比重
比重とは、物体の質量とその物体が占める体積の比率である。単位は、国際単位系(SI)ではキログラム毎立方メートル(kg/m³)が用いられる。比重は、物質の密度と同義であり、物質の種類や温度によって異なる値を示す。比重の計算式は、質量(m)を体積(V)で割ることで求められる。すなわち、比重 = 質量 / 体積である。
比重の測定方法には、浮沈法やピクノメータ法などがある。浮沈法は、物体を液体に浮かべて、その沈み具合から比重を求める方法である。一方、ピクノメータ法は、一定の容積を持つ容器(ピクノメータ)に物質を入れ、質量の変化から比重を求める方法である。
比重は、物質の同定や物性の評価に用いられる。例えば、金属の純度や合金の組成を調べる際に比重を測定することがある。また、液体の濃度や溶液の組成を求める際にも比重が利用される。さらに、土壌や岩石の研究においても比重が重要なパラメータとなる。
比重は、物質の状態変化に伴って変動することがある。温度が上昇すると、多くの物質では体積が膨張し、比重が低下する。また、圧力が増加すると、体積が圧縮され、比重が上昇することがある。このような温度や圧力の影響を考慮して、標準状態(通常は0℃、1気圧)での比重を参照することが一般的である。
比重の概念は、アルキメデスの原理と密接に関連している。アルキメデスの原理は、物体が液体に浮かぶとき、その物体に働く浮力は、その物体が押しのける液体の重さと等しいという法則である。この法則により、物体の比重と液体の比重の関係から、物体が沈むか浮くかを予測することができる。
比重
「比重」とは、同じ体積の「試料」と「標準物質」の質量の比であり、言い換えれば「同体積の試料の質量を標準物質の質量で割った値」を意味する語である。標準物質には水(1気圧における4℃の水)が用いられることが多い。
「1気圧における4℃の水」は、1立方センチメートル(1cm3)あたりの質量が「ほぼ1グラム(g)」である。標準密度は「1」とされる。
比重は、一般的には、固体や液体の密度と水の密度の比を意味する。気体の比重の場合は標準状態の空気(0℃、1atm)と比べる。英語では specific gravity が使われる。specific には「特定の」という意味がある。密度を示す単位は、g/cm3 や g/ml などだが、比重そのものは密度同士の「比」であるので単位、記号はない。
比重は標準密度1に対して比べる物質の密度が1より大きければ水より重い物体であり水に沈み、1より小さければ水に浮くことを意味する。例えば、鉄の比重は7.85で、水「1」に比べ大変重いことが分かる。
比重の計算はまず物質の密度計算をする。密度を求める公式は「質量÷体積」である。密度計算に使用した質量の単位(g、kg)と体積の単位(cm3、m3、mlなど)は取り違えないよう注意する。密度を示す単位は、計算に使用した単位をそのまま使い、例えば「g/cm3」と表記し、読みは「グラムパー立方センチメートル」である。それぞれの物質の比重は決まっているが、物質は温度によって体積が変化するので、比重も変わる。水自体も温度変化により、標準密度に対して変化する。また、計算に使うのは物質そのものの重さである「質量」であり、重力の影響を表す「重量」ではない。重量を使う場合は「比重量」となる。
ひ‐じゅう〔‐ヂユウ〕【比重】
比重
【英】: specific gravity
ある温度(t1)におけるある体積の試料の質量と、それと等体積のある温度(t2)における水の質量との比をいう。 t1 が 15 ℃で t2 が 4 ℃の場合を例にとると、比重 15/4 ℃としてその後に値を記す。石油の比重は、通常 15/4 ℃の値で示される。一般に、t2 は 4 ℃か試料温度 t1 に等しいのが通常で、t2 が 4 ℃の場合には、水の温度の表示を省略して比重 15 ℃のようにする表示法もある。比重と似た用語に密度があるが、密度はある温度における試料の単位体積あたりの質量をいう。用いられる単位は通常 kg/m3 か g/cm3 であるが、国際取引の関係上、g/ml(この ml は古い定義によるもの)や lb/ft3 などが用いられることもある。比重を測定するには、一般に浮きばかり(浮ひょう)または比重びん(ピクノメータ)を用いる。試験方法は日本工業規格(JIS)K2249(原油および石油製品の比重試験方法並びに比重・質量・容積換算表)に規定されている。浮きばかり法は、浮力から比重を知る方法で、所定の浮きばかりを液体試料に浮かせて、メニスカスと一致する浮きばかりの目盛りを読む。15 ℃以外の温度で測定した比重を 15/4 ℃の比重に換算するには、同規格にある比重換算表を用いる。比重びん法は、まず比重びんに水を満たしてその質量を求め、次いで試料を満たしてその質量を求めて、この二つの値から比重を算出する。 |
比重
比重
比重
試料の質量と圧力1気圧、4℃において試料と同体積を占める純粋の水の質量との比をいう。
砕石の場合の比重の測定は、JISにおいて、 粗骨材-A1110、 細骨材-A1109 にそれぞれ示されている。比重
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/15 00:53 UTC 版)
- ^ 計量単位規則 別表第一 項番二、比重(計量単位を付さない)の欄 「物質の質量とその物質の十万千三百二十五パスカルの圧力の下において同一の体積を有する水の質量に対する比 (前段の水の温度は温度を指定したときはその指定の温度、温度を指定しないときは四セルシウス度とする。)」
- ^ 計量単位規則は、この水の性質を明記しておらず、標準物質であるウィーン標準平均海水とすることまでは要求していない。
- ^ 標準大気圧下で密度が最大になる温度(3.984°C )ではないことに注意。なお、3.984°C のときの最大密度は 999.974 95 kg·m−3である(水の性質#密度)。
- ^ 基準器検査規則第432条において水の密度を999.972 kg/m3としている。
比重
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/11 14:55 UTC 版)
比重は宝石の化学成分や結晶構造で変わる。水中と空気中での重さを比べて測るが、比重の知られている重液も使われる。
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比重
「比重」の例文・使い方・用例・文例
- 比重
- 証拠の比重[重要さ]が彼にとって不利であった.
- 銅の比重は 8.93 です.
- 銅は鉄より比重が大きい.
- 大学の教養課程で外国語の占める比重は大きい.
- 比重を測る
- 比重計
- 比重の測定
- 高い相対密度、あるいは比重を持っているさま
- 飛行機が突き進む空気よりも重い比重を持った飛行機に関する
- マグネシウムは軽金属である−−20℃で1.74の比重を持っている
- 相対密度または比重が低い
- 液体比重測定法の、または、液体比重測定法に関する
- 温度の比重測定法の、または、温度の比重測定法に関する
- 密度あるいは比重を測定する装置
- 液体または個体の比重を測定するための計測器
- 密度を測定することにより食塩水の濃度を測定する液体比重計
- 温度計を内蔵する比重計
- 比較的高い密度(約5より比重の大きい)の、または、高い相対原子量の金属(特に水銀または鉛など、有毒であるもの)
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