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マイケル・ハドソン氏のインタビュー:『文明の運命』(抜粋)

新著 The Destiny of Civilization を上梓したばかりのマイケル・ハドソン氏のインタビューから、幾つかポイントを纏めてみた。
RP Live with Michael Hudson: The Destiny of Civilization


 ・現在の経済はふたつの陣営に分かれていて、西洋の金融資本主義と、ロシアや中国等のそれ以外の国々の産業資本主義。昔は両者をはっきり区別する用語が存在しなかったのだが、古来キリスト教が禁じていた「高利貸し(usury)」は前者の意味で、生産に何等寄与しない金融。多くの人々が想像する古典的な経済成長は、後者の産業を発展させるタイプのものだが、現在の後期資本主義は寧ろ産業を破壊することで儲けを上げている(だから金融投資家はそれが産業の発展を阻害することを承知でSDGsや再生可能エネルギーを宣伝している)。金融経済を動かしているのは貪欲だが、貪欲は短期的な利益しか気にしない。短期的な利益の為に長期的な利益が犠牲にされている。だからこのシステムは宿主を殺す寄生虫の様なものであり、長期的には持続不能。医療・食料・住居・教区・輸送交通等、人々が真に必要としているものを犠牲にして、レントに富を移転させるものだ。
 
 ・ハドソン氏の見立てでは、西洋のこの寄生虫経済の覇権を可能にしていたドルの覇権の没落が決定付けられたのは昨年で、ヴェネズエラ・イラン・アフガニスタン・ロシアの海外資産が米国の外交政策によって好き勝手に押収される現実を見て、ドルを使うことの危険性を多くの国々が認識し始めた。だから米国の外交政策は自滅的で、一旦信頼が失われたらお終いだ。西洋がドルの覇権を通じて「タダ飯」にありつけた時代は遅かれ早かれ確実に終わるのだ。
 
 ・自由市場の前提は人々が選択によって決定を下すと云うものだが、市場をコントロールするには、人々から選択肢を奪えば良い。どんなに高額だろうと、人々が必要なサーヴィスを買わざるを得ない状況を作り出すことが必要だ(これが新自由主義が民営化を推進する理由だ)。中国が80年代以降この罠を逃れ得たのは、他の国々の様に中央銀行を民間の好きにさせず、政府が支配していたからだ。だから真の人民のニーズに合った経済政策を実行することが出来た。

 ・経済政策が人々の生活に貢献する解り易い事例は1947~48のドイツで起きた金融の奇跡。当時債権者の殆どはナチスだったが、ドイツを占領した米国はナチスに富を持たせたくなかったので、国内債務を全て帳消しにした。だから悪党の貯蓄、1%の富にしか貢献しない悪い債務(今で言えば学生の債務やオフショア銀行に預けられた犯罪資本等)を全てキャンセルすれば、99%の人々の富に貢献することになる。

 ・この改革を成し遂げるには革命しか無い。19世紀の英国の様に平和的に改革を行えた例は有るが、現状ではそうした平和的な改革に向かう兆候は全く無い。
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Re: 文中にタイプミス

御指摘有難うございます。
訂正させて頂きました。

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川流桃桜

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