メインコンテンツにスキップ

23人集まれば誕生日が一致する確率は50%を超える。「誕生日のパラドックス」とは?

記事の本文にスキップ

27件のコメントを見る

著者

公開:更新:

この画像を大きなサイズで見る

 23人が集まった部屋であなたは「同じ誕生日の人がいるか賭けをしよう」と提案された。1年はほぼ365日。そんな偶然はあり得ないと思い「いない」に賭けたあなたは負けてしまう。

 だが、それは偶然ではない。実は23人いれば、同じ誕生日の人がいる確率は50%を超えるのだ。それどころか75人なら99.9%だ。

広告の下に記事が続いています

 この一般的な直感に反する事実を「誕生日のパラドックス」という。 日常の感覚では理解しがたいかもしれないが、確率的には正しい。数学の裏側を知れば、きっともっと楽しめるはずだ。

23人集まれば誕生日がかぶる確率は50.73%

 パラドックスといっても、誕生日のパラドックスはその理論に矛盾があるわけではない。人間の直感的にはちょっと信じられない確率であることからつけられた名称だ。

 1年はほぼ365日ある。だから同じ誕生日の人がいる確率が50%を超えるには、1年の半分に相当する、およそ183人が必要では?これが直感的な解釈だ。

 ところがほんの23人で半々の確率になるのだから、まったくもって直感の逆をいっている。

 このように直感に反する結果になる理由の1つは、冒頭のような質問をされたとき、「自分の誕生日と同じ人はいるだろうか」と自分中心に考えがちなことだろう。

 正しい答えを出すには、自分だけなく、そこにいる人全員の誕生日の組み合わせについても考えねばならない。それが確率のマジックのような結果をもたらす。

 AさんとBさんの2人しかいなければ、組み合わせはAとBの誕生日だけ。この組み合わせが同じ誕生日である確率は0.27%でしなかい。

 ここにCさんが加わって3人になれば、組み合わせはAとB、AとC、BとCの3通り。そのうちいずれかの誕生日がかぶる確率は0.82%で、ほんの少し跳ね上がる。

 そして23人いる場合の組み合わせは253通り。このとき1組でも誕生日がかぶっていればいいのだから、ほぼ半分の確率で誕生日がかぶる人が出てくるも素直に納得できるだろう。その確率は50.73%である。

この画像を大きなサイズで見る
縦軸が確率、横軸が人数。23人で確率が初めて0.5を超えるのがわかる image credit:Rajkiran g / WIKI commons

誕生日のパラドックスを解く方法

 この数字を具体的に導くには、同じ誕生日の人がいる確率よりも、いない確率を考えた方がわかりやすい。

 たとえば、AさんとBさんの2人しかいないとき、誕生日が”かぶらない”確率を考えてみよう。

 365日のうち1日はAさんの誕生日なので、Bさんの誕生日が残りの364日のいずれかならば、誕生日はかぶらない。

 したがって2人の場合、同じ誕生日の人がいない確率は「364/365 = 99.73%」となる。それ以外の確率、すなわち同じ誕生日の人がいる確率は0.27%なので、先ほどの説明とピッタリ一致する。

 ここに3人目のCさんが加わったとしよう。このときCさんの誕生日がAさんとBさんの誕生日と重ならない確率は「363/365」となる。

 よってAさんとBさんの誕生日がかぶらず、かつCさんの誕生日もかぶらない確率、つまり3人の誕生日がかぶらない確率は「364/365 x 363/365 = 99.18%」となる。

 あとは1人増えるたびに同様の計算を繰り返し、「364/365 x 363/365 x 362/365 x… 343/365」と23人分確かめてみればいい。

 すると23人いるとき、同じ誕生日の人がいない確率は「49.3%」となる。逆に言えば、23人いるとき、同じ誕生日の人がいる確率は50.73%ということだ。

この画像を大きなサイズで見る

なぜ直感がずれるのか?

 なおこの確率は、人数が増えるにつれて急激に上昇する。

 たとえば、30人なら、同じ誕生日の人がいる確率は70%になる。さらに35人で81%、41人で90%、50人で97%、60人で99.4%といった具合だ。

 それ以降は、もはやいない確率で考えないとわからない。70人なら同じ誕生日の人がいない確率は1/1000未満、100人で1/300万未満、200人ならなんと1/50壌(0が29個)だ。

 人間がこうした確率になかなか気付かないのは、私たちの脳が直線的な関係に注目しようとすることが関係している。

 数が増えるにつれて、指数関数的に増加するものを把握するのが苦手なのだ。そのため同じ誕生日の人がいる確率を小さく見積りがちになる。

 そんなわけで、次に23人以上が集まることがあったら、ぜひ賭けをしてみてほしい。勝利の女神はきっとあなたに微笑むはずだ。

References: Birthday problem / The Birthday Paradox: Why a Room of Only 23 Strangers Has a 50/50 Chance of a Shared Birthday

広告の下にスタッフが選んだ「あわせて読みたい」が続きます

同じカテゴリーの記事一覧

この記事へのコメント、27件

コメントを書く

  1. 幼稚園の時に「誕生日の人を祝う歌」を歌うという儀式があったのだが、
    同じ日が誕生日、などという人はクラスにひと組もいなかったぞ
    いたら絶対に記憶しているし、今でも「お前たちって丹治曜日が一緒なんだよな」と話題になるはず

    1. あなたは確率の意味が理解できない人なんですね

    2. これ「自分と誕生日が一致する確率」じゃなくて、「集団の中で一致しているペアがいる確率」だからね
      仮に幼稚園のクラスが23人だったとして、1年に1組一致してる確率が50%って話ね

      1. 幼稚園一学年全員が集まってお誕生日を祝う集会があるのだが、
        「誰ちゃんと誰ちゃんが同じ日が誕生日だった」という記憶がない。
        100人はいたぞ。小学校低学年でも誕生日が教室の裏に張り出されていたが、誕生日がダブっていた人たちを見た記憶がないし、同窓会でも話題にならない。
        統計学的にイレギュラーな集団だったってことか ?

