待望の証拠がついに明らかになった。以前から土星の衛星「エンケラドス(エンケラドゥス)」に液体の水が存在することは知られていた。さらにその水の中には生命を構成する上で不可欠な元素である「リン」が豊富に含まれている可能性がモデル研究により示されていた。
そしてついに、エンケラドスが宇宙空間に放出された水の中「リン」が含まれていたことが明らかになったのだ。
『Nature』(2023年6月14日付)に掲載された研究によると、その氷の下に隠された液体の海には、地球の海の数百倍ものリンが含まれているという。
この発見によって、エンケラドスでは、私たちが知る生命にとって決定的に重要な6つの元素がすべて確認されたことになる。つまりは、生命が宿っている可能性が濃厚になったということだ。
生命の発見が期待されるエンケラドス
土星の衛星エンケラドス((エンケラドゥス))は、大きさだけなら地球の月の7分の1と小さい。だが、その氷の殻の下には液体の水が存在し、それが時々、宇宙へ向けて噴出されるというユニークな特徴がある。
太陽から遠く離れた土星の衛星に、なぜ水が液体のまま存在できるのだろうか?
それは土星から受ける重力によって、エンケラドスが常に伸び縮みし、そのために熱が生じるからだと考えられている。
地球には、太陽の光がまったく届かない深海の奥底で、熱水噴出孔が織りなす化学反応を頼って生存できる生物たちがいる。
ならばエンケラドスの地下の海でも、それと似たような生命が生きているかもしれない。そういった理由から、この土星の衛星は太陽系でもとりわけ地球外生命の発見が期待される場所なのだ。
生命に必要不可欠な元素であるリンの存在をついに発見
エンケラドスが生命発見の最有力候補とされるのは、ほかにも理由がある。そこには生命が生きるために不可欠な素材がすべてそろっていると考えられるのだ。
その1つがDNAや細胞膜などの材料となり、地球の生命にとっては必要不可欠の元素「リン」だ。
これまで地球以外の海でリンが見つかったことはないが、過去に行われたモデル研究では、エンケラドスの海にはリンがたくさん溶けているだろうことが示されている。
そして今回、土星探査機による観測データをもとに衛星の地下から宇宙空間に放出された水の成分を詳しく調べたところ、リンを発見したのだ。しかも大量に。
エンケラドスは時々、地下の海を宇宙へ向けて噴出している。そうした噴出物はやがて土星の環に合流する。
エンケラドスが土星の環のすぐそば移動しているからだ。そのために、土星の環の一番外側の部分(E環)は主にエンケラドスの噴出物でできている。
そのE環の氷の粒子を2017年に土星探査機「カッシーニ」が集めているのだ。
そこでベルリン自由大学や東京工業大学の研究チームは、その氷の粒子が反射する”光”を分析した。
物質が反射する光には、その物質ならではの”光の指紋”(スペクトル)がついている。これを分析することで、それを反射した物質の正体を知ることができる。
今回、研究チームが345個の粒子の光を総合的に分析したところ、そのうちの9つから、「リン酸ナトリウム」(リンとナトリウムの化合物)の指紋が見つかったのだ。
その後の実験で、こうした化合物を水に溶かしてレーザーを照射してみたところ、E環の氷粒子の光の指紋を再現することにも成功している。
こうした結果からは、エンケラドスの海にはナトリウムやリンが”たっぷり”あると推測されている。どのくらいたっぷりなのか? なんと控え目にみても地球の海の数百倍ものリン酸塩があると考えられるそうだ。
エンケラドスには生命の素材がすべてそろっている
となると疑問なのは、なぜそんなにも大量のリンがあるのかということだ。
じつはエンケラドスの海の下に隠された核は、「炭素質コンドライト岩」でできていると考えられている。
研究チームがこれが正しいという前提で実験で行ったところ、炭素が豊富なアルカリ性海水が核と作用することで、必然的にリンが作られることがわかったという。
つまり、エンケラドスには生命に不可欠なリンが豊富にある可能性が濃厚であるだけでなく、そうした環境が不自然ではない可能性も濃厚なのだ。
ちなみにエンケラドスの噴出物からは、生命に不可欠なほかの元素(炭素・水素・窒素・酸素・硫黄)もまた確認されている。
つまりエンケラドスの海は、生命が存在するために必要な条件のうち、もっとも厳しい1つをクリアしているということになる。
はたして、そこに生命はいるのか? 期待するだけの価値はありそうだ。
References:For the first time, astronomers have found life-supporting molecules called phosphates on Enceladus / BREAKING: Scientists Detect Phosphorus on Enceladus : ScienceAlert / 土星衛星エンセラダスの海に生命必須元素リンが異常濃集 生命誕生の鍵を宇宙で突き止める | 東京工業大学 / written by hiroching / edited by / parumo
生命の素材がすべてそろっていても生命は誕生しない
生命の素材がすべてそろっていれば生命が誕生するというのなら、地球上で生命を作ってみてよ
>>1
言いたいことはわかるが「材料がなければケーキは焼けない」
まず材料が見つかったってこと、今回は小麦粉か玉子
>>6
いや、材料が見つかったくらいで何を大騒ぎしてんだよ?って自分も思う。
地球にリンがあるんだから太陽系の全ての天体にあったって何も不思議じゃない。
リンが生命体にしか産み出せない物質ならともかくただの元素じゃん。
そもそも各種の元素は恒星で作られ超新星爆発で宇宙にばら蒔かれるんだから、宇宙のあちこちにあったってなんの不思議もないよ。
そんな事より肝心なのは、それらの材料がどういう環境でどういう条件なら生命体に組上がるかという事の方なのに、こっちの研究はすっかり置いてけぼりなんですよ。
>>1
毎回思うんだけど、なんで門外漢がドヤ顔で学者の研究にケチ付けてんだろ。
疑問なら湧いて当然だけど、こういうあからさまなのは理解出来ない。
>>1
誕生するしないの0、1の話じゃなくて誕生してても別に変ではないみたいな話なのじゃよ…
そもそも何かしら素材があって何かよく分からんが出来ちゃった結果が今のお前な訳だしな
宇宙さん平気で試行回数の暴力叩きつけてくるから確率低くても結局確認するまで何とも言えんのよな…
>>1
「お前の父親と母親が揃っていてもお前は誕生しない、父親と母親が全て揃ってたらお前が誕生したというのなら、今ここで父親と母親を交わらせてお前を作ってみてよ」
っていうような馬鹿げた質問だよ、それ
土星のリングの中にはエンケラドス由来の氷からなるものがあるので
リングの氷の中に凍った生命がいるかもしれないね
あとは大気圏関連や太陽からの放射線関連の問題か
>>3
あれだけ分厚い氷に覆われてると空から降ってくる放射線はあまり関係無いかも。
むしろコアにある放射性物質の方が影響大きいような気がする。
材料が揃ってても太陽から遠過ぎる
それが一番問題なのでは
>>4
地球の‥ではなくて人間基準で言えば「リン」は重要だし、太陽光線も重要に感じるけど
それは単純に人間原理に基づいての判断なだけなので
生命の誕生については、その双方が特に重要な意味を持たない可能性はある
エウロパクリッパーやジュースの重要度がかなり上がった
美味しいかどうか、それが最大の問題だ。
>>10
わかったぞ、お前食べる気だな…!
条件は全て揃ってる、居なきゃおかしい
これで生物が居ないなら、地球にも誕生しなかったことになる
そうなると、地球の生物は何者かが意図的に持ち運んだことになり
かなりヤバいことになる
ナムアミダブツ ち~~~~~~~~ん
リンがあり、熱があり、液体がある…。楽しみだ。
こいつを火星にぶつけよう。テラフォーミングするならそれくらい豪快にやらないと。ついでにイオもぶつけちまおう。
太陽系のふたつの惑星に生物が存在するとしたら、いよいよ異星文明が見つからないのが不思議だな
多細胞生物まで進化するのが大変なだけで、生命の誕生だけならさほど珍しい現象じゃなかったり、
という研究成果がいつか発表されたとしても大変な衝撃になるだろうな