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CLAYNOTE

映画の話 

今日は以前書こうと思っていた『映画は芸術なのか、それともエンターテイメントなのか』と言うテーマについて書きたいと思います。

私が何でこんな事を考えたのかって言うと、こないだGyaOで配信していた塩田明彦監督の『ギプス』と言う作品を鑑賞したからなんですよね。
主演は佐伯日菜子と尾野真千子で、ジャンルとしてはサイコサスペンスに近い感じでしょうか。
概要は、“ギブス”というフィルターを通して、2人の女性の心の駆け引きを繊細に描いたラブドラマ。
GyaOでの評価は総合的に低めで、Amazonレビューでの評価は四つ星が一人と三つ星が一人。

で、私の感想はと言うと、正直な話、見始めて最初の五分で既に音を上げそうになりました。
とにかく退屈。死ぬほど退屈。
ストーリー自体は割と面白い部類に入ると思うんですが、その面白さを上手く引き出せて居ない。
映像自体もダラダラと長回しが多い。
はっきり言って、これは映像で見るよりも活字で、小説として読む方が何倍も面白かろうと思いました。

でもこれを高評価する人もいる。
そう言う人は決まって独特の雰囲気が良い、と言って、それは「あぁ観る人が観ればそうなんだろうなぁ」とは思うんですが。
要は玄人向けの作品って事ですね。

で、本題の『映画は芸術なのか、それともエンターテイメントなのか』と言う部分に触れたいと思う訳ですが、結論から言うと私個人の考えでは“映画はエンターテイメント”です。
と言うかエンターテイメントであるべきだと思うのです。
何も小難しい事を考えなくても、自然にその作品の世界観に浸っていけるもの。
それが映画の在り方だと思うのです。

『ギプス』と同じ様に玄人向けの作品と言われる部類では、北野武監督作品は大半が玄人向けなんじゃないかと思われますが、彼の作品はそうでありながらもちゃんとエンターテイメント性がある。
勿論全てがそうであるとは言いませんが、少なくとも初期の『キッズリターン』や『HANA-BI』、『菊次郎の夏』は、それに該当する作品だと思いますね。
それは要所要所で採用されている久石譲氏の音楽であったり、キタノブルーと呼ばれる秀逸な色遣いであったり。

大島渚監督の『御法度』も割と上級者向けの映画ですね。
新撰組を題材にした、恐らく日本で初めてボーイズラブを映像化した作品じゃ無いかと思いますが、これもやはり日本映画独特の単調さはあるものの、一方で紛れもないエンターテイメント性を感じる作品でした。
と、言うのもやはり日本を代表する映画監督、撮り方やカット割りが上手い。
音楽の使い所も解っている。

やっぱり映画の主旨は、視覚情報で観客を楽しませると言う事にあると思いますから、その点に関して大衆性を意識する事は多少なりとも必要なんじゃ無いかと思うわけです。
それとストーリー性が上手く同居する作品が、『名作』と呼ばれるものになるわけですが、(逆に映像ばかりでストーリー性が全く無い作品がB級、C級映画と呼ばれる)そう言う意味では『ギプス』はストーリーラインは実に面白いのに、それを映像として生かせて居ないところが残念です。

だからある意味では『ギプス』もB級映画と言う風にカテゴライズされるのかな、と思うんですが、個人的にはなまじっかストーリー性のあるダメ映像の作品を見るよりは、ストーリー性なんて皆無だけれどやたら派手なアクションや、視覚効果を使ったB級映画の方がよっぽど見ようと言う気になりますね。

皆さんは、如何でしょうか。
もし此処をご覧の方で、『ギプス』観られた方いましたら、是非感想をメール辺りで教えて下さると有り難いです。


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