あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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男女の給与差からわかる、あまり変わっていない出世差

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前の記事(↓)にも書いてますが、暇なときの私の趣味はいろいろな統計数字をひねくりまわすことです。

 

hirayasu.hatenablog.com

 

で、今はまったく暇ではないんですが、ついついいじり始めた国税庁による民間給与実態統計調査に少しはまっています。

で、

今回見つけたのは「女性活躍全然できていないよね」というものです。

原因まではわかりません。

ただ、統計からの推測はいくつかできそうです。

 

まず資本金10億円以上の大企業での男性と女性との給与帯別分布を見てみましょう。

(グラフ1)

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男性の山が600万~700万くらいのところにあるのに対し、女性については200万円くらいを頂点に、500万円くらいで少し上がるそぶりを見せるものの、そのままなだらかに右肩下がりです。

1000万~1500万で少しだけあがるのは男性と同様の傾向ではありますが、その高さはずいぶんと低いですね。

 

民間企業給与実態調査には有期雇用の方のデータも入っているので、その分が給与額的に下の方の山になっています。有期雇用の方の中では女性の方が多いということが見えます。

500万円くらいの山は、会社にもよりますが結婚や出産を理由に退職・休職する手前の年収帯だと推測できます。

そこからなだらかな右肩下がりは、それなりに出世していく女性たちがいることがわかります。

ただ、高収入な産業における女性割合は高くないという可能性もあり、それが男性との山の違いになっているのかもしれません。

 

さて、この傾向は実は資本金額にかかわらないものだ、ということがわかっています。

(グラフ2)

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このグラフで一番薄い線が先ほど示した資本金10億円以上の女性給与のグラフです。

資本金が下がっていっても、200万円くらいのところの山は変わっておらず、むしろ500万円くらいの山が消えるので、有期雇用の方が増えていたりする可能性も読み取れます。

具体的に資本金2000万円以下の男女比較はこんな感じ。

(グラフ3)

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まだ探していないんですが、例えば新卒で入るときの男女比とかから経年分析してみれば、結果として女性の出世比率とか見えてくるかもしれません。

 

人事制度的には女性だから昇進を遅らせる、という仕組みはないのですが、運用面でそれに近しい判断をしている会社があるのかもしれません。

 

ということで、今日の記事はそんな分析結果を示すにとどまります。

 

あとおまけ。

実は女性の給与グラフで欠かせない属性があります。

それが「資本金:その他」。

(グラフ2)にその他を足してみると、以下のようなグラフになります。

 

(グラフ4)

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この「資本金:その他」は何だと思いますか?

答えは少し改行した先に書いておきます。

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答えはこちら。

「その他の法人」
:株式会社を除く次の法人をいう。
有限会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、企業組合、相互会社、医療法人、特定非営利活動法人、人格のない社団等、協同組合等、公益法人等、公共法人及び外国法人。
なお、公益法人等及び公共法人のうち、職員の身分が公務員に準じている公庫、事業団、公社、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人は調査対象外としている。

 

代表的なものは医療法人(医師、看護師など)、法律事務所、弁護士法人、監査法人、税理士法人などですね。

公務員は入っていないので注意。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

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