくフリーレンの弟子となる戦士・”シュタルク”ですが、こちらは「マッシュル-MASHLE-」/マッシュ・バーンデッド役でとても強いけれど天然ボケの主人公をコミカルに演じた”小林千晃”さんが、自己肯定感が低いけど努力家でいざとなったら逃げ出さないで弱い者を守る男気のあるシュタルク役をカッコよく演じています。
キャスティングされた声優さんがどなたも役割をしっかりと演じていて、あらためて声優さんの持つ演技力の高さを感じる作品だったと感じました。
最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。フリーレンの世界観がしっかりと詰め込まれたミュージックビデオですので作品を観る前と後で二度見して楽しんでくださいね。
オープニングテーマ「勇者/YOASOBI」
エンディングテーマ「Anytime Anywhere/milet」
ストーリー・作画・キャラ・声優・音楽の3方ならぬ5方良し!の文句なし・死角なし・共感ありのこの作品。まだ観てないよって方は今からでも遅くないので是非、ご堪能下さいませ!!
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自分が人あるいは人間である事は何の疑う余地もなく、私は人間という存在を深く掘り下げないでこれまでを生きてきました。人間は考える生き物であると言われていますが、自分のことだけでなく他者のことを気遣いながら生きて行けるのがより人間らしい人間なんじゃないかと思います。中には自己中な方々もそれなりはいらっしゃいますが。
私たち人間はこの世に生まれてから平均でも70~80年は生き長らえます。生物界の中では寿命においても知的生命体としても人間が最上位の生物だと誰もが当たり前に思っているでしょう。これは人間を上回る生命体が今のところこの地球上に存在しないからに他なりません。もしも、人間よりも優れた知的生命体がいたら・・・
そうした存在がいたとしたら人間はその存在と人間を比較しながら人間の優位性について意識せざるを得ないようになり、どうにかその存在より上回ろうとするんじゃないでしょうか。
最近ですが、話題の「葬送のフリーレン」というアニメを観ました。エルフという1,000年は生きる種族が人間世界で共存しているアニメです。全28話の作品ですが、観ている最中も、そして観終わった後にもまず思ったのがそうした人間という存在全般についてです。
人は生活していく中で自分ばかりではなく他者にももっと関心を持ち、互いを敬いながら生きて行くべきじゃないか?これから先を生きるものはまもなく死を迎える人たちの生きた証を次世代に伝えていく使命を持っているのではないか?先代がどう生きて何をこの世に残したかを周りの人たちが記憶に留め、バトンリレーで次の時代へ継承していく、こんなことが人間の本来の在り方ではないのでしょうか?
人間は一人では生きて行けない分、そうした人間らしいふるまいを心がけながら周りの人間と共存・共栄していく。人間よりも長く生きるエルフの目から観た人間とは?を傍観する、人間自体にフォーカスを当てたとてもユニークかつヒューマニックな作品です。
この作品は昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」の枠を使って、物語のオープニング4話分が一挙に放送されるという異例の新作アニメのスタートをかざったことでも話題となりました。その後の日本テレビの「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が10月26日~2024年3月22日の期間で全国放送されました。
物語は”ファンタジー”系作品です。人間界を陥れる存在の魔界の魔王を討伐するために結成された4人の勇者パーティー。彼らが10年の月日をかけて世界を旅し、ついに魔王を討伐して世界に平和が訪れます。そして物語は討伐後の勇者パーティーの後日譚からスタートします。パーティーメンバーの一人である1,000年は生きるエルフ族”魔法使いのフリーレン”が本作品の主人公です。
勇者パーティーで過ごした10年間は彼女にとってはほんのまばたき程度の一瞬の出来事と感じていたのに対して、100年も生きられない人間にとっての10年間とは感覚的にも大きな隔たりがあり、フリーレンは深く考えずに50年後にまた会おうと他の勇者メンバーに再会を約束しながら別れを告げて魔法収集の一人旅に出かけます。
