サンゴ礁は海の生物多様性の宝庫で、いわば海の生命力を象徴する重要な存在だ。今回、ガラパゴス諸島沖の深海の海底火山で、これまで知られていなかった、未知の古いサンゴ礁が発見されたそうだ。
水深400~600メートルの海底火山をおおっていたサンゴ礁は、浅瀬のものと違いほとんど手付かずで、原始的なほどに古かったという。
そんな海底のサンゴ礁では、ほかの場所ではすでに姿を消してしまった種の発見も期待されている。ガラパゴス諸島の生態系は今後、島の上だけではなく、海底も大きく注目されていくことになりそうだ。
ガラパゴスの深海で発見された手つかずのサンゴ礁
チャールズ・ダーウィン以来、ガラパゴス諸島ならではのユニークの生態系に惹きつけられてきた学者は数知れない。
だが島の上と違って、島周辺の海はあまり研究されておらず、最新技術で調査されたのはわずか%に過ぎない。
この状況を突破するべく、「ガラパゴス・ディープ2023・エクペディション」のチームが用意した切り札が、深度6500メートルまで潜水できる有人潜水艇「アルビン号」だ。
この潜水艇で、ガラパゴス海洋保護区の海中が4週間かけて探索した結果、これまで知られていない、海底火山をおおう深海のサンゴ礁が発見された。
深海の原始的なサンゴ礁は気候変動の影響が少なく元気な状態
ガラパゴス諸島周辺の海にサンゴ礁があることは以前から知られていた。
だが浅瀬にあるものは異常気象の影響を受けやすい。そうしたサンゴ礁は、1982/83年のエルニーニョ現象で大きな痛手を負ってしまい、今もなお完全には回復していない。
しかし、深海のサンゴ礁は破壊的な影響を受けていなかった。そのおかげで世界でも稀なほどに古いものだった。
チャールズ・ダーウィン財団のスチュアート・バンクス博士は、世界各地のサンゴ礁とは違い「非常に古く、本質的に原始的」であると、その素晴らしさをプレスリリースで伝えている。
深海のサンゴ礁はとても健全で、世界各地ではすでに絶滅したか、それに近い状態にある種がまだ生存している可能性が期待されるほか、傷ついたサンゴ礁の修復に役立てることもできるという。
元気な深海サンゴ礁で新種の生物発見の可能性も
深海のサンゴは、海面に近いサンゴに比べて成長が遅く、きわめて高齢になることがある。そうしたサンゴは、樹木の年輪のように成長の印を残すので、過去の気候をうかがい知ることもできる。
現在のような急激な気候変動が起きるとどうなるのか、地球の歴史に照らして理解を深めることができるのだ。
だが一般に深海には太陽の光がなかなか届かない。だから深海のサンゴ礁は、浅瀬に比べて、生きたサンゴが少ないのが普通だ。
ところが、ガラパゴス諸島の深海のサンゴ礁は例外的なほど元気だった。
エセックス大学のミシェル・テイラー博士は、同程度の深さのサンゴ礁なら生きているサンゴは1、2割程度なのに対して、今回のサンゴ礁の一部では5、6割のサンゴが生きていたと語っている。
そのおかげで、そこにはさまざまな魚や無脊椎動物が豊富に生息している。すでにそうした生物のサンプルも集められているので、もしかしたら新種も見つかるかもしれない。
またサンゴ礁が海底火山にできていることも注目ポイントであるようだ。
ブリストル大学のサミュエル・ミッチェル博士によれば、海底の溶岩の流れがサンゴの成長に与える影響は、ほとんどわかっていないという。
だが今回の調査では、火山学と生物学の知見を組み合わせることで、サンゴ礁と溶岩の関係を知るヒントが得られる可能性もある。
なお、今回の調査で使われたアルビン号は、悲劇の豪華客船タイタニック号の調査でも知られる深海探査のパイオニアだ。今回のミッションでは水深3,000メートルまで潜る予定であるそうだ。
サンゴ礁の音
サンゴ礁は海の生命力を象徴すると存在で、地球の環境や気候の変化にも敏感に反応する生物だ。
そこは色とりどりの魚や無脊椎動物が暮らす美しい海底の森で、それらの生命が発する様々な音がは、サンゴ礁の健康状態や生態系のバランスを示す指標となっている。
音が多くて賑やかなサンゴ礁は、生物が多くて活発なことを意味する。Googleではオーストラリアやインドネシアなどの世界各地のサンゴ礁で録音された音を聞くことができる動画を公開中だ。
サンゴ礁の音を聞いて、その美しさや素晴らしさ、生物多様性を実感してみよう。
References:Charles Darwin Foundation – Scientists Discover Pristine Deep-Sea Coral Reefs in the Galapagos Marine Reserve / First “Pristine” Deep-Sea Coral Reef Found Off The Galapagos Islands | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
まあエルニーニョが原因ならそれもまた大自然。
小氷期が来たらまた死滅したりするしなあ。
深海でも珊瑚が育つとすら思って無かったわ
骨格を作らないソフトコーラルかと思ったら本当に硬いサンゴっぽい。でも触手の部分が大きいから、光合成依存じゃなくて言えば骨のあるイソギンチャクって感じなのかな。そう考えると光合成もできるハードコーラルに進化前のソフトコーラルって感じもする。
>>4
見た感じ、ヤギのような八放サンゴみたい。あとはキサンゴみたいなやつか。いずれにせよ光が届かないから浅瀬のサンゴと同じ種は生きられない。
サンゴがあぼーんした海域にサンゴを移植しても1か月後には
全滅してるし、海の世界はホント不思議だ
絶海の島々のガラパゴスの陸上とは違って
海中は他の世界と陸続き海続きになってるんだから特に新種とかいなさそう
ガラパゴス諸島近辺は海底火山と湧昇流のおかげでプランクトンが多いらしいから、その沈殿物を食べてる感じかねえ。
>>8
サンゴの肥立ちが良かったんだな…
> 今回のミッションでは水深3,000メートルまで潜る予定であるそうだ。
人はダイジョーブなの?!
>>9
アルビン号は最高深度6500mまでいけるからよゆーよゆー。
かなりの改修を繰り返してテセウスの船状態らしいけど、建造後60年経ってるのにいまだ現役とはすごいな。
朝日だけには教えるな
シーラカンスみたいにひっそりアンモナイト生きてて見つかったりしないかな