アメリカは如何にしてこれまでの重荷から解放されたか(抄訳)
2024/11/06のアンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。米大統領選挙に於けるトランプの勝因を分析する。
日本のメディアやSNSではお昼のワイドショーでしか通用しない様な目眩のする程表層的でトンチンカンな「解説」が溢れ返っているが、その殆どに共通しているのはイデオロギー的としか言い様の無い偏見と視野狭窄だ。国内的には、彼等は植民地支配者が被支配者を思いやることが無い様に、トランプ支持者達の自己利益と、それを巡る物語の欺瞞には決して目を向けようとしない。また国際的には、トランプは確かにどう引っ繰り返しても聖人君子ではない恥知らずな戦争犯罪者であって、ベストな選択肢には程遠いが、良くも悪くも損得勘定で動くビジネスマンなので、損得を抜きにして第3次世界大戦に突き進む様な可能性は低いであろう点については触れられない儘だ。彼は肌の色が白くない人々を数十万や数百万殺す程度なら平気でやるだろうが、世界を滅ぼすかも知れないことを、そうと知って進めることはしないだろう。
Here’s How America Became Unburdened By What Has Been
トランプは恐るべき障害の数々を乗り越えて、カマラ・ハリスに勝利した。彼は2度の暗殺未遂を生き延び、政府の法律戦にも耐え、旧来メディアが彼の敵を全面的に支持していたにも関わらず、一般人の票を獲得しつつある。
カマラは、アメリカが「これまでの重荷から解放される」、つまりトランプ時代を乗り越える、と云うフレーズ(考案したのは民主党コンサルタントのジェイムズ・カーヴィル)を繰り返したことで悪名高い。
だが皮肉なことに、乗り越えられたのは彼女の方だった。それがどの様にして起こったのかは以下の通りだ。
1)「問題は経済だよ、バカ!」
米国の大多数の人々にとって、バイデン・ハリスの4年間は、理由は何であれ、トランプ1期目よりも悪化している。
だからアメリカ人はトランプが先導役を務めた黄金経済を取り戻す為に投票した。
2)移民は合法だろうが違法だろうが制御不能
移民は常に重要な争点だが、バイデン政権下で前例の無い規模の不法移民が流入したことと、オハイオ州で政府によって合法的に連れて来られたハイチ移民が人々のペットを食べていると云う報道が広まったことによって、今回の選挙では更に重要度が増した。
トランプは違法分子を取り締まり、合法的なルートを通じて入国する人々をより適切に検査して、確実に同化・統合することを約束した。この方針はアメリカ人に非常に人気が有る。
3)民衆は第3次世界大戦を恐れている
アメリカ人が今程第3次世界大戦を恐れたことは無かった。
ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争も、イスラエルとイランの攻撃の応酬も、どちらも最悪のシナリオでは黙示録に繋がりかねないが、これはトランプ政権下では考えられなかった。
トランプは再選されればヨーロッパと中東に平和を齎す為に全力を尽くすと約束したが、カマラは世界を戦争の瀬戸際に追い込んだのと同じ政策を更に強化すると約束した。
結果的に、トランプへの投票は平和への投票となった。
4)トランプに対するメディアの中傷は最早通用しない
旧来メディアは過去8年半に亘ってトランプを中傷して来たが、それは最早有権者達のトランプに対する認識を操作する上で曾ての様な効果を発揮しておらず、寧ろ逆効果になっている。
彼等がトランプを「ナチス」だの何だとと非難すればする程、人々は気にしなくなる。彼等の代理であるセレブ連中も同様だ。彼等はトランプやその支持者達を非難する余り、時に自らの大義を裏切る自爆発言をかましている。
5)マスクがオンラインでの言論の自由を回復した
イーロン・マスクがTwitterを買収してオンラインでの言論の自由を回復しなかったら、トランプは勝てなかっただろう。
アメリカ人はその後検閲を恐れること無く選挙に関するニュースを共有出来る様になったが、これはバイデン政権や旧来メディアの虚偽の主張に疑問を抱いているのは自分達だけではないことを知らしめた。両者の嘘はリアルタイムで暴かれたが、マスクが居なければ彼等の嘘は反論無しで拡散し、選挙結果を変えていただろう。
6)マスク、RFK、トゥルシのお陰で、民主党からの離反はクールな行為になった
マスク、RFK、トゥルシ・ギャバードは民主党員だったが離反した。これらは元々労働者階級にルーツを持っていた筈の民主党が今や完全に急進的なリベラル・グローバリストのイデオロギー運動と化してしまったことに対する抗議だった。
最終的には彼等全員がトランプ支持に回った為、他の民主党員も離脱することがクールな行為と見做される様になった。このお陰で独立系の票の一部がトランプに回り、主要な激戦州で彼は優位に立つことが出来た。この統一連合が無かったら彼は勝てなかった。