50年後にフリーレンはパーティーメンバーと再会を果たしますが、400年は生きるドワーフ族の戦士メンバーを除く勇者と僧侶のメンバーは確実に年老いていて、その後まもなく勇者がこの世を去ります。彼を墓地に埋葬する際に初めてフリーレンは彼と共に過ごした10年間以外で彼について何も知らない事に気づかされ、後悔して涙を流します。どうしてもっと彼を知ろうとしなかったのか?彼女は再び旅に出るのですが、魔法収集に加えて人間の事をもっと知ろうとする事が旅の目的となっています。
そしてそこから始まるその旅がこの物語の中心になっていきます。彼女が人間たちと一緒に過ごした日々の出来事を通して人間たちを観察した事柄がこの物語のベースになっています。
人生の中での限られた人との出会いと別れの必然、その中での人との関りの奥深さ、そしてそれらをひとまとめにした人間の素晴らしさを様々と魅せてくれる作品です。この作品に触れると人間同士の付き合い方だけではなく、日々を淡々と生きて行くことのもったいなさ、限りある時間をいかに有意義に過ごすしていくかなどについてもいろいろと考えさせられる物語です。
各話ごとに名言だなあって思える会話がちょくちょく出てきたりもしますのでそのあたりにも注目してご覧いただけたなら幸いです。言い方は悪いですが、とても少年漫画誌で連載中の作品とは思えないぐらいに繊細で心の琴線に触れるお話がたくさん詰まっているのでとても共感できます。フリーレンが人間を知ろうと努力する姿にも共感できますし、登場人物が発する一言二言にすごく重みが感じられますね。
序盤は勇者パーティーによる魔王討伐後に訪れた平和な世界とさらにそこから50年後の穏やかなお話で始まり、さらに20年後のお話へと続きます。その後はフリーレンと弟子たちとの新たな魔法収集の旅での出来事が中盤となります。中盤以降で行く先々でバトルも繰り広げられます。戦闘シーンもあれば、また新しい人との出会いも描かれています。コミカルパートの面白さ、そしてシリアスパートの魅せどころと両方あって、バランスもとれた見応え充分な作品です。それでは最初の1話だけご紹介しますね。
魔王を討伐するために4人の勇者パーティーは結成された。勇者・”ヒンメル”、戦士・ドワーフ族の”アイゼン”、僧侶・”ハイター”、魔法使い・エルフ族の”フリーレン”。勇者一行は10年の長い年月を共に旅し、そして彼らは遂に魔王を見つけ出し、4人の総力で魔王討伐を成し遂げた。人類の悲願であった平和が世界にもたらされたのだ。
勇者ヒンメル一行は王都へ帰還。街を挙げて彼らの盛大な凱旋パレードが取り行われた。魔王討伐達成を王様へ報告し彼らの使命は無事に果たされた。夜は街中で祝宴が繰り広げられた。4人はこの10年の思い出を語り、終わりを告げた旅を懐かしんだ。ヒンメル、アイゼン、ハイターの3人は各々が冒険した10年を振り返りながら、これからのそれぞれの人生に想いを馳せていた。
すると、夜空に50年に一度の周期で降る”エーラ流星群”が流れ始めた。「きれいだな。」ヒンメルがつぶやいた。「街中だと見えにくいね。」とフリーレンが水をさす。「人が感動しているんだ。空気を読みたまえ。」とヒンメルは返した。1,000年を生きるフリーレンにとってはその10年はあっという間の出来事でしかなかった。人間にとってはとてつもなく長い年月だけど月日の重みを感じていないフリーレンは「じゃあみんなで50年後、もっときれいに見える場所知っているから案内するよ。」そう答えた。それを聞いたヒンメルは笑いながら「そうだな。みんなで観よう。」と感慨深げにそう答えた。
翌朝、エルフのフリーレンは感慨にふけることもなく3人に別れを告げ、また魔法探求への旅へと向かった。月日は流れて50年後、みんなとの約束のためフリーレンは再び王都を訪れた。50年後の勇者・ヒンメルは体つきも小さな老人になっていた。僧侶・ハイターは白髪交じりで貫禄のある僧侶姿に変わっていた。戦士・アイゼンは人間よりは長生きなドワーフ族のため、見た目にはほとんど変わりはなかった。フリーレンの知っているエーラ流星がきれいに見える場所までは1週間ぐらいかかるらしい。
そして4人はエーラ流星を観るために再び冒険の旅に出た。途中で出くわす魔物も退治しながら4人は目的地に到着した。夜空に降り注ぐエーラ流星を眺めながらヒンメルは、「みんなで最後の冒険が出来たことに感謝しているよ。」とフリーレンに気持ちを伝えた。4人は50年後の約束を無事に果たすことが出来た。それから間もなくしてヒンメルがこの世を去った。
葬儀の際に涙1つこぼさないフリーレンを観た参列者から薄情だとの非難をフリーレンは受けた。しかし、ヒンメルを墓地に埋葬する際にフリーレンは、勇者パーティ以外でのヒンメルについて何も知らず、また知ろうともしなかったことに気づき後悔して涙を流した。フリーレンはこのことをきっかけに、人間を知るためと魔法収集のために再び旅に出た。
