2024-12-14

初めてホンモノの寿司を食べた

職場から歩いて5分くらいのところに寿司屋があって、職場人間がけっこう贔屓にしているらしいと聞いていた

業態がなかなか渋くて、昼は秘密営業している

「仕込み中」のふだが出ていてのれんも降りてないので、一見するとやってないんだけど、戸を開けて「今いいすか?」とか言ったら普通に入れて、普通に握りを食うことができる、とそういう話らしかった

そんなん1人でイキナリ行けないっすよね、ということで、先輩に連れられて昼に行った

正直、舐めていた

うまいと言ってるが、言ってもその辺の住宅街みたいなところにある別に有名店でもないところだし、そんな別格みたいなうまさではないだろう、と

メチャクチャうまかった 

別格だった

イカ白身魚

寿司大将が握りたてを2貫ずつ目の前に置いてくれるスタイルだった

寿司屋に来ておいてなんだが、俺は魚介類基本的に苦手だ 魚は全然いけるけど、イカエビタコの類は好んで食べない

いきなりイカ寿司だ 避けてきた食い物…しかし、食わないわけにはいかない

食った うまかった 初めて生のイカうまいと思った

生のイカ特有の、一瞬抵抗があってその後ほどけるような食感 あれが俺はあんまり好きではないんだけど、どういうわけか、ほぐれる酢飯と合わさると、全てが調和するような感覚があった

白身の魚の握りもあった なんの魚か、多分提供時に大将が言ってくれてたんだけど、緊張していて覚えてない

うまかったことだけは覚えている

味噌汁

ここで奥さん味噌汁提供してくれた

具はワカメくらいしか入っていないシンプルものだが、味噌がいいのか出汁がいいのか、しみじみとうまい 寿司を食い、次の寿司を待つ間に味噌汁をすする

その黄金サイクルを構成する、重要ポジションだった

まぐろ2種(たぶん)

ザ・まぐろという感じの色をしたまぐろ赤身

たぶんまぐろだと思うんだけど、赤身より白っぽい、より脂の乗った感じの、カテゴリとしては赤身っぽいやつ

その2貫が第二陣だった

メチャクチャうまいしか言いようがない

醤油をつけて食うんだけど、ネタがけっこうデカくて、醤油がつききらないところの方が多い

じゃあその辺は味がしないのか?というとまったくそうではなくて、なんかもうよくわかんねえんだけど、醤油とか付いてなくても全然味がした

下味がついてるとかそういうセコい話ではなく、寝かされたネタのものもつ旨味が、調味料なしでも発揮されていた

うまい うまいしか言えねえ

そんなまぐろ(たぶん)が2貫

サーモンえび

前述のとおりエビも苦手なんだが、その程度の苦手意識はもはやなんの意味も持たなかった

……いや、そうでもないな

なんの不快感もなく食えて、むしろうまいと思ったのは間違いないんだけど、味の記憶解像度が低い気がする

俺はエビがかなり嫌いだった時期があるので、やっぱそういう体験とのぶつかり合いがあって、総合してプラスではあるんだけど、他のネタと比べると味わいきれていないんだと思う

次はもっとちゃんと、味をアプリシエイトしたい

そんでサーモンなんだが、これが一番体験として面白かったと思う

なんつうか、シャキシャキしていた

噛み切るとき弾力をもった歯応えがあった

融けるような食感だったまぐろの握りには全くなかった食感だった 

魚によって食感が違う、というのは、まあそりゃそうなんだけど、こんなに明らかに違うもんなのか、と思った

味は当然うまい うまいに決まっている

いくら軍艦

同席していた常連の先輩いわく、いくらが出てくるのはラッキーらしい 偶然タイミングがよかったので、普段は出さないくらにありつけたらしい

やっぱこう、食感ですよ 食感が違いますよね

シャリの口どけがいいのはもちろん、どういう理屈分からんけど、いくらの口どけもいいというか、粒を感じるんだけど、その一粒一粒がどう動いてどう崩れていくのかが知覚できるというか、そういう食感だった

いくらシャリも粒じゃないですか 粒度の違うふたつの粒が、絡み合うようにしてほぐれる その感覚はもはや、エンターテイメントだったんだよな

イカ塩辛手巻き寿司

これもレアネタで、ちょうど塩辛が入ってるから出してやるよ!というような感じらしい

塩辛はいける?と大将から確認が入る

実際のところいけない、というか食ったことがないんだが、俺はまっすぐな目をして「いけます!」と頷いた

この店なら、何が出てこようといけないわけが無かったか

デカ手巻き寿司で、終端から塩辛がこぼれる姿はクレープのようでもあった

うまかった

初めて食う塩辛は、塩辛の名に違わずかに塩辛かったが、その塩辛さと、あのイカ特有の食感とが、手巻き寿司海苔およびシャリの中心で渦巻くようで、なんかよく分かんねえけど、竜巻のようですらあった

うまい うまかった

 

俺は寿司を初めて食べたんじゃなかろうか?と思う

これまで食ってきたもの寿司モドキでしかなかった

というか、もはやまったく別種の食い物だった

もっと寿司を食わなくてはな、と思う

これまで俺は寿司が好きだと思っていたが、それはビッグカツだけを食べてトンカツが好きだと思っているようなものだった

そして会計は1,300円だった

ビックリするような価格

利益出てんのか?という価格で、実際大将の口ぶり的に、利益は出ていないと思われた

でも夜に行っても握りの価格は据え置きらしい

俺の町って寿司ホットスポットだったのか……?

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