7) アーミッシュとポーランド人がペンシルヴェニア州でトランプ大統領を後押しした
トランプ勝利の鍵はペンシルヴェニア州で、中でもそれぞれ有力なインフルエンサー達が牽引したアーミッシュとポーランド人が貢献した。
8)共和党の投票推進キャンペーンが全てを変えた
共和党は前回の選挙でトランプが不正選挙によって落選させられたと確信しており、また今回のトランプのリードは「不正操作するには大き過ぎる」とも判断していた。
だから彼等は文字通り全ての票が重要であることを理解しており、4年前の民主党と同じ位熱心に期日前投票を広めた。
このお陰で土壇場でどんでん返しをされるシナリオを予め回避することが可能になり、これが全てを変えた。
9)中絶は最早大統領選挙の争点ではない
最高裁判所は2022年に1973年のロー対ウェイド事件の判決を覆し、中絶の権利は憲法で認められたものではなく各州の権利問題であるとした。中絶問題はそれまで連邦政府の問題だったのだが、この所為で大統領レヴェルの争点ではなくなってしまった。
この為、民主党は以前の様に女性をトランプに敵対させることが困難になり、どうすれば良いのか分からなくなってしまった。
10)ウォルツは考え得る限り最悪の副大統領候補の一人だった
若しカマラがミネソタ州知事ティム・ウォルツではなく、ペンシルヴェニア州知事ジョシュ・シャピロを副大統領候補に選んでいたらチャンスは有ったかも知れないが、シャピロはユダヤ人でイスラエル国防軍と繋がっていた為、中西部のイスラム教徒の票を失うことを恐れたカマラはウォルツを選んだ。
だがウォルツは考え得る限り最悪の副大統領候補の一人であり、討論でJDヴァンスにこてんばんに言い負かされた後は、殆どのアメリカ人は、ウォルツの政権入りを一秒たりとも望まなかった。
まとめ
トランプの政治的カムバックは、一見乗り越えられないと思われた困難を乗り越えた、歴史に残る物語のひとつだ。
これは見事な選挙運動、マスクのTwitter買収、そしてひょっとしたら夏の間の神の摂理が組み合わさって実現した。
アメリカは現在、民主党に完全と決別して過去4年間を断固として拒否することで、これまでの重荷から本当に解放された。
「アメリカを再び偉大にする」と云う究極の約束を果たせるかどうかは、トランプ次第だ。
日本のメディアやSNSではお昼のワイドショーでしか通用しない様な目眩のする程表層的でトンチンカンな「解説」が溢れ返っているが、その殆どに共通しているのはイデオロギー的としか言い様の無い偏見と視野狭窄だ。国内的には、彼等は植民地支配者が被支配者を思いやることが無い様に、トランプ支持者達の自己利益と、それを巡る物語の欺瞞には決して目を向けようとしない。また国際的には、トランプは確かにどう引っ繰り返しても聖人君子ではない恥知らずな戦争犯罪者であって、ベストな選択肢には程遠いが、良くも悪くも損得勘定で動くビジネスマンなので、損得を抜きにして第3次世界大戦に突き進む様な可能性は低いであろう点については触れられない儘だ。彼は肌の色が白くない人々を数十万や数百万殺す程度なら平気でやるだろうが、世界を滅ぼすかも知れないことを、そうと知って進めることはしないだろう。
Here’s How America Became Unburdened By What Has Been
トランプは恐るべき障害の数々を乗り越えて、カマラ・ハリスに勝利した。彼は2度の暗殺未遂を生き延び、政府の法律戦にも耐え、旧来メディアが彼の敵を全面的に支持していたにも関わらず、一般人の票を獲得しつつある。
カマラは、アメリカが「これまでの重荷から解放される」、つまりトランプ時代を乗り越える、と云うフレーズ(考案したのは民主党コンサルタントのジェイムズ・カーヴィル)を繰り返したことで悪名高い。
Kamala Harris has been consistently using the same phrase for many years: "What can be, unburdened by what has been." WATCH.pic.twitter.com/zLLWzvFlsk
— Simon Ateba (@simonateba) October 1, 2023
だが皮肉なことに、乗り越えられたのは彼女の方だった。それがどの様にして起こったのかは以下の通りだ。
1)「問題は経済だよ、バカ!」
米国の大多数の人々にとって、バイデン・ハリスの4年間は、理由は何であれ、トランプ1期目よりも悪化している。
だからアメリカ人はトランプが先導役を務めた黄金経済を取り戻す為に投票した。
2)移民は合法だろうが違法だろうが制御不能
移民は常に重要な争点だが、バイデン政権下で前例の無い規模の不法移民が流入したことと、オハイオ州で政府によって合法的に連れて来られたハイチ移民が人々のペットを食べていると云う報道が広まったことによって、今回の選挙では更に重要度が増した。
