正社員登用についてまとめ
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今まで書いていた、正社員登用に関する記事を、一つにまとめてウエッブページにしました。活用いただければ幸いです。
1. 契約社員から正社員の道
契約社員から正社員の登用には、会社の状況で対応策に違いがある。前の記事で書いたように処遇が確りしている会社の場合は、わざわざ正社員 にするのは、特に有能な人材に限られる。一方、契約社員では、保険や年金などで不利な場合には、正社員への登用は、継続して勤務してほしい人材に対して、 窓口が開かれている。
ここで、前者の立場でもう少し、議論することで、正社員という意味がもっと見えてくる。1995年に経団連が発表した労働力政策のビジョンでは、雇用を以下の3つに分けている。
- 長期蓄積型
- 高度専門能力活用型
- 雇用柔軟型
ここで、正社員にする人材は、1.の長期に能力蓄積ができる人材か、2.の高度な専門能力や、法定資格を保有する人材に限られてくる。そして、3.の雇用柔軟型は、負荷に応じての働きと言うことで、パート社員や派遣労働者を考えていた。
契約社員の位置づけであるが、本来は2.の既に高度専門能力を保有している人材こそ、契約社員としての活用が望ましかった。つまり、社内教育は不要 の分だけ、最初から給与は高い。しかしその後の能力向上は自己責任である。また、条件により自己責任での会社移動等も起こりうる。これが契約社員の趣旨で あった。
しかしながら、現在の契約社員には、3.の雇用柔軟型の要素も少なくない。ここで、正社員に登用されるには、当人の心構えと能力を示す必要がある。
会社に継続して勤務し、これからも貢献する。
潜在的能力が高く、会社が教育投資をすれば、もっと成長することが期待できる。
つまり正社員に成れば、もっと仕事が出来ると期待できる人材を登用する。もっと言えば、リーダー的な役割で、契約社員やパート従業員を活かしてくれる人材に、教育投資を行うのである。
このような、正社員への期待を理解しないと、本当の就活はできないと思う。
正社員登用で見る会社の評価
正社員の登用試験を通じて、会社が求めるものを考えて見たい。これは、就活中の人たちにもぜひ考えて欲しいことである。
まず、登用の必要条件として、仕事がきちんとできていることは、必須の条件である。これは、業績を上げているという言い方だが、この他にも他の従業員との 人間関係が、上手く行っていると言うことも含まれている。仕事は個人だけでできるものではない。色々な人が支えている。これを理解していることを含めて、 「仕事がきちんとでき業績が上がっている」である。
しかし、これだけでは一つの条件を満たしただけである。先ほども書いたが、登用者が会社に長 く勤務することで、力が蓄積されて、会社により大きな利益をもたらす。これを会社が認めなければ、正社員の登用は難しいのである。具体的には、「登用者の 資質」を認めることである。ここで資質と言うが、端的に言えば『頭の良さ』である。ただし、学校の成績というものでは、会社生活での頭の良さは、評価でき ないというのも事実である。そこで、頭の良さの評価は、色々な手段で測ることになる。
頭の良さの一つの評価は、適性検査などのテストである。こ れは、ある程度の目安を与える。しかし、これだけではない。この他に面接と、文書課題の提出を義務付けることで、多面的な評価を行っている。面接では、対 話能力なども同時に評価する。一方、文書課題では、業務遂行能力の一つとしての、文書作成能力も評価している。
このような多面的な評価で、頭の良さを見ているのである。決して学校成績だけではないことを、知っておくべきである。
2. 正社員登用で見る会社の評価(提案書作成)
提案書作成から、会社の求める頭の良さが、少し見えてくる。総合職の就活にも役立つのではないかと思う。
作成文書に関しては、事前提出と、当日1時間程度の時間を与えて、書かせる場合がある。当日書かせる場合は、小論文の試験と同じようなものである が、事前提出の方が、時間をかけられるだけに、中身が濃くなる。今回は、試験する側と送り出す上司の考え方を中心に、事前提出型の提言書について議論した い。
まず、提言書の課題に関しては、以下の定番がある。
「自職場の課題とその解決案を述べよ。」
「自分が正社員に成ったら何をしたいか述べよ。」
この2つは、1枚の紙に両方書く場合もある。
さて、登用試験の課題発表から、試験受験者への推薦の意向確認、そして提言書作成との時間間隔は短いことが多い。この短時間での作成という点に、 一つのハードルがある。正社員に登用されようとする人間は、常に問題意識を持って仕事をしているはずなので、上記の「自職場の課題」に関しても考えている はずである。また、上司とのコミュニケーションも良好なので、課題に関して議論もできているはずである。さらに、上司の動向などを見れば、そろそろ提言書 作成が必要と言うことが、感じて事前準備をしているはずである。
このように、上司の立場を考えた行動が、登用試験を行う立場から見れば「頭がよ い」と評価されるのである。また、常に自己向上に関して考えているなら、「正社員になれば、このような能力をつけ、新しい仕事をしたい。」等の言葉が自然 に浮かぶであろう。こうして、今まであるモノを、まとめ上げる提言書なら、1週間もあれば十分作成可能である。日ごろの成果をまとめた提言書と、必死で作 り上げた提言書の違いは大きなものがある。
さて、もう少し上級の対応を考えて見よう。私の部下であった、A子も正社員ではなかった。しかし、実 質私の片腕となって、種々の仕事を助けてくれていた。従って、会社の年度計画の資料作成等も、彼女の意見を聞き、「職場の課題と解決方針」に関しても、彼 女の意見を多く反映している。また、自己申告の面談においても、彼女には理論的知識に弱い面があり、今後勉強するように指導したし、本人も納得して、正社 員が受けられる講座についても、理解していた。
これだけ議論して、しかも私が提出する管理資料の作成も、手伝っていた。なお当然のことであるが、私の提出資料の書式は、会社の標準的な形式であり、提言書の書式と同様である。
私は、定年でリタイアしたので、彼女の正社員登用試験には、関与できなかったが、風の便りに、無事突破したと言うことは聞いている。この時の、提言書作成は、あまり苦労しなかったとも聞いている。
この事例も、会社での頭の良さの一面を示していると思う。
3. 正社員登用で見る会社の評価(面接)
提言書の提出が終わると、別途の筆記試験を行わない場合もあるが、面接試験はほとんどの場合実施する。面接試験での、評価についても少し書いてみたい。
まず、面接では、印象が大切である。これは、基本的なマナーができていることの確認から始まる。指示されてから着席する。退出時にも礼を忘れない。このような基本的なことから確認が始まる。
そして、基本的な評価事項として、質問されたことに、的確に答えているかが、評価事項となる。見当違いの答えが返ってくるなら、コミュニケーション能力なしと評価される。 次に提言書の内容に関する質問がある。特に、事前提出の提言書では、本当に本人が書いたかが、確認事項となる。現在のように、パソコン処理で作成する場合 には、所属組織の方針などを、コピー・ペーストで作った文書もあるかもしれない。確かに、課の方針を、コピーした場合でも、本人が理解して書いたならそれ で構わない。そこで確認することは、書いたことが、単に言葉だけか、具体的な体験などで、裏付けられているかである。
また、頭の良さの評価の一つに、抽象的な一般論を具体的に展開する能力、具体的な事例から抽象的な一般論を見出す能力がある。このような力を示すためにも、一般論を具体例で裏付けることは、有効である。例えば以下のような問答になる。
「提言書に『従業員の満足度を向上させる』とありますが、どのようなことですか。」
「従業員の満足度の一例として、この2年でのパート社員の自己都合退職は0です。」
このように、数値例を示すことで、説得力が出てくる。
特に、管理職が示した、一般方針を、具体的に展開する能力は、頭の良さを示す、良い指針となる。面接する側、受ける側の両方が心すべきことだと思う。
会社側の発想をA3用紙1枚にまとめてみた。このようなまとめる力も総合職には必要である。
http://manabizz.c.ooco.jp/TouyouJouken.pdf
推薦状の書き方について、ブログ記事を書いた。
http://manabizz.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-17b3.html
参考にしてください。
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