2017年06月04日
太平洋クロマグロの過少報告発覚
資源悪化が問題視され、日本主導での管理強化が避けられない太平洋クロマグロ。 先日も大中型巻き網漁船の30㎏未満の未成熟魚の漁獲枠削減についてのニュースをお知らせしたばかり
その太平洋クロマグロを漁獲する巻き網漁船の会社(8社12隻)に水産庁の立ち入り検査が入って、クロマグロ漁獲の過少報告が発覚したとの報道。 行政処分じゃなくって、修正指導をすることになったらしい。 先日の小型魚500t削減の合意で全まき協会は水産庁に対し、これ以上の削減をしないことなどの条件を提示して、枠の既得権化を推進する動きを見せていますね。 今回発覚した過少申告の例はもしかすると氷山の一角なんじゃないかなあと考えてしまします。 こんなことをやっていたら、資源回復なんてのぞめませんよね。 この情報についても皆さんにお伝えしたほうがいいかと思い掲載しました。
日本経済新聞で報じられていた記事を、全文をそのまま抜粋して紹介します
【 水産庁は3日までに、大型まき網漁船によるクロマグロ漁獲に過少報告があったとして関係漁船に報告を修正するよう指導した。 養殖用の活魚の尾数や重量が1割程度少なく報告されていたもよう。 同庁は再発防止策として活魚のビデオ記録の保存などを求めている。 同庁は今年3月以降、尾数や重量の把握が難しい養殖種苗(活魚)の漁獲成績報告に疑わしさがあった8社12隻を対象に漁業法74条に基づく立ち入り検査を実施。 2014年度分で6社7隻、15年度分で2社2隻が不正確な報告を放置した状態だったことを確認した。 漁獲時に目測などで概数を報告したたま、養殖業者への引き渡し時の尾数確認の結果をもとに修正していなかった。 ただ、「漁業者にごまかす意図はなかった」(水産庁指導監督室)とみて、行政処分は見送り、各社に補正(確定報告)するよう指導した。 まき網漁船による不自然な漁獲報告は今年2月に発覚。 養殖用種苗の小型クロマグロ(ヨコワ)の漁獲報告で、重量を自主規制の最小サイズである平均2キログラムとしたり、1尾単位で記載すべき尾数を100尾単位で丸めたりした例が多数あった。 水産庁がまき網漁船の漁獲成績報告について立ち入り検査したのは初めて。 養殖用種苗の漁獲は、年間十数万~二十数万尾、重量で500~700トン規模。まき網漁船の過少報告により、今後、日本の漁獲実績の修正も必要になる。 】
どうも発端はこうゆう事らしい。 これも日本経済新聞からの抜粋です。。。 (2月27日付け)
【 日本のクロマグロの漁獲データは果たして正確なのか。 そんな疑念が広がりかねない新たな事態が起きた。 昨年暮れに発覚した沿岸の漁協による漁獲の未報告やごまかしに続いて、沖合で操業する大型まき網漁船からも不自然な漁獲量の報告があることが判明。 水産庁はデータの再点検を指示した。 国際的にクロマグロには厳しい漁獲規制を求める声が強まっている。 水産庁は信頼性を高めるため、ビデオによる記録の保存・提出を義務化する検討を始めた。 不自然な報告が見つかったのは、沖合で操業している大型まき網漁船が漁獲した小型クロマグロのデータ。 2014年は多くの報告で1尾平均の重量が2キログラムだったほか、15年の報告にも同一重量、同一尾数の記載が多く見つかった。 水産庁は不自然な報告とし、集計にあたる日本遠洋旋網漁業協同組合(福岡市)など漁業団体と船主に漁獲データの再点検を指示した。 昨秋から実施していた水産庁の調査で、長崎や静岡など計9県で、承認を受けてない船がクロマグロをとったり報告漏れがあったりする事例が判明した。 一方、新たに判明したのは、大型まき網漁船が漁獲し、生きたまま養殖場向けに出荷する幼魚だ。 情報公開制度を利用して水産庁が保有する漁獲データの開示を請求。 2月中旬に開示された14、15両年の報告を分析すると、14年には1尾当たりの平均重量2キログラムとする報告が、78回の操業のうち51回にのぼった。 成長スピードの速い幼魚で、漁獲時期にも最大3カ月の違いがあるのに、不自然なまでに平均重量が一致していた。 平均2キログラムとはきわどい重量だ。 沿岸で主に一本釣りで漁獲する小型漁船と、大型まき網漁船とは漁場争いなどトラブルが続いていた。 主漁場である九州沖では、水産庁が間に入って生後1年に満たない2キログラム未満のクロマグロ幼魚は採らないとする申し合わせが成立していた。 2キログラムは漁獲可能な最小のサイズなのだ。 クロマグロの資源保護のため、一度に大量に漁獲する大型まき網漁船には漁獲上限が設定されている。 もし、最小重量の2キログラムで尾数を報告すればより多くを漁獲できる。 逆に、2キログラム未満の幼魚まで2キログラムとみなして報告したとすれば自主規制を破る行為となる。 また、1尾単位で報告する義務があるのに、100尾単位で丸めた報告が62回もあった。 養殖用に生きたまま漁獲する幼魚(養殖種苗)は高値の場合は1尾1万円近くする。 途中で死んでしまった尾数までカウントしてしまうため、100尾単位で売買代金を決済することはまずあり得ない。 規制が強化され、沿岸の一本釣り漁業者らも漁獲制限の対象になった15年は、平均2キログラムとする報告は操業92回中7回にとどまっている。 しかし、数千尾単位で同じ重量、尾数の報告を記載する不自然な記載や単純な計算ミスが多数見つかった。 まき網漁船を監督する水産庁も不自然な報告内容があることを認めた上で「まき網漁船が所属する漁業協同組合を通じて確かめてもらう」(黒萩真悟漁業調整課長)としている。 水産庁から過去のデータを点検するよう指示を受けた日本遠洋旋網漁業協同組合(遠まき、福岡市)では、「2キログラム未満の幼魚をとらないという規制は順守している」(加藤久雄組合長)と説明しつつ、漁獲報告の不自然な点について船主とともにデータを検証することを明らかにした。 】
太平洋クロマグロの資源状態は危機的状況なのに、管理の甘さと資源管理意識の低さにあきれてしまうばかり。 やはり巻網での数量管理は難しい、出来ないのか。 非難の声が大きくなりそうな予感です
Posted by 勝倉漁業株式会社 at
08:18