作曲者 : KLAUS, Joseph Martin 1756-1792 独→スウェーデン
曲名 : 交響曲 ハ短調「葬送 "Symphonie funèbre"」VB148 (1792) 演奏者 : ヴェルナー・エールハルト指揮 コンチェルト・ケルン このアルバムは こちら ドイツに生まれ、モーツァルトとほぼ同じ時代に生きたクラウスは、スウェーデンのグスタフⅢ世の宮廷作曲家として活躍した。 クラウスはグスタフⅢ世に見出されて、四年間の留学などを経てスウェーデンに住み、様々な作品を残した。 グスタフⅢ世は1792年に仮面舞踏会で背後からヨハン・ヤコブ・アンカーストレム伯爵の銃撃によって命を落としたが、その哀しみのあまりに結核を悪化させあとを追うように亡くなった。 スウェーデンのモーツァルトなどと評されることがあるが、モーツァルトよりもよりロマンチックな色合いが濃い作曲家であった。音楽の都であり帝国の中心ウィーンで活躍したモーツァルトに対して、北欧のスウェーデンで活躍したということもあってか、彼はマイナーな存在であり続けている。 確かに交響作品も多くなく、更に失われたものも多い。(現存するのは十数曲ほど…)だが、聞くべきものを持つ本物の才能を持った作曲家であった。 交響曲 ハ短調「葬送 "Symphonie funèbre"」VB148 (1792)というグスタフⅢ世の死を悼む作品もあるが、これはただ哀しみにとらわれすぎ、音楽としてすでに力を失っているように思う。それならととりあげたいのが嬰ハ短調のこの交響曲だ。 彼は同じ時代の作曲家の中でも短調の作品が多い。ホ短調やこの嬰ハ短調といったちょっと珍しい調性もふくめて結構短調で書いている。ハ長調のヴァイオリンのオブリガートつきの交響曲 ハ長調「ヴァイオリン・オブリガート "Violin obligato"」では第1楽章の長い序奏が哀しみにあふれたなんとも美しい音楽となっている。(ちなみにヴァイオリン協奏曲が残されているのか知らないが、寡聞にして未だ聞いたことがない…が、この曲は部分的にそのヴァイオリン協奏曲と言っても良いほどソロが活躍する。できたら天才石田あたりで聞いてみたいものだ) 嬰ハ短調の交響曲はグスタフⅢ世の宮廷に任用されて後、イタリア、ウィーンへの四年間の留学の時代に書かれたものである。とは言え、充分に成熟した作品であり、決して習作などではないのは当然だ。 調性から感じられることではあるが、悲劇性よりも幻想的な作品であり、宮廷などで演奏するためというより、より個性を表現することに主眼がおかれていて、様式は古典派の範疇にありながら、精神はすでにベートーヴェンなどを先取りしているかのようなところが個性ではないか? 第1楽章は長い序奏を持ち、疾風怒濤の作風が炸裂する。ポリフォニックな技法が大切にされ、音楽が立体的なのも彼の音楽の特徴だと思うが、それがよく出ている。いや、なかなかの傑作ではないか!!聞かないのはもったいない!! ヴェルナー・エールハルトという人はよく知らないがコンチェルト・ケルンはいくつものクラウスのCDを作っているだけに、なかなか手慣れた良い演奏を聞かせる。他にナクソスにペッテル・スンドクヴィスト指揮 スウェーデン室内管弦楽団の演奏で残されているクラウスの全交響曲を聞くこともできるので、これで関心を抱いたならば、ぜひ一度ご賞味あれ!!田舎の作曲家などと偏見をもってはいけません!!何と言ってもヴェルディの「仮面舞踏会」の題材ともなったスウェーデン中興の祖でもある名君グスタフⅢ世のもとで仕事をした作曲家なのだ!! さて、良い天気だ。仕事をしよう!!
by Schweizer_Musik
| 2009-10-18 08:45
| ナクソスのHPで聞いた録音
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