猪熊家
猪熊家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 12:54 UTC 版)
猪熊 柔(いのくま やわら) 声 - 皆口裕子 本作の主人公かつヒロイン。東京都世田谷区「北下沢」出身の、1969年12月8日生まれ。16歳→22歳。都立武蔵山高校→三葉女子短大家政科→鶴亀トラベルの会社員。 幼年期より祖父から柔道の手ほどきを受けた天才。階級は48 kg以下級だが、祖父の意向で無差別級の試合にも出場している。得意技は一本背負い。街でひったくり犯を巴投げするまでは、柔道の実力を隠していた。並の柔道部員では一日として実行できない練習を毎日欠かさず行なわされているが、本人はそれが普通であると思っている。結果、その特訓を新入部員100人に課したところ、須藤以外全員脱走・退部してしまった他、蛯天堂大学柔道部員も花園の稽古についていけないとこぼしている。第1回クジTV杯柔道選手権大会直前では初段。後に弐段に上がった。5歳の時に父を巴投げで負かし、その後父が失踪したため、柔道を続けるのは本意ではなく(柔道の練習は祖父の意向と幼少時からの習慣で続けている)、第一話の路上をはじめ何度か巴投げを使用している一方で、父が稽古をつけたさやかが相手の時はトラウマが原因で巴投げを躊躇していた。 序盤は「普通の女の子になりたい」と言い続けていたが、後半は父との関係のために嫌がっていた柔道に本気で打ち込むようになり、終盤では純粋に楽しむようになる。バルセロナオリンピック後は仲間の柔道選手が次々と引退して「普通の女の子」に戻っていく中、みんなに夢を与える柔道選手としての道を歩み続けている。 短大時代には、柔道もちゃんとやることを条件に富士子とともにマックイーンバーガーでアルバイトをし、富士子が柔道部を秘密裏に設立した際は頼まれてシフトも代わりに入ったりもしていた。 ソウルオリンピック無差別級金メダル、バルセロナオリンピック48 kg以下級・無差別級金メダル。そして国民栄誉賞を受賞。試合で負けたのは父の虎滋郎が本阿弥さやかのコーチであることを知ったショックで試合を放棄した不戦敗の1回のみ。 父方の祖母や母親に似た美人で、異性にもモテるが思い込みが強い引っ込み思案に育っており、恋愛もウブで鈍い。高校時代は同級生で学校のアイドル的存在である錦森広之のファンだった。序盤は風祭に好意を抱いており取材目的で付きまとう松田を快く思っていなかったが、大学受験での援助を契機に松田の取材を越えた優しさに次第に惹かれるようになる(逆に風祭をぞんざいに扱うようになる)。しかし、聞いたことを何でも真に受けてしまうため、邦子や風祭によって事ある毎に松田の印象を下げられ、ほぼ全編を通して柔と彼はお互いの関係に思い悩むことになる。また、関係がこじれた時は柔道に身が入らなくなり、試合では判定を取られたり判定勝ちに留まったりしている。祖父からバルセロナ五輪での金メダルと国民栄誉賞を取るまで男は一切禁止されており、門限も厳しいため外出の際には適当な言い訳を作るか母親に協力してもらっていることも多い。ジョディだけは当初から松田を彼氏だと見抜いていた。 得意料理はビーフストロガノフ。 猪熊 滋悟郎(じごろう) 声 - 永井一郎 柔の祖父で、虎滋郎の父親。1914年山形県生まれ。語尾に「ぢゃ」が付く。非常に小柄な体格だが、1935年から1939年にかけて全日本柔道選手権大会5連覇の実績を持つ、柔道家。七段。年齢を重ねてもなお、ジョディに戦わずして負けを認めさせ、テレシコワの左腕を極め、男子日本代表選手を投げ飛ばす。現在は接骨院を経営し、イモリなどを煎じた薬を処方する。自宅に道場を併設している。食い意地が張っており、孫娘の試合を観戦する時にはたくさんのお菓子を持って席につく。自著「柔の道は一日にしてならずぢゃ」は多くの柔道家の愛読書となっており、世界中の柔道家にとっては尊敬の対象。