渡邊曉雄指揮で聞くマーラーの「復活」
作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名  : 交響曲 第2番 ハ短調「復活」(1888-94/1903改訂)
演奏者 : 渡邊曉雄指揮 日本フィルハーモニー交響楽団, 日本プロ合唱団連合, 常森寿子(sop), ヴィエラ・ソアクポヴァ(alt)
CD番号 : 東京FM/TFMC-0013〜14

1978年4月8日東京文化会館、常任指揮者復帰就任記念/第301回定期演奏会ライブ録音の一枚。まだ労働争議が解決していない頃である。少しテープのヒス・ノイズが多いので、イコライジングし手渡しは聞いたけれど、CD化はまずまずの成功だと思う。
何と言っても渡邊曉雄の指揮が素晴らしいのだ。バーンスタインやらショルティやらもあるけれど、近くにこんな言い演奏があるじゃないかと言いたくなる素晴らしさ!!
第1楽章は次第に音楽が温まって焦点が絞られていく感じがいかにもライブっていう感じ。ただ楽員のミスも多く、今ならことなケアレスミスはないよなと思うこともある。でもそうしたことなどどうでもよくなってしまう渡邊曉雄の作り出す音楽のスケールの大きさである。技術的にもかなり難しい音楽であるが、「葬礼」と名付けられた第1楽章を深々としたブレス、重量感と極めてバランスのとれた響きで見事に演奏している。
第2楽章の舞曲調の音楽も歌に溢れ、この作曲家が歌曲の作曲家でもあったことを痛切に思い出させる演奏である。舞曲調のリズムをあまり強調していない点も私のには好ましく感じられる。レントラー風だったりすることもあるが、あまりそれにとらわれすぎるのもいかがなものかと思うからである。
二度出てくる短調のBは単なるくり返しではなく、更に言えば、トリオでもない。舞曲風というだけなのだ。
ピツィカートの最後の主題の回帰もよく揃っていて楽員の集中力も見事で、その後のレガートの部分の美しいことと言ったら!!これでないとマーラーじゃないなと思うところだ。
第3楽章のスケルツォも下手なマニエリズムなどの入り込む余地のない、スコアを真っ正面から読み、マーラーの書いた音符の一つ一つに対する深い敬意が感じられる。
第4楽章の「原光」のソアクポヴァの深々とした歌に続いて奏でられる金管のコラールが、もうちょっとデリケートな味わいが欲しいと思ったけれど、その後はソリストともに全く文句はない。長大な終楽章は合唱も極めて優れていてこの演奏にかける指揮者、オーケストラの意気込みの高さをまざまざと見せつけられた思いである。
私は渡邊曉雄のマーラーは不勉強にもはじめて聞くが、本当に素晴らしい聞き物であった。これで今日はおしまい。明日は「舟歌」のアレンジと確定申告の日である。

写真は前に引き続きアーラウの町を河岸から撮った一枚。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-11 01:26 | CD試聴記
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