        1. 100人ほどの中からダブってる組み合わせを確実に探すのって大変じゃない?見つからなかったからといって、ダブりがなかった証明にはならない。

  2. 俺は1月15日が誕生日。
    学生時代は成人の日で祝日でお休みで
    祝って貰えなかったな、、
    大人になると祝日では無くなった、、
    なんか理不尽だ、、

  3. 驚かないね
    小6の時クラスに自分と同じ誕生日の人間が自分含め3人いた
    1クラス35人ほどの時代

  4. つっこむべきかどうか迷ったのだが。
    幼稚園のクラスの人数を考えなければならない。
    30人クラスならクラスに一組も同じ誕生日の子供がいない確率は30パーセントある。そして基本的な事項として幼稚園はだいたい百数十日間、最長で170日休みがあって、特に長期休暇の期間中に誕生日を迎える人間は通園中一度も当日に祝われることはない。自分が通っていた幼稚園では「お誕生日おめでとう」の声かけがあったが、仲の良かった友達と自分は同じ誕生日ではあったが長期休暇の最中であるため一度も祝われたことがない。

  5. 定時制の高校で多い時でクラス15人でしたが
    4月1日生まれが2人いたのは覚えてる

    1. それって自宅出産で誕生日をイジった子らだろ
      親が早生まれはどうたらとか言っていじってたおおらかな時代あった

  6. 小学五年生だったか、同じ誕生日が自分含め三人いたなぁ
    クラスの人数は覚えてないけど40はいなかったか

    他にも別の日で同じ誕生日がいた記憶があるので
    確率論としては正しいんだと思う

  7.  ……ふむ、今回の話は一年のうちに均等に生まれている確率のもとでということですが、調べてみると偏りがあるようでしたから、実際にはもっと少ない人数でもダブる可能性は高そうだったようです。

     調べてみると厚生労働省の統計だと戦前から昭和 39 年までは、 1 ~ 3 月が高く 6 月が低かったようですが、昭和 45 年以降はあまり月の差はないようですので今回の記事の通りと読めました。
    ttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo-4/syussyo1-2.html
     でも保険の統計だと反対で 1,2 月ごろが少なく、 7 ~ 10 月が多いとあってよくわからなくなりました。 なんか見方が間違ってるのかなぁ。 誰かうまく読み解いて解説お願いします。

    1. 妊娠期間約280日から、9か月+1週間くらい。7~10月生まれが多いということは11月から2月にかけて致したということ。有名なとこだとクリスマス仕込みとか。
      また、涼しい時期のほうが精子の質が良いらしく(睾丸がぶら下がってるのと同じ理由)、冬季に受精率があがるとの統計もあります。

  8. 何ならもう少し高くなると思う。12月25日ってみんなするでしょ

  9. ワイ爺のクラスは50人以上いたけど同じ誕生日はいなかったな、けっこう奇跡的ってことか

  10. ケビンベーコンの法則とどっちが確率高いのだろうか?

  11. 幼稚園~中学まではひとクラス40人以上いた世代だけど同じ誕生日の人はいなかった。
    ところが高校に行ったら同じクラスに3人同じ誕生日の人がいた。
    記事から外れるけど、3人とも同じ星座なのに、3人に共通点(性格診断みたいなの)がなかったのは面白かった。占いなんていい加減だなと思った。

  12. 前いた部署は20数人なのに同じ誕生日が3人いた
    上司の趣味か彼女なりに考えがあったのかな水瓶座♒️ばかりで半数がそう
    早生まれはだんだん少なくなっているのに

  13. 確かに中学の時友達二人が同じ誕生日だったな~面白い

  14. ネトゲのオフ会で会った人が偶然同じ生年月日だったことはある
    確か生年月日が同じ人って全国でも5000人くらいじゃなかったっけ

  15. 誕生日じゃないけど、高校の時42人中40人が山羊座だったクラスがある。調べ出した子が怖くて泣き出し、職員室でも問題になっていた。ヤンキー高でアホばかりな中にも異常に凝り性で結束が硬かった。しかも担任のおばあちゃん先生も山羊座だった…。

  16. と言っても一様に出産日が分散してないんじゃないのかな?

  17. 昔だと、6月製造翌4月に完成、が赤ん坊の生存率が高まるから
    その名残で月別に偏りはありそう

  18. 誕生日の例えが適当かどうか
    条件で確率ってけっこう変わるよね?
    人ってバースコントロールするし
    集団を振り分けるときも操作は入りがちだし
    例えば学校のクラス分けとかなら双子は基本同じクラスにしないよね (個性は分散させる?)
    日常的に受けてきた集団の印象と記事の話はまた別格かもね

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

知る

知るについての記事をすべて見る

最新記事

最新記事をすべて見る