2013-01-01から1年間の記事一覧

詩人の消滅(2013)

大晦日、この言葉を聞くまで12月31日にそんな名前があった事等忘れていた。知らなかった事にして今日をやり過ごせばよかった、そんな気持ちである。 この一年を振り返ってみれば、仕事を変え、とは言っても内容には変わりなく、知ったような態で毎日の仕事を…

『パリ、ただよう花』

ロウ=イエ監督作品『パリ、ただよう花』を観た。 冒頭、中国人女性がフランス人男性に縋っている。「私を抱いて。愛情はいらないから。」と。 フランス人男性は「たしかに中国では楽しかったが今は愛情もない。彼氏はいるのだろう。」と突き放し、宥める。 …

2013年下半期の音楽

今年下半期に聴いた音楽をまとめた。金銭的に余裕があるとはいえないなか、適当にダウンロードなりCDショップにて購入していた。 →上半期の音楽

2013年の読んだ漫画メモ。

今年は読んでいた漫画が連載を終えた年だった。 「GANTZ」、「おやすみプンプン」、「アフロ田中」。 特に「おやすみプンプン」の終盤は読みながら不安になるしかなかった。それに比べると「GANTZ」と「アフロ田中」は終わりに笑ったという点で素晴らしいの…

『女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」』

川田宇一郎著『女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」』を読んだ。 本書は以前から気になっていたものだった。 なぜ、小説に於いてヒロインが死ぬという事態が起きるのか、本書はその構造を考察したものである。 川端康成、庄司薫…

『福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2』

『福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2』を読んだ。 『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』の続刊。本書は題名の通り、福島第一原発の観光地化計画案が掲載されている。 本書は4部から構成されている 制度をつくる 福島第…

すべてはモテるためである

二村ヒトシ著『すべてはモテるためである』を読んだ。 「あなたがモテないのキモいから」という本書の有名の言葉がある。ただしく引用すれば「なぜモテないかというと、それはあなたがキモチワルいからでしょう。」である。本書は非常に冷静怜悧なモテるため…

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな

ジェーン・スー著『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』を読んだ。 著者は作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍している。私はラジオで著者の30代女性の恋愛事情についての語りに爆笑したくちであり、本書も笑っ…

『ベンヤミン 子どものための文化史』

ヴァルター=ベンヤミン著小寺昭次郎・野村修訳『ベンヤミン 子どものための文化史』を読んだ。 本書はベンヤミンが1929年~1932年に子どものために定期的に放送した講演シリーズのタイプ原稿を集めたものである。ベンヤミン自身はこれらの仕事を「パンのた…

夜の経済学

荻上チキ、飯田泰之著『夜の経済学』を読んだ。 経済学という謳っているものの、夜の、という言葉が示す通り、風俗、個人売春、アダルトメディア、若者、生活保護、流言等について扱っている。 但し、データを自ら収集し、それを解析しており、その方法も丁…

虚構内存在

藤田直哉著『虚構内存在』を読んだ。 本書は筒井康隆が提唱した「虚構内存在」及び「超虚構理論」が論じられる。 「虚構内存在」及び「超虚構理論」とは、 本論で詳細に論じるので、ここでは非常に単純化して述べるが、それは、 フィクションの中のキャラク…

『ボンクラーズ、ドントクライ』『オブザデッド・マニアックス』

大樹連司著『ボンクラーズ、ドントクライ』『オブザデッド・マニアックス』を読んだ。 以前、読んだ『ほうかごのロケッティア』を含めて著者の三部作になると勧めた友人から聞いている。 本書を読んだ後、川田宇一郎著『女の子を殺さないために 解読「濃縮還…

『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』

國分功一郎著『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』を読んだ。 本書を要約すれば、 国民の主権とは立法権である。 国民は選挙によって議会に議員を選出する。 議会で議員は法律を制定する。 しかし行政が実施しようとする政策は国民…

かぐや姫の物語

高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』を観た。かぐや姫の物語とは何だろうか。昔話として、中学、高校の古典の題材として馴染みがあるものの、詳細を思い出そうとすれば、求婚者に無理難題を吹っかけるという件は思い出せるものの、なぜかぐや姫は地球に来たの…

ゼロ・グラビティ

アルフォンソ=キュアロン監督作品『ゼロ・グラビティ』を観た。

『モダンタイムス』『ゴールデンスランバー』

伊坂幸太郎著『モダンタイムス』『ゴールデンスランバー』を読んだ。また映画『ゴールデンスランバー」も観た。 尚、『モダンタイムス』は『魔王』の続編という設定の為、『魔王』を再読した。 これらは『死神の浮力』を読み、とりあえず『ゴールデンスラン…

