Appartement :定期借家の拡大緩和
自民公明は定期借家権の大幅緩和と拡大を目指す改正を準備している。
ニュースでは次のように報じられている。
「経済界が制度利用の促進のため、(通常借家から定期借家への)移行禁止の解除を要望。自民党は解除を視野に入れ、借り手保護に問題が生じないかなどの論点を整理、詰めの検討を急ぐ。このほか(1)家主による書面での
説明義務の廃止(2)借り手の契約期間内の中途解約権廃止−−も検討する。
また、通常の借家制度でも、借り手に賃貸住宅の明け渡しを要求できる要件が家主にとって厳しいと指摘されており、住宅を建て替えるケースを念頭に、緩和の是非を議論する。」
これでは、定期借家権が原則的形態となり、現在通常借家契約を締結している人でも定期借家への移行を余儀なくされる可能性が高い。
かつて定期借家・定期借地が導入された当初は、優良な借地借家が現行制度では提供されなくなるとか、地価上昇の中で借家制度を積極的に活用する必要があると論じられ、運用面も定期借地は賃料負担が押さえられるとして賃借人もそれなりのメリットが享受できる仕組みだった。
しかし、今、定期借家を拡大する社会的必要がどこにあるのか? 家主の都合だけを考えた片手落ち的立法なのだとすれば、全く不当なことである。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
コメント
町村先生などの学者が法案作成に影響を与えることはできないのでしょうか?
現借地借家法で定期借地権が定められましたが,それについては借地上の不動産(建物)の購入者に不安があるようです。
先日、その関係の仕事を扱って実感しました。
投稿: きゃんた | 2005/01/18 01:02
関与している学者であれば、影響を与えることはあり得ますね。
ただ与党内の作業で議員立法となると、法制審議会の方とも接点がなくなりますから、難しいかもしれませんが。
投稿: 町村 | 2005/01/18 13:16