広重展(その2)

歌川広重といえば何といっても東海道五十三次の55枚が有名で、今回の展覧会でも日本橋などが展示されていた。
ただ展示されていたものは、思っていたより画面が暗かった。ヨーロッパの画家たちが日本の浮世絵に衝撃を受けた理由に、画面の明るさがあったということを聞いた憶えがある。もっとぱぁーと明るい画面のものもあるのだろう。

ところで東海道五十三次はお茶漬け海苔に入っている。以前は何十枚か集めたら、幾何かの手数料を添えると、55枚の完全セットに交換してくれた。(私もそれで揃えた憶えがある)
また、EXPO'70のときにトランプにして記念品にもなっていた。

また東海道五十三次と同じぐらい有名なのは江戸名所図だろう。他にも、京都や木曽、近江八景などの名所絵がたくさんある。
そうした名所絵がとりあげられることが多く、私も他のジャンルの作品については空白だった。
今回の広重展では、名所絵絵師として有名になる前の下積み時代のものもとりあげているし、花鳥図や美人画も展示されている。また肉筆画にも1コーナーを設けてある。

第1章 雌伏の時代 文政期(1818–30)
第2章 名所絵開眼
    天保(1830–44)前期の名所絵
第3章 名所絵の円熟
    天保(1830–44)中後期の名所絵
第4章 竪型名所絵の時代
    弘化から没年(1844–58)の名所絵
第5章 広重の花鳥画
第6章 美人画と戯画
第7章 多彩な活動
第8章 肉筆画の世界

展覧会企画の「第1章 雌伏の時代」はまだ有名になる前に描かれたものだが、絵はともかく、掘り・摺りはしっかりしていて、昨日も書いたが、髪の毛の細い表現などは見事。絵師の力量とはいえないが、版元はそれだけ広重を買っていたのかもしれないと思った。

名所絵については今更コメントは控えることにして、花鳥図、美人画だが、花鳥図は若冲を見たことがあれば、広重のは型通りというかあまり凄みは感じなかった。
美人画については、既に人気を得ていた広重作品ということで、それなりに売れたという解説が付いていたが、気になったのは、女性の眼がなぜかやぶにらみ状態に見えること。役者の見得ならわかるけれど美人画でこれはどうなんだろう。

誰だったか(同時期の絵師だと思う)、広重は人物を描くのは下手だと評したことを何かで読んだ憶えがある。


こんなものも描いたんだと面白かったのは、草紙類の挿絵。それに源氏絵も描いている。
ただ若紫がただ小さいだけで、あんまり可愛くないと見えるのは、やはり人物は得意でなかったということか。

最後の章は肉筆画の世界となっている。やはり版画とは違う繊細な表現が見られる。やはり絵師としての表現力はただ者ではなかったのだろう。

ところでこの展覧会では一部の作品については撮影が自由になっていた。(他の客の迷惑にならないようフラッシュは禁止)
この撮影可の作品と他の作品の違いはなんだろうと考えたが、作品自体にそれほど差があるようには思えない。推測だが、撮影可の作品は一ヵ所にまとまっているので、撮影者が他の客の邪魔にならないようにするためだったのだろう。

全作品を撮影可にしたら、撮影者がばらけてより良いようにも思うけど。

せっかくだから、何枚かを撮影しておいたけど、図録のほうが綺麗だからこだわりはない。

絵画に限らず、名所などの写真って、写真集が出ているから、無理に撮ることもないと思うけれど、どうしてみんな撮りたがるんだろう、自分の姿など入れないで。

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思っていたより画面が暗いと思った


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花鳥図と美人画


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源氏絵(若紫)


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肉筆画

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撮影可の展示がある

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