« kyoto:冷泉家 | トップページ | hotspring:青森県は混浴禁止 »

2010/05/02

名言:高利金融は喉が渇いた人に海水を与えるのと同じ

ボ2ネタで、サイト管理人が次のように書いていた。

ヤミ金が一種のセーフティネットとして機能しているのではないかという視点が考えさせられます。また,日本のように公的なセーフティネットが十分ではない国では,「金がない人は借りずに我慢しなさい」的な単純な発想では,現実に起きている事態に対処できないことを思い知らされます。

これに対するコメントに、いくつか名言がちらほら。

曰く、

クレサラB 2010/04/29 19:39
受任通知で請求が止まる旨説明すると、思わず泣き出す相談者が今でも絶えません。
日本では、金のない人は、いったん無担保高金利の借入れをすると、低収入故に終わらない自転車操業生活に突入します。
その結果、最初に借りられなかった場合よりも遙かに苦しい生活に追い込まれるのが「現実」です。

これは真っ当すぎるコメントだが、次の一文は印象的だ。

SB 2010/04/29 23:41
どっちにしろ高利でお金を貸しても事態は悪化するだけですから。のどが渇いた人に海水を与えるのと同じ。

そして話はこれで終わり。

何熱くなってるのか知らんが 2010/04/30 19:01
早めに法的整理に誘導することで傷口を広げないようにするのが法律家の使命でしょうな

貧困対策としてセーフティネットが重要だとか、失業対策が重要だというのは誰も否定するところではないが、セーフティネットが不十分なら貸金規制をすべきでないとか、ヤミ金がセーフティネットになっているとか、「本気?」と聞きたくなることを、あちこちで耳にする。
その大半は、貸金業界からのポジショントークや、その息のかかった学者や実務家だろうが、中には、算数が出来ないくせに経済を語る連中もいる。

その連中が、家計破綻必至の借金を擁護するのと全く同じように、国家財政破綻必至の借金増大擁護とか、金融政策の機能不全から脱却できないゼロ金利維持とかを語っている。

消費者の多重債務問題の世界では、借金を重ねてしまう行動様式を一種のアディクションとして、あるいは生活習慣病のごとく、カウンセリングや生活指導により依存体質を抜け出すように「治療」する必要が説かれている。
これと全く同じことが、国家財政の担い手の連中にもいえる。ただ、カウンセリングでは、国家財政にたかって生きている連中やその手先となっている連中を排除することはできない。事業仕分けでやっていることは、それに近いという気もするが。

なお、消費者金融規制に戻ると、規制のかけ方というか方法論に工夫の余地はあろう。世帯単位で家計が回っているのに、世帯構成員の個人の所得を問題とするのであれば、それは無理が生じる。ただし、世帯全体の所得には世帯構成員の生活費がかかっているのだから、逆に所得のある人の借り入れ限度でも、世帯状況を適切に反映させる必要がある。

それに、今は無職でも将来は資格を得て裕福になるつもりの人が消費者金融で借りれないと困るという話も、それは奨学金やせいぜい学資ローンでカバーすべきで、高利金融の存在理由にはならない。

で、高利金融を規制すると借りれなくなった人がヤミ金に流れるとか、ヤミ金類似のクレジット枠換金商法が流行るというのだが、それはそれらを規制する必要があるだけのことだ。ヤミ金はそもそもが非合法なのだから、警察取り締まりを強化する以外の解決はない。
クレジット枠換金商法は、物買取り型であれば取り込み詐欺の幇助・教唆だし、キャッシュバック型は
実質的な架空売買による立替金の詐取で、これまた詐欺に該当する。
 →これについては、ホクネットのページ(PDF)を参考のこと。

ともかく、麻薬患者が多数発生している社会で麻薬の売人を正当化するような議論はいい加減にしてもらいたいものだ。

|

« kyoto:冷泉家 | トップページ | hotspring:青森県は混浴禁止 »

おすすめサイト」カテゴリの記事

コメント

 その通りかもしれませんが、いわゆる家父長主義の一種ですから、100%の否定は出来ないと思います。
 「子供が有害情報を見せられて育つのは可哀想だから、『保護』してあげる必要がある」などの家父長主義と、どのように区別していくのか、もっと明確な基準が欲しいと思います。子供がアダルトサイトを見たがるのも、「喉が乾いた人が海水を求めている」のでしょうか。何歳までそうなんでしょうか。その方法は適切でしょうか。
 法律家の人は二言目には「保護」「救済」と言いますが、それを与える対象ややり方が間違っていることは多く、それがフィルタリングの解除阻止やらブロッキングやらの方向に行くのではないでしょうか。
 そのような「保護」「救済」に対する疑念の目を法律家が持ってくれる方が、私は時代が変わったというか、法律家の人の考えにも多様性が生まれて良くなったと思います。

投稿: gase2 | 2010/05/02 08:41

家父長主義というのはよく分かりませんし、有害情報から子供を守るのと世帯単位での家計ということとは話が違いますね。

パターナリスティック批判という意味でしたら、基本的に賛成です。
しかしながら、規制をかける境界がはっきりしないからといって、その規制を全廃してよいということにはならないです。

消費者の無担保高利金融について言えば、構造的というか、必然的というか、不幸な結末になることがほとんど必至の行動をネタにする商売というのは、強く規制すべきではないでしょうか?