パシフィック・リム

ギレルモ=デル=トロ監督作品『パシフィック・リム』を観た。

ロシア映画傑作選

シネマヴェーラ渋谷「ロシア映画傑作選」にて『殺し屋』『エレジー』『ピロスマニのアラベスク』『炎628』を観た。 『殺し屋』『エレジー』『ピロスマニのアラベスク』は短編、『炎628』は長編である。

夜の果てへの旅

セリーヌ著生田耕作訳『夜の果てへの旅』を読んだ。 手に取った理由はブコウスキーがセリーヌの著作を愛読していた事を知った為である。医学生である主人公バルダミュは友人と論争の末、勢いで第一次世界大戦に従軍、負傷後、アフリカ、アメリカを遍歴、フラ…

誰も戦争を教えてくれなかった

古市憲寿著『誰も戦争を教えてくれなかった』を読んだ。 本書は著者が、主に第二次世界大戦、アジア・太平洋戦争を扱った各国の戦争博物館を巡り、その記憶を遺し方、その意味を検討したものである。各国の戦争博物館を巡る事によって現在に、第二次世界大戦…

映画を見に行く普通の男

ジャン=ルイ=シェフェール著丹生谷貴志訳『映画を見に行く普通の男 映画の夜と戦争』を読んだ。 著者はロラン=バルトの推薦により絵画理論を発表し美術理論家として注目された人物であり、ドゥルーズ『シネマ』(第二巻、「時間イメージ」)に於いて本書…

果てしなき渇き

深町秋生著『果てしなき渇き』を読んだ。 著者のブログを読む機会はあり、いつか著作も手に取ってみようと思っていたところ、中島哲也監督により本書を「渇き」として映画化するとの事。この機会にと思い本書を手に取った。元警官の警備員が出会ったコンビニ…

風立ちぬ

宮崎駿監督作品『風立ちぬ』を観た。 私はこの作品を観ながら虚しさ、やるせなさを感じていた。そしてその感情は、この物語で描かれる日本が戦争し敗戦を迎えるという事実から来るものだと思っていた。 しかしそれは間違いだった。

死神の浮力

伊坂幸太郎著『死神の浮力』を読んだ。 『死神の精度』の続編、主人公は変わらず死神の千葉、そして短編の形式から長編になっている。 死神の仕事にはルールがある。情報部から情報を受け取った死神は対象者の死の可否を判断する為、接触を図る。その期間は7…

『まんが 哲学入門』

森岡正博+寺田にゃんこふ著『まんが 哲学入門 生きるって何だろう?』を読んだ。 森岡正博と言えば「草食系男子の恋愛学」、「感じない男」と言ったセクシャリティの問題を扱った著作が有名であるが、私のこれらの著作を読んでいない。 そんなところで本書…

惜日のアリス

坂上秋成著『惜日のアリス』を読んだ。 冒頭を読みながら余りにたどたどしい文章が続いた為、読むのを辞めようかと思ったのだが、そのたどたどしい文章は主人公が起きた出来事を言葉にしていた為だと気がつき、そのまま読み進めた。本書は著者の小説デビュー…

『文化系トークラジオ Lifeのやり方』

鈴木謙介 長谷川裕+Life Crew著『文化系トークラジオ Lifeのやり方』を読んだ。 本書はTBSラジオで現在も放送されている『文化系トークラジオ Life』を書籍化したものだ。 番組プロデューサーである通称「黒幕」こと長谷川裕による番組制作の経緯やどのよう…

『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』

『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』を読んだ。 東浩紀等が立ち上げた株式会社ゲンロンで創刊された思想地図βの新刊。尚、思想地図βでは東日本大震災が発生した年に「震災以後」と題した特集号を発刊している。 本書は、1986年4…

言の葉の庭

新海誠監督作品『言の葉の庭』を観た。 友人の勧めによる。もちろん気になってはいたが、敢えてこの作品を観る為に映画館へ足を運ぶという気にはならなかった。当の友人はブログにて本作への思いを語っている。本作を観ながら、私はなかなかこの物語に没入す…

海炭市叙景

佐藤泰志著『海炭市叙景』を読んだ。 加藤典洋著「文学地図」内の時評に紹介されており興味を持ち手に取った。舞台となるのは北海道の架空の地方都市「海炭市」である。解説によれば海炭市のモデルになっているのは著者の故郷である函館市である。海炭市とあ…