トランプは違法分子を取り締まり、合法的なルートを通じて入国する人々をより適切に検査して、確実に同化・統合することを約束した。この方針はアメリカ人に非常に人気が有る。
3)民衆は第3次世界大戦を恐れている
アメリカ人が今程第3次世界大戦を恐れたことは無かった。
ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争も、イスラエルとイランの攻撃の応酬も、どちらも最悪のシナリオでは黙示録に繋がりかねないが、これはトランプ政権下では考えられなかった。
トランプは再選されればヨーロッパと中東に平和を齎す為に全力を尽くすと約束したが、カマラは世界を戦争の瀬戸際に追い込んだのと同じ政策を更に強化すると約束した。
結果的に、トランプへの投票は平和への投票となった。
4)トランプに対するメディアの中傷は最早通用しない
旧来メディアは過去8年半に亘ってトランプを中傷して来たが、それは最早有権者達のトランプに対する認識を操作する上で曾ての様な効果を発揮しておらず、寧ろ逆効果になっている。
彼等がトランプを「ナチス」だの何だとと非難すればする程、人々は気にしなくなる。彼等の代理であるセレブ連中も同様だ。彼等はトランプやその支持者達を非難する余り、時に自らの大義を裏切る自爆発言をかましている。
5)マスクがオンラインでの言論の自由を回復した
イーロン・マスクがTwitterを買収してオンラインでの言論の自由を回復しなかったら、トランプは勝てなかっただろう。
アメリカ人はその後検閲を恐れること無く選挙に関するニュースを共有出来る様になったが、これはバイデン政権や旧来メディアの虚偽の主張に疑問を抱いているのは自分達だけではないことを知らしめた。両者の嘘はリアルタイムで暴かれたが、マスクが居なければ彼等の嘘は反論無しで拡散し、選挙結果を変えていただろう。
6)マスク、RFK、トゥルシのお陰で、民主党からの離反はクールな行為になった
マスク、RFK、トゥルシ・ギャバードは民主党員だったが離反した。これらは元々労働者階級にルーツを持っていた筈の民主党が今や完全に急進的なリベラル・グローバリストのイデオロギー運動と化してしまったことに対する抗議だった。
最終的には彼等全員がトランプ支持に回った為、他の民主党員も離脱することがクールな行為と見做される様になった。このお陰で独立系の票の一部がトランプに回り、主要な激戦州で彼は優位に立つことが出来た。この統一連合が無かったら彼は勝てなかった。
7) アーミッシュとポーランド人がペンシルヴェニア州でトランプ大統領を後押しした
トランプ勝利の鍵はペンシルヴェニア州で、中でもそれぞれ有力なインフルエンサー達が牽引したアーミッシュとポーランド人が貢献した。
8)共和党の投票推進キャンペーンが全てを変えた
共和党は前回の選挙でトランプが不正選挙によって落選させられたと確信しており、また今回のトランプのリードは「不正操作するには大き過ぎる」とも判断していた。
だから彼等は文字通り全ての票が重要であることを理解しており、4年前の民主党と同じ位熱心に期日前投票を広めた。
このお陰で土壇場でどんでん返しをされるシナリオを予め回避することが可能になり、これが全てを変えた。
9)中絶は最早大統領選挙の争点ではない
最高裁判所は2022年に1973年のロー対ウェイド事件の判決を覆し、中絶の権利は憲法で認められたものではなく各州の権利問題であるとした。中絶問題はそれまで連邦政府の問題だったのだが、この所為で大統領レヴェルの争点ではなくなってしまった。
この為、民主党は以前の様に女性をトランプに敵対させることが困難になり、どうすれば良いのか分からなくなってしまった。
10)ウォルツは考え得る限り最悪の副大統領候補の一人だった
若しカマラがミネソタ州知事ティム・ウォルツではなく、ペンシルヴェニア州知事ジョシュ・シャピロを副大統領候補に選んでいたらチャンスは有ったかも知れないが、シャピロはユダヤ人でイスラエル国防軍と繋がっていた為、中西部のイスラム教徒の票を失うことを恐れたカマラはウォルツを選んだ。
だがウォルツは考え得る限り最悪の副大統領候補の一人であり、討論でJDヴァンスにこてんばんに言い負かされた後は、殆どのアメリカ人は、ウォルツの政権入りを一秒たりとも望まなかった。
まとめ
トランプの政治的カムバックは、一見乗り越えられないと思われた困難を乗り越えた、歴史に残る物語のひとつだ。
これは見事な選挙運動、マスクのTwitter買収、そしてひょっとしたら夏の間の神の摂理が組み合わさって実現した。
アメリカは現在、民主党に完全と決別して過去4年間を断固として拒否することで、これまでの重荷から本当に解放された。
「アメリカを再び偉大にする」と云う究極の約束を果たせるかどうかは、トランプ次第だ。
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