五輪カラーに染まる橋。
緊急事態宣言が延々と続く中、都内の橋の殆どはライトアップを中止していたが、この時だけは違ったようだ。東京五輪開催に合わせて、隅田川に架かる橋の幾つかが五色の色にライトアップされる事を私は知らなかった。足の怪我が漸く歩けるまでに回復したため早速、竹芝桟橋の夜景を撮影に行った。その時に、何気なく隅田川方面に視線を投げると、派手な色に光る築地大橋が眼に飛び込んで来た。
なるほど、五輪開催中だから五輪カラーにライトアップされるんだな。と納得し、その場で撮りたいと言う撮影意欲がメラメラと燃え上がって来た。然し、怪我から回復したばかりで、竹芝から築地大橋まで歩いて行く元気は流石に残っておらず、日を改める事とした。
数日後、都営大江戸線の勝どき駅で下車し、勝どき橋を目指す。頭の上には真夏の太陽が煌々と照り輝いており、陽が沈むまでには時間がたっぷりあったので、隅田川テラスを散策しながら太陽と川面と雲のコラボを撮影したりして時間を潰した。
18時を過ぎた辺りから漸く夕闇が始まりを見せる。天候の変化を観察しながらそれらをカメラに収めるのも愉しい作業である。その先に待っている目的を達成するまでの時間の流れもまた撮影の醍醐味。
暮れなずむ空を眺めつつ築地大橋へと歩を進める。三脚にカメラを固定し、その瞬間を待ち望んでいる若きカメラマンが数人いた。この日の為に私はZレンズをもう一本購入した。それがZ14-30mm f/4 S である。このレンズ14mmと超広角にも関わらず目玉が飛び出していないのである。だから保護フィルターを装着出来るのだ。しかもかなり軽い!型番にSが付いているのは『S-Line』と呼ばれ、次世代の高度な光学性能を追求したレンズの事を言う優れもの。
19時を少し過ぎ、辺りに暗闇が迫った頃、築地大橋が見事な五色に点灯。橋全体が五色カラーに光るのはこの築地大橋だけだと思う。一箇所だけでの撮影では勿体ないので、築地大橋の目近で撮影したりと、この橋を撮影するだけでも1時間以上掛かったのではないだろうか。足の怪我などすっかり忘れて、心地よい疲労感に包まれながら帰路に着いた。