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2012年3月 2日 (金)

荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE レビュー(ネタバレあり)

 【ストーリー】
市ノ宮行(林遣都)は他人に借りを作らないという家訓を持つ父・市ノ宮積(上川隆也)から、父の経営する市ノ宮グループの一つの会社の社長を任されていた。
そしてその日、父から初めて一つの仕事を任される。
荒川河川敷に巨大マンションを含めた再開発を行うという大プロジェクトの一端を担う仕事であり、荒川河川敷を不法占拠している人々を三か月後の七夕までに立ち退かせるという仕事だった。
行は秘書の高井照正(浅野和之)と島崎(井上和香)も連れずに、単身で荒川へと向かうが、到着早々に橋の上でスタイリッシュな子供たちからズボンとスーツを強奪されてしまう。

橋の上に置かれたズボンを必死に回収しようとしていた行は、手伝おうかという声をかけてきた2-3と書かれたジャージ姿の少女に、借りを作りたくないと断るも、橋から落下して荒川へと沈んでしまう。
大切にしていたスーパーボールも手から離れてしまう中、行は先ほどの少女が泳いでくる姿を目撃する。

意識を取り戻した行は、借りを作りたくないからと少女に礼をしようとするが、少女は家やマンションなどもいらないと拒絶。この星の住人は人助けをするのに何か礼を要求するのかと言われてしまう。
欲しいものなど何もないという少女だったが、ふと先ほどまで読んでいた雑誌を思い出して、「私に恋をさせてくれないか」と告げてくる。
ニノと名乗る自称『金星人』の少女の恋人となる事にした行は、雑誌知識から恋人は一緒にいるものだというニノにより、共に河川敷で生活することになる。

翌日、テントなどの荷物を持ってきた行は河川敷を仕切っている村長の下へと案内される。
だがリクが目撃したのは、河童の着ぐるみを着た男性だった。
あまりの事に呆れる行だが、あくまでも自分が河童であると主張する村長。ニノも村長が河童であるとまるで疑っていなかった。
更に大男にも関わらず何故か修道女姿をしたシスターが、行にマシンガンを突きつけてくる。そのマシンガンはエアガンなどではなく本物。
村で住むには今までの名前を捨てて、新しい名前が必要だと、村長は行をリクルートと理屈をこねるの二つの意味から『リク』と名付ける。

リクは荒川河川敷村へと案内され、そこに暮らす人々に紹介される。
村に住むのは星に被り物をした元アーティストの星(山田孝之)。
ドSの女王様マリア(片瀬那奈)
初日にリクを襲ったスタイリッシュな少女ステラ(徳永えり)と、その舎弟である鉄仮面を被った双子の鉄郎(益子雷翔)と鉄雄(末岡拓人)。
ドジっこなP子(安倍なつみ)
常に白線を引いているシロ(手塚とおる)。
ちょんまげ姿で刀を帯刀したラストサムライ(駿河太郎)
女王蜂の姿をしたジャクリーン(有坂来瞳)と、オウムの被り物を被ったビリー(平沼紀久)。
と、いずれも奇妙な変人ばかりだった。

夜にリクの歓迎会が行われ、住人達による一発芸が披露される。
リクを友と呼んだ星だったが、リクとニノが恋人同士だと知ると、ニノに恋心を抱く星はリクに敵対心をむき出しとした。

住人に溶け込もうとしないリクは、歓迎会の礼にと村長に金を差し出すも受け取りを拒否されてしまう。
村の食材は全てこの村で自給自足されたものだった。
河川敷の住人達はそれぞれが仕事を持っていたのだ。
P子は畑で野菜を作り、マリアは牧場で乳製品を製造、シスターはミサを開き、ラストサムライは散髪、鉄人兄弟は風呂、シロは白線引き、ジャクリーンはマッサージを行い、やくざ者のビリーはどこかから米を持ってくる、村長は村の監督役、星は音楽を作成していた。
村の人間は金では動かないのだという村長。この河川敷の住人は、ただここにいたいからいるのだと教える。

リクは何とか河川敷の変人たちを移転させようと模索しながらも、河川敷での日々を過ごす。
その間にもデートなどