バイオデジタル収束の探究(概要)
カナダ政府は2019年にまたどえらい人体改造計画白書を発行している。その名も「バイオデジタル収束の探究(Exploring Biodigital Convergence)」。書いたのは Policy Horizons Canada と云う組織。単なる人体改造(トランスヒューマニズム。人間と機械の融合)のみならず、生態系や社会制度そのものをも改変するポテンシャルを持つ様々な技術革新が概説されている。驚くべきは、ここに描かれているのは単なる予測でもSFでもなく、部分的にではあるが全て現実に開発されている技術だと云うことだ。「パンデミック」や「気候変動」、或いは「経済危機」等の誇張され捏造され、或いは人為的な原因による諸問題の脅威に人々が怯えることによって、こうした技術開発は加速させられることだろう。
Exploring Biodigital Convergence
pdf書類はこちら。
Exploring Biodigital Convergence
こちらは簡単な解説記事。
“Exploring Biodigital Convergence” Policy Horizons Canada (2019)
「バイオデジタル技術の収束」とはデジタル技術と生物学的システムの融合のこと。方法論の大枠は以下の3つ。
1)生物学的実体とデジタル実体の完全な物理的統合
2)生物学的実体とデジタル実体の共進化
3)生物学的システムとデジタル・システムの概念的収束
これにより例えば次の様な分野が期待されている。
・人間(体、心、行動)を変える。
・他の生物を変える、または作成する。
・生態系を改変する。
・情報の感知、保存、処理、送信。
・生物学的イノベーションの管理。
・生産とサプライチェーンの構築と管理。
具体例としては各分野について、ざっと以下の様なものが挙げられている(細かい部分は省略した)。全て現実に開発中の技術だ。
・人間(体、心、行動)を変える。
・ヒトゲノムの改変。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編編集技術。
機械学習による遺伝子予測。
・人間の思考や行動を監視、変更、操作する。
ニューロテクノロジーによる脳信号の読み取り、注意監視、疲労管理。
デジタルアプリによる脳の健康促進。
・身体機能の監視、管理、影響を与える。病気の予測、診断、治療。
ヒト微生物叢の様な複雑な環境を理解し易くする為の遺伝子配列決定。
装着または身体埋め込み式のデジタル装置による治療や監視。
機械学習システムによる死亡率や治療結果の予測。
・新しい臓器を作り、人間の機能を高める。
3D印刷によるカスタマイズされた臓器の作成。
身体機能を強化する為の埋め込み式デジタル装置によるバイオハッキング。
高度に個人化された二段間認証用チップ。
・世界を体験し交流する新しい方法。
脳信号による機械の制御を可能にするブレイン・マシン・インターフェイス。
機械学習アルゴリズムを使用して機能と感度を拡張する義肢。
・新しい臓器を作り、人間の機能を高める。
蛋白質の折り畳みをシミュレートし、創薬に貢献する機械学習技術。
治療法試験用の3D印刷された組織。
生きている生物の中で作動し、正確に薬を届けるナノボットとナノマテリアル。
機械学習による臨床試験の結果予測。
・他の有機体を変更または作成する。
・有機体の生長に必要な入力の種類または量を変更する。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編集技術。
・特性を調整した全く新しい有機体の作成。
合成生物学による新しい生物学的実体(カスタム有機体)の設計と構築。
人工知能による特定の特性を持つ微生物の設計。
「バイオマルチメーター」による遺伝子回路の生物学的機能のin vitro/リアルタイム測定。
・有機体が何をどう生産するかを変える。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編集技術。
バクテリアを利用して水、二酸化炭素、太陽光からブタノールを合成する。
・生態系の改変。
・種全体の改変と根絶。
CRISPR等による生殖細胞編集や、生態系や野生生物を改変する遺伝子ドライブ(遺伝子組み換え蚊等)。
・大規模な自然環境の改変。
炭素捕捉または太陽光反射率を正確にモデル化する地球工学的アプローチ。
泥炭地の微生物を操作して炭素を貯蔵・捕捉し、気候変動を相殺する。
・生物の拡散の予測と管理。
デジタル疫学による病気の追跡。
・情報の感知、保存、処理、送信。
・生物学的システムを利用した情報の保存。
現在の技術よりも長期間、生体系に大量のデジタル情報を保存する(DNAデータ保管システム)。
・有機体をバイオコンピュータに変える。
生物学的組織や属性を利用して計算する。
CRISPRを使ってヒト細胞内にデュアルコア・コンピューターを構築する。
・生体模倣材料の作成。
生物学的システムからインスピレーションを得て、より効率的な電子・デジタル・システムを設計する。
人間の皮膚よりも高い感度を持つ人工皮膚と神経系の作成。
・生物学的イノヴェーション、生産、サプライチェーンの管理。
・より効率的でスケーラブルな研究及び生産アプローチ。
デジタルシステムを利用して生物生産をスケールアップする(ロボット農家)。
デジタルシステムを利用して研究(微細藻類の培養や抗生物質の発見)を自動化する。
・より一層オープンで効率的なサプライチェーン管理。
機械学習と分散型台帳による物質の追跡と監査支援。
バイオ医薬品の「信頼出来る情報源」としてのブロックチェーン。
・研究支援の為の細胞株とゲノムに関するオープンな協力。
生体材料とコードの効率的な交換を支援するデジタルネットワーク。
冷凍農場:クリーンな肉細胞株貯蔵庫。
(画像は表の一部のみ)
他にも色々書かれてはいるが、結論として、「我々は経済、社会、制度、環境の長期的なバイオデジタル変容の最先端に居るのかも知れない。このバイオデジタル収束は、商品やサーヴィスの生産と消費、互いの関係、身体の維持と強化、データの取得と処理、意思決定、生態系に於ける自分の立ち位置管理等の方法を混乱させる可能性が有る」として、「パートナー」や「利害関係者(ステークホルダー)」と協力して投資を行い、この分野に於ける政策関連の見通しを立てることを推奨している。
Exploring Biodigital Convergence
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Exploring Biodigital Convergence
こちらは簡単な解説記事。
“Exploring Biodigital Convergence” Policy Horizons Canada (2019)
「バイオデジタル技術の収束」とはデジタル技術と生物学的システムの融合のこと。方法論の大枠は以下の3つ。
1)生物学的実体とデジタル実体の完全な物理的統合
2)生物学的実体とデジタル実体の共進化
3)生物学的システムとデジタル・システムの概念的収束
これにより例えば次の様な分野が期待されている。
・人間(体、心、行動)を変える。
・他の生物を変える、または作成する。
・生態系を改変する。
・情報の感知、保存、処理、送信。
・生物学的イノベーションの管理。
・生産とサプライチェーンの構築と管理。
具体例としては各分野について、ざっと以下の様なものが挙げられている(細かい部分は省略した)。全て現実に開発中の技術だ。
・人間(体、心、行動)を変える。
・ヒトゲノムの改変。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編編集技術。
機械学習による遺伝子予測。
・人間の思考や行動を監視、変更、操作する。
ニューロテクノロジーによる脳信号の読み取り、注意監視、疲労管理。
デジタルアプリによる脳の健康促進。
・身体機能の監視、管理、影響を与える。病気の予測、診断、治療。
ヒト微生物叢の様な複雑な環境を理解し易くする為の遺伝子配列決定。
装着または身体埋め込み式のデジタル装置による治療や監視。
機械学習システムによる死亡率や治療結果の予測。
・新しい臓器を作り、人間の機能を高める。
3D印刷によるカスタマイズされた臓器の作成。
身体機能を強化する為の埋め込み式デジタル装置によるバイオハッキング。
高度に個人化された二段間認証用チップ。
・世界を体験し交流する新しい方法。
脳信号による機械の制御を可能にするブレイン・マシン・インターフェイス。
機械学習アルゴリズムを使用して機能と感度を拡張する義肢。
・新しい臓器を作り、人間の機能を高める。
蛋白質の折り畳みをシミュレートし、創薬に貢献する機械学習技術。
治療法試験用の3D印刷された組織。
生きている生物の中で作動し、正確に薬を届けるナノボットとナノマテリアル。
機械学習による臨床試験の結果予測。
・他の有機体を変更または作成する。
・有機体の生長に必要な入力の種類または量を変更する。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編集技術。
・特性を調整した全く新しい有機体の作成。
合成生物学による新しい生物学的実体(カスタム有機体)の設計と構築。
人工知能による特定の特性を持つ微生物の設計。
「バイオマルチメーター」による遺伝子回路の生物学的機能のin vitro/リアルタイム測定。
・有機体が何をどう生産するかを変える。
CRISPR/Cas9等の遺伝子配列決定と編集技術。
バクテリアを利用して水、二酸化炭素、太陽光からブタノールを合成する。
・生態系の改変。
・種全体の改変と根絶。
CRISPR等による生殖細胞編集や、生態系や野生生物を改変する遺伝子ドライブ(遺伝子組み換え蚊等)。
・大規模な自然環境の改変。
炭素捕捉または太陽光反射率を正確にモデル化する地球工学的アプローチ。
泥炭地の微生物を操作して炭素を貯蔵・捕捉し、気候変動を相殺する。
・生物の拡散の予測と管理。
デジタル疫学による病気の追跡。
・情報の感知、保存、処理、送信。
・生物学的システムを利用した情報の保存。
現在の技術よりも長期間、生体系に大量のデジタル情報を保存する(DNAデータ保管システム)。
・有機体をバイオコンピュータに変える。
生物学的組織や属性を利用して計算する。
CRISPRを使ってヒト細胞内にデュアルコア・コンピューターを構築する。
・生体模倣材料の作成。
生物学的システムからインスピレーションを得て、より効率的な電子・デジタル・システムを設計する。
人間の皮膚よりも高い感度を持つ人工皮膚と神経系の作成。
・生物学的イノヴェーション、生産、サプライチェーンの管理。
・より効率的でスケーラブルな研究及び生産アプローチ。
デジタルシステムを利用して生物生産をスケールアップする(ロボット農家)。
デジタルシステムを利用して研究(微細藻類の培養や抗生物質の発見)を自動化する。
・より一層オープンで効率的なサプライチェーン管理。
機械学習と分散型台帳による物質の追跡と監査支援。
バイオ医薬品の「信頼出来る情報源」としてのブロックチェーン。
・研究支援の為の細胞株とゲノムに関するオープンな協力。
生体材料とコードの効率的な交換を支援するデジタルネットワーク。
冷凍農場:クリーンな肉細胞株貯蔵庫。
(画像は表の一部のみ)
他にも色々書かれてはいるが、結論として、「我々は経済、社会、制度、環境の長期的なバイオデジタル変容の最先端に居るのかも知れない。このバイオデジタル収束は、商品やサーヴィスの生産と消費、互いの関係、身体の維持と強化、データの取得と処理、意思決定、生態系に於ける自分の立ち位置管理等の方法を混乱させる可能性が有る」として、「パートナー」や「利害関係者(ステークホルダー)」と協力して投資を行い、この分野に於ける政策関連の見通しを立てることを推奨している。
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