微風に揺れる愛の花。
微風がわたしの心を
揺らして過ぎる
蕾の時から待っていた
やがてこの日が来る事を
貴方がわたしを
見つけてくれて
そっと優しく
摘み上げてくれるのを
秋桜を撮るためだけに今回は4箇所を巡る結果となった。先ず始めに向かったのは都会のオアシスと呼ばれている『浜離宮恩賜庭園』。緊急事態宣言中であったため、事前に予約を取る必要があった。平日だった事もあり訪問者は指で数えるほど少なく、のんびり出来たのは良かったのだが…。
コスモス畑を見て回ると、既に見頃のピークを過ぎていたためか、枯れて萎れた花がかなり目立ち、自分が思い描いていた絵が撮れない残念な結果となった。東京五輪開催のため、今年は例年よりかなり早い時期に種を蒔いたようだ。
なんとしてもコスモスを撮りたいと言う気持ちは全く収まらず、日を変えて次に向かった先は江戸川区にある『篠崎ポニーランド』。この場所にも規模はさほど大きくはないが、コスモス畑が幾つかある。子どもたちが小さかった頃、家族4人で瑞江に15年ほど住んでいたため、故郷に帰省したような懐かしさと親しみを感じた。
ところがである、何処を見渡しても想像していたコスモスの姿が見当たらない。更に、ポニーランド自体はこの日、葛西臨海公園へ出張乗馬のため休園だった。ポニーもコスモスも見れないと言う踏んだり蹴ったりの結果だった。確かに畑はあり、僅かだが強い風にも負けず健気に咲いている秋桜はあった。畑に居たご老人に聞いてみると、既に刈り取ってしまったらしい。
今年はすかっり秋桜に見放されてしまったようだと独り言を呟きながら、帰り道の足取りは重く重くカメラ機材も更に重く感じた。だが、秋桜への執念はさらに深くなり、次に訪れたのは『葛西臨海公園』。大観覧車を背景にしてコスモスを撮ろうと意気込んで行ったのだが、コスモスなど何処にも咲いておらず、観覧車の下には枯れ切ったひまわり畑があるだけだった。「二度あることは三度ある」と言うが、全くその通りになってしまい、気持ちが砕けると言うよりも、ここまで秋桜に嫌われたかと、つい笑ってしまった。目的を果たせなかった時の疲労感は、通常の3倍、4倍にも感じられ、「やーめた!」と放り出してしまいたくなるのだが「絶対撮ってやる!」という執念の炎がメラメラと燃え盛って行った。
ここに行けば何とかなると目指したのが最後の砦『昭和記念公園』。だがこの頃、わたしは体重が増え始め、心臓にかなり負担が掛かっていた。それでも体調不良を無視して強行した。この日は好天に恵まれ、残暑もかなり厳しかった。歩くのが辛いと思いつつ、立川口のゲートを潜る。コスモス畑の拡がる場所まで歩いて30分は掛かったが、目前に拡がる広大な畑を見て、漸く念願がかなったと思ったのだが…。
台風16号の影響で強風に晒されたコスモスたちは、殆どが斜めになぎ倒されていた。空に向かって真っ直ぐ伸びるコスモスが見当たらない…。然し、それでも諦めずじっくり時間を掛けて撮りまくった。多分、2時間は撮影だけに費やしたと思う。本当は西に沈む夕陽を背景にしたコスモスを撮りたかったが、ゲートは17時に閉門となる。そのため、夕暮れ時のコスモスは諦めるしかなかったが、何とか思い描いた花を何枚か撮影出来たので、漸く肩の荷が下りた。帰りはヘトヘトで呼吸も苦しく誰もいなければその柔らかい芝生の上で眠ってしまいたかった。