そこからさらに20年後、フリーレンはハイターを訪ねた。ハイターは戦災孤児の少女”フェルン”を引き取り一緒に生活をしていた。先行き短いハイターは魔法使いとしての素質があるフェルンをフリーレンの弟子にしてはもらえないか、と頼み事をする。しかしフリーレンはその頼み事を断った。見習い魔法使いの旅先同行での死亡率は高いため、足手まといにしかならないことが理由のようだ。ハイターはそれを聞いて思いのほかあっさりとそれを承諾した。
その代わりに5年ぐらいはかかるであろう魔導書の解読と、その合間にフェルンに魔法を教えてほしいと再び頼み事をする。フリーレンはかつての勇者パーティ―でハイターにいろいろと借りもあることからその頼み事を承諾する。ハイターの代替案の意図するところは一体何なのだろうか?(第1話)
この作品は、漫画家・”山田 鐘人”さんによる同タイトル漫画が原作で、作画は漫画家・”アベ ツカサ”さんが担当、「週刊少年サンデー」の2020年22・23号合併号に掲載され、現在も連載中です。2021年には第14回マンガ大賞、第25回手塚治虫文化賞新生賞受賞。2023年には第69回小学館漫画賞、2024年には第48回講談社漫画賞などを立て続けに受賞するくらいに評価されている作品です。
その後アニメ化され、昨年の9月29日の日本テレビ「金曜ロードショー」4話、10月26日~2024年3月22日で日本テレビ「FRIDAY ANIME NIGHT」(フライデーアニメナイト)23:30~24:00で5話~28話が全国放送されました。インターネットでは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”U-NEXT”、”Hulu”、”FOD”、”ABEMAビデオ”、”バンダイチャンネル”他で配信されております。監督/”斎藤 圭一郎”さん、シリーズ構成・脚本/”鈴木 智尋”さん、キャラクターデザイン/”長澤 礼子”さん、アニメーション制作は”マッドハウス”。
声優さんは主人公・フリーレンが「SPY&FAMILY」/アーニャ役、「わんだふるぷりきゅあ!」/犬飼いろは・キュアフレンディ役を演じた”種﨑 敦美”さんです。普段の地声にはあまり特徴がない声優さんなのでそれぞれの個性のある役どころを聴いても種﨑さんだとは思えないほど振り幅が大きな声優さんです。まさに職人芸と言っても過言ではないくらいに声色を変えてどの役も名演技と言い切れる声優さんです。今回は魔法使いとしては超一流だが、生活面ではだらしなく弟子に面倒を見てもらう、抑揚のないしゃべり方で淡々と話すフリーレンを演じています。
勇者ヒンメルは「とある魔術の禁書目録」/一方通行(アクセラレータ)役、「鬼滅の刃」/不死川玄弥役、「ホリミヤ」/仙石翔役を演じた”岡本 信彦”さんです。割と激しい役どころも多い方ですが、勇者の割にとても穏やかな口調で物腰柔らかく優しさいっぱいでイケメンなヒンメルをさわやかに演じています。
フリーレンの一番弟子となるフェルンは、「機動戦士ガンダム・水星の魔女」/スレッタ役でブレイク中の”市ノ瀬 加那”さんが、普段は冷静沈着で大人びた少女ですが時折見せる気分屋で子供っぽい一面を持つ彼女を上手に演じています。
同じくフリーレンの弟子となる戦士・”シュタルク”ですが、こちらは「マッシュル-MASHLE-」/マッシュ・バーンデッド役でとても強いけれど天然ボケの主人公をコミカルに演じた”小林千晃”さんが、自己肯定感が低いけど努力家でいざとなったら逃げ出さないで弱い者を守る男気のあるシュタルク役をカッコよく演じています。
キャスティングされた声優さんがどなたも役割をしっかりと演じていて、あらためて声優さんの持つ演技力の高さを感じる作品だったと感じました。
最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。フリーレンの世界観がしっかりと詰め込まれたミュージックビデオですので作品を観る前と後で二度見して楽しんでくださいね。
オープニングテーマ「勇者/YOASOBI」
エンディングテーマ「Anytime Anywhere/milet」
ストーリー・作画・キャラ・声優・音楽の3方ならぬ5方良し!の文句なし・死角なし・共感ありのこの作品。まだ観てないよって方は今からでも遅くないので是非、ご堪能下さいませ!!
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