投稿: 町村 | 2010/05/02 09:20

生活保護なり失業給付なり、ベーシックインカム的なものを政府が用意すべきでしょうね。
特に生活保護の場合、自治体がむしろ申請を邪魔しているような状態だし。多少、金額水準を下げてもいいから、困ったらとりあえず容易にもらえるようにするべきだと思うんだけど。

働けなくなった人(≒働く気がない人)に最低限の生活保障があれば、闇金に行く必要はないわけだし。
昔のように地縁や血縁が頼りにならない社会だからこそ、社会である程度の負担をすべきだと思います。

代替案を示さずに、闇金だけ規制してもいたちごっこ。

投稿: しんたろう | 2010/05/02 11:59

最近B・Iがブームですねぇ
書店に行くと非専門書中心に関連本が多くてビックリします。

しかしベーシックインカムが論者の言うように万能の政策だとして
既存の社会政策体系をベーシックインカムに置き換える過程の
移行コスト(お金に限らず時間や社会的摩擦といったものを含む)を
考えた場合に、何かの具体的社会事象の対案としてBIを取り上げるのは
あまりに理念的で現実感がないように思いますね

ブッシュジュニアが年金を完全民営化しようと思ったら
そのコストが1000万ドル以上かかることに気付いて断念した
のを思い起こします。

投稿: 通りすがり | 2010/05/02 12:10

すいません、話が逸れてますね。

多重債務者の救済は、個人再生手続によって一人一人個別に
対応する以外の「対案」など何もありません。

「救済」という語感に騙されてる人がいるようですが、個人再生手続は、本人も相応の負担が残るし、生活レベルも当然切り詰めなければいけませんから、「努力義務」が課されることだと思ってください。

個人の極ミクロの事件に対してマクロの政策は(あるにこしたことはありませんが)必ずしも効果的じゃありません。仮に移行コストを一切無視して即BIが与えられたとしても、喜ぶのはたかるエサが増える金融業者くらいのものでしょう。所詮、単なる破産の先送りですよ(過払い金返還と一緒)。

投稿: 通りすがり | 2010/05/02 12:42

法学脳の人は、

「適切な規制をするのは難しく、不適切な規制は問題をむしろ悪化させる。」

を勝手に脳内変換して

「セーフティネットが不十分なら貸金規制をすべきでない」とか「ヤミ金がセーフティネットになっている」

と理解するようですが、なんとかなりませんかね?


僕は「早めに法的整理に誘導することで傷口を広げない」に賛成。これで必要十分。

「人間は合理的でない」という言葉は、法学脳にこそ最初に適用したらいいんじゃないスか。

投稿: 穴だらけ | 2010/05/02 13:20

「セーフティネットが不十分なら貸金規制をすべきでない」とか「ヤミ金がセーフティネットになっている」
などというのは、法律関係の人ではないですね。

投稿: 町村 | 2010/05/02 13:27

ナニワ金融道を政治経済の副読本として、高校生に配ったらどうですかねー。
ナニ金の1巻は非常に中身が濃くて、万人に薦められる。

投稿: 井上 晃宏 | 2010/05/02 13:35

> などというのは、法律関係の人ではないですね。
ええそうですよ。こんなのは法律関係の人の頭の中にしかない「妄想」が大部分、残りの数%は業者のポジショントーク。

問題を解決するには、全体をよく観察してポイントを突く必要があるってことです。

投稿: 穴だらけ | 2010/05/02 13:38

その手合いは、はした金でセコイ差益抜いてるだけなのに経済の全てが分かったような気になってる「デイトレ脳」と理解してます。

法と経済学の系統の方はそっちに近いかもしれませんが…

投稿: 通りすがり | 2010/05/02 13:38

以前20%超の金を借りていた者として基本的に同意です
もちろん公的機関が緊急的にお金を貸してくれるようならもっと良い

返済日にお金が足りなくて別なところから返すというのをやってしまいがちになり借入額が増えて大変でした
最後は夜にアルバイトをし食費を削り元本を減らすようにするという正攻法(?)で脱出しました

投稿: に | 2010/05/02 15:53

>>そのコストが1000万ドル以上かかることに気付いて断>>念したのを思い起こします
たったの1000万ドル?
めっちゃ安いですね。
ていうかすぐでたらめとわかる嘘はやめましょう。

投稿: まどか | 2010/05/03 02:48

失礼
1000億ドルですね…

投稿: 通りすがり | 2010/05/03 06:48

 急場しのぎの目先にとらわれてヤミ金に走る人(こと)をなんとか規制できれば、と事前対策を妄想しますが、それは無理でしょうね。
 米国では、古のローンシャーク(マフィア金融等)対策は結局は自己破産(再生)だった古い記憶です。

投稿: キメイラ | 2010/05/05 15:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 名言:高利金融は喉が渇いた人に海水を与えるのと同じ:

« kyoto:冷泉家 | トップページ | hotspring:青森県は混浴禁止 »