喪中(幼き日の思い出とともに…)。
喪中につき新年のご挨拶をご遠慮させて頂きます。
郷里の藤枝に住んでいる従姉の父親『神戸福治』が93才にて老衰の為、永眠致しました。
一昨年末に亡くなった伯母『ふさ枝』の後を追うように、静かに息を引き取ったとの事でした。従姉からその知らせが届いたのは私が入院中の事だった為、喪中ハガキを用意する準備時間もなく、また藤枝に帰省し、仏前に手を合わせる余裕もありませんでした。
ふさ枝、福治、この両人とも幼い頃に大変お世話になっており、私にとっては親も同然の存在でした。暴力団との諍いで逮捕された父『信夫』が、藤枝警察署の拘置所で号泣した話しを今でも忘れられません。
※藤枝警察署の取調室に男が四人いた。父を中心に話し込んでいるのは担当の巡査、伯父の福治、そして祖父の弟、良一だった。
「信さん、どうするよ」と巡査が言った。
警察署員が犯罪者に「さん」付けで呼ぶのはこれが初めてではないだろうか。元々父はここの署員だったし、同僚も数名おり、顔なじみだったからだ。皆の前でうなだれ、酒の切れた父はそれこそ牙を抜かれた狼同然だった。福治が続けて言う。
「俊樹をどうするつもりだ」
「おみゃーが服役している間は俺んとこと良ちゃんちで面倒みるから」
「もう二度と馬鹿なことするじゃにゃあぞ」
福治の言葉が相当こたえたのか、父は涙をぼろぼろ零し泣いた。自分の愚かさを嘆いていた。もうこんな馬鹿な事は二度とするまいと誓っていたのかもしれない。
※小説『届かなかった僕の歌』より引用。
語り尽くせぬほどの思い出を私に与えてくれて、本当にありがとうございました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
昨年は当ブログをご贔屓頂き誠にありがとうございました。本年も皆様のご多幸を願いつつ、宜しくお願い致します。
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