孫社長が騒いでいたせいだろうか、今電子教科書や電子カルテという言葉が割りと色んな番組で
採り上げられてくるようになった。孫社長は当然のことながら自社で扱うiPadを電子教科書として
推してくるだろう。
私は以前の記事でもiPadによる電子教科書に存在する危険性を書いてみたが、今回はより具体的に
それを追求してみようと思う。
1年生・春、電子教科書を新入間もない子供が受け取り、喜んでいる。
これから小学校の6年間、この電子教科書のお世話になる。
ん・・・?6年間!?
1年生・4月、初めての授業で喜んで立ち上げる。
先生の言うとおりに操作をして誰かの発言を聞く。
次に画面を見ると画面が暗くなっている。
今時のモバイル機器は電池の持ちを良くする為に四六時中触っていないとすぐに画面を暗くする。
その内生徒達に定期タッチが要求される事が理解され、苛立ちの中で授業を受けることとなる。
1年生・6月、梅雨の時期だ。
毎日の雨にうんざりだが、今日の雨は思いのほか大雨だった。
カバンが濡れてしまっていたが、教科書の端っこはふやけてへろへろ~~ではなくて、
電子教科書の端っこは濡れて立ち上がるがどうも動作がおかしい。
なんとかその日はそれでもやり過ごした。
1年生・7月、あれから特に問題の無かった電子教科書。
乾きさえすれば問題は無かったようだ。
と思っていた矢先立ち上がらなくなった。
しみこんだ水分が、季節がら暖められて中で水蒸気になって色んな回路を腐食させていたようだ。
中のデータは全てパーに、交換決定。
2年生・春、そろそろ電子教科書を使い出して一年。
毎日使うものだからバッテリーの寿命が短くなってきた。
学校中でバッテリーについての問題が騒がれる。
いや、全国中の学校での間違いだった。
急遽全国中で電源確保の工事が行われる事になった。
間に合わないので近所の電気屋に走る教師達、5個口、6個口のコンセントアレイを買占めに
走る事になる。充電器を忘れた子供は3限目以降は教科書を忘れたのと同じ事に。
紙のノートを併用していた子供だけがまともに授業を受けれたという矛盾が暴露された。
2年生・初夏。
バッテリーの問題を解決しようとバッテリー交換の話が再度持ち上がる。
しかし
iPadのバッテリーは自分でできない。
それどころかバッテリーの交換は本体丸ごとの交換として処理される。
データの退避や書き戻しを要求される。中には書き戻しでエラー表示が出ることが・・・。
1年生からのデータ全てが消えてしまった生徒が徐々に増えてくるのもこの時期だ。
パソコンのようにファイル単位でのデータの保存なんて考えられてないのでDVD-Rに焼いておく
という自衛手段も取れないという話がちょくちょく語られるようになる。
3年生・秋。
6時間授業のある日も出てきた。
バッテリー問題はより深刻化し、結局邪魔なコンセントは定着してしまった。
熱問題で壊れだす端末も増え、それまでの学習結果を無くしてしまう子供も増えた。
バックアップも始めこそマメに取ってはみるものの、壊れる時に限って半年前までの
データしか残ってなかったりするものである。紙の教科書やノートなら敗れたり汚れたりする
事はあっても一瞬で半年間を失うなんて事はなかったのだが。
6年生・冬。
そろそろ電子教科書での学習効果についての論議が交わされ出す。
授業は紙の頃より思いのほか問題が多いという指摘の中に、一部気になる事を言い出す教師が現れた。
電子教科書で学んだ子供の学習効果が低いという指摘だ。
漢字は読めても書けない。
書けても書き順が滅茶苦茶。
後にそれは氷山の一角だったと知れ渡る事になる。
思いつくままを書いてみたがこれは私が思っていた事を教員免許を持つ私の唯一のタダ友の方と
電話をして練りこんだ話です。
その方曰く、「教育はアナログ部分をしっかりとやっておいてこその最新デジタルが生きる」と言われていました。
今教育の場ではDSを授業に取り入れている学校などもあり、例えば週一時間や二時間はDSで
学研などの専用のソフトを使ったりして学んだりと既に色んな使われ方をしているようです。
彼女曰く「それ以上の使い方の必要性を感じない」とのこと。
例えばDSの脳トレ等のソフトは社会人がトイレや電車の中で使うのは、脳の体操としては有効だろうと。
しかしそれを実際に教育の現場で使おうとした場合、歴史などで年号や起こった事象をひらがな
レベルの"音"としては覚えても、それを果たしてテストで漢字で書けるのかと。
更に繋いだ言葉は、現在は全ての学校に対してパソコン授業などデジタル化の推進は一応進んだ。
しかし今はそこから逆にアナログ回帰が進んでいると。
例えばそろばんや公文が脈々と息づいており、優秀な先生の居る公文などは非常に人気が高いとの事。
「公文はすごいです」と彼女は言う。
デジタル教科書は学習の場やそこに存在する問題点をいい意味でも悪い意味でも知らない孫社長だから
こそ発言できた言葉であって、本当に渇望されるものなら現場からこそ声が上がってくるものです。
医療やボケ防止等でも「指先を使え」「字や絵を描く」等といった非常にアナログな事は誰だって
聞いた事があるはずなのですが、こと孫社長はそういうことは知らないのか、知っていても教科書の
既得利権を剥ぎ取って、自社の商品にその利権を付け替える為なら全く見えないかのどちらかでしょう。
また最近は小学生の子供にでも電車に乗って比較的遠距離に通わせたりすることも有るので携帯を
持たせる親が多いのですが、そういう学校(主に私立)は朝校門で携帯を回収BOXに入れさせるようです。
帰る時に受け取るシステムが構築されているとのこと。
で、その携帯を四苦八苦してロックをかけてみても子供は更にその上を行き、どうにかしてロックを
外してしまい、結局いたちごっこに勝ち残るのは悪知恵に勝る子供の側だという。携帯ですらそうなのに、
iPadなんてもっての他と。
iPadなら野良無線LANやPocketWiFi等、悪用ツールは幾らでも有るわけで、学校の隣に住んでいる人が
八木アンテナで校舎に向かって野良アクセスポイントを公開しないとも限りません。
アクセスポイントを変えれないようにロックする?これもいたちごっこだと思いますけど。
ロックをすればするほど、ハードルを上げれば上げるほど子供はそれを越えてくるというわけです。
先に書いたようにDS等を週一回とかを効果的に取り入れるのが現実的であり、手も頭もろくに
動かさずに楽して勉強してもそれは身につかないというところでお互いの意見が落ち着きました。
最先端チックに思える電子教科書。見た目とイメージの華やかさに騙されてはいけません。
結局楽する事はヒトの能力を一つづつ奪ってきたのは過去の歴史から学べるはずです。
苦労して遠くから歩いて通えば強い足腰になる。
ドン臭く鉛筆で書けばそれだけ多くの脳組織が結合する。
電子教科書にして劣化した分はソロバンに通って取り返すのでは本末転倒でしょう。
教育こそ現場にある足腰を強化すべきなのに安易な発想に走ってはならないと思うのです。
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- 2010/05/27(木) 19:52:02|
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| コメント:2
全くです。
まあ、あえてそんな長々と書かなくても、進研ゼミや学研と言った通信教育大手が、小学生では全て手書き回答なのを見れば明らかなんですが。
孫さんは自分の無知さ加減を声を大にして言い回っているという所でしょうかw
因みにiPadじゃなくてただのタブレットPCならば文中の問題の半分くらいは出ないでしょう。
なぜあんな中途半端なものを電子教科書や電子カルテに推せるのか正直理解出来ません。
- URL |
- 2010/05/28(金) 00:06:32 |
- 通りがかりの置きみやげ #HSDP1/G.
- [ 編集]
iPadは入力と表示のデバイスに徹する。
某自称IT企業のサーバーに全国の学習データを管理。
そのデータは某自称IT企業が独断で「活用」する。
本体は毎年買い換えさせるか、紙の教科書のように無償配布する。
文部科学省が税金でAppleからン百万台調達。
- URL |
- 2010/05/31(月) 02:32:48 |
- 皮肉屋 #R0MGU5vE
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