MOJ:サービサーに対する行政処分
公認債権回収業というバブル崩壊後の新しい制度がサービサーだが、それなりに厳しい枠がはめられており、適正な業務執行を求められている。
法務省が、あたかも総務省かと思うような監督権限を行使して行政処分を下したのが、栄光債権回収株式会社というサービサーである。
その指摘する不備・過誤は、リンク先を見て欲しいが、注目は以下だ。
取扱債権の利息が利息制限法(昭和29年法律第100号)第1条第1項に定める利息の制限額を超えているものについて,前回検査で指摘したにもかかわらず,以下のとおり取り扱っており,法第18条第5項に違反している。 1)利息制限法に定める制限額を超える利息の支払を要求している。 2)利息制限法に定める制限額以内の額に計算し直すに当たり,その計算を誤り,当該制限額を超える利息の支払を要求している。 3)利息制限法に定める制限額以内の額に計算し直すことなく履行の請求をしている。
昨今は当然のことになりつつあるが、利息制限法の制限利率を超える利息は、サービサーとしては請求もしてはならないし、引き直し計算をしなかったり計算間違いをしたりしてもいけないのである。
そして、業務改善命令の内容としては、以下のような内部統制の強化が命じられている。
(1) 内部統制の充実・強化に取り組む経営姿勢を社内において明確化すること。 (2) 業務の遂行に必要となる社内規則を整備し,これを遵守すること。 (3) 業務を適切に分離・分担させることにより,役職員の権限・責任を明確化し,相互牽制が有効に機能する組織体制を構築すること。 (4) 過誤事例や不備事例が発生した場合には,原因を分析し,その分析結果に基づき再発防止策等を策定した上,当該再発防止策等を迅速かつ確実に実施することのできる態勢を構築すること(業務マニュアルの作成や研修の実施を含む。)。 (5) (4)の態勢の実効性を自ら検証することのできる内部監査態勢を構築すること。
これを見て思うのだが、違法行為やそれにつながる可能性のある行為を将来なくすためには、これくらいのことを要求するのが有効適切だと言うことなのであり、これは例えば団体訴訟を提起する適格消費者団体が、違法な取引形態を行っている事業者に対する再発防止策にも使えるのではないか。
例えば違法な勧誘方法を行って差止めを命じる場合、再発防止策としては社員教育を徹底することなどが求められるのだが、上記の(1)(2)(4)(5)などは会社ぐるみで違法な勧誘行為を行っている場合などに活用できそうである。
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