有名な柔道選手・コーチが必ず同書を所持しているエピソードが随所にある。ポイント勝ちや、合わせ技などに頼らない「一本取る柔道」がモットー。 自信家であり、面会した相手に自身の武勇伝をとうとうと語る。目立ちたがりであり、大会の度に、呼ばれてもいないのに実況席などに乱入しては物を食べながら解説役をする。名前を覚えるのが苦手で、よく相手の印象やコンプレックスを露骨に出したあだ名をつける(後述)。愛嬌はあるがかなりの頑固者かつ厳格な性格。特に孫娘には非常に厳しく、彼女に柔道を続けさせるためなら手段を選ばなかったり、度々容赦ない悪態を言ったりするが、これは本人なりの期待と愛情表現でもある。柔の親友の富士子に対しても手厳しい面があるが、彼女を含め、自身の認める柔道をする者は立場、国籍など問わず評価する。 1935年に上京し、全日本柔道選手権に初優勝、牛尾カネコにプロポーズしている。新婚旅行先は熱海。 若い時のエピソードは、『JIGORO!』として単行本化・アニメ化(都合3話)もされている。また戦時中は陸軍に召集され、東南アジアに出征しており戦地で終戦を迎えている。陸軍時代の階級は伍長。 名前を覚えるのが苦手な故、呼びやすいように変化させることも少なくなく、松田を「日刊エヴリー」→「松っちゃん」、風祭を「風見鶏」、富士子を「ノッポの姉ちゃん」、ジョディを「ジョデー」、マルチネスを「まねき猫」、テレシコワを「角刈りの姉ちゃん」、フルシチョワを「フルチン」、デービスを「でべそ」、三葉女子短大を「ミーハー女子短大」と呼ぶ。 基本的に目立ちたがりのおしゃべりでありサイン頼まれれば快くするが、言われなくても勝手にサインしてしまう。 スケベであり、友人とアダルトビデオ鑑賞したり、加賀の胸を揉む、柔の入浴を見るなどの行為がある。 猪熊 玉緒(たまお) 声 - 藤田淑子 柔の母親。失踪した夫の行方を追って全国を探し回り、家を長く留守することも多い。おっとりしていて優しいが、芯は強い。彼女が不在時の家事は、柔がする。和食料理の味は絶品。柔道がなかったら夫とは出会っていないらしい。 猪熊 虎滋郎(こじろう) 声 - 岡部政明 柔の父親で滋悟郎の息子。柔道家であり、1974年の全日本柔道選手権では優勝している。柔が5歳の時、彼女に投げ飛ばされたのが原因で失踪した。柔は父を傷つけたせいだと勘違いしているが、実際は娘の「天才」ぶりに感動するあまり、「凡人」である自分を鍛えようと武者修行に出たことが理由。世界各地で柔道の指導者をしており、柔のライバルである本阿弥さやか・マルソーなどのコーチにもなる。性格はぶっきらぼうであるが、本阿弥さやかに対し自分の指示に従わせ、師弟関係を成り立たせることができる(風祭評)など、指導力は高い。 父親に似て食い意地が張っており、好みの菓子の種類も見事に同じであるが、体格は大柄で口数も少ない。 ソウル五輪の際、松田に発見・追跡されて投げ飛ばした後に失踪した事情を告白。さらに、テレシコワの決め技を柔に伝える。直後にさやかの部下に発見されてコーチになることを承諾する。 バルセロナ五輪48 kg以下級決勝のマルソー戦後柔と再会、パリのカタツムリのうまい店に家族そろって食べに行くことを約束する。 猪熊 カネコ 声 - 皆口裕子 虎滋郎の母親。旧姓:牛尾。初期の時点で15年前に他界。父親・牛尾馬之助は滋悟郎の心の師匠であり、馬之助死後は道場を切り盛りしていたが衰退激しく、しばしば地上げ屋に狙われていた。地上げ屋を投げ飛ばした滋悟郎を「父の柔道は喧嘩のための道具ではありません!」と言って一本背負いで投げ飛ばしたことがあるほどの強者でこれを見た婚約者は逃げてしまう。若い頃は柔に瓜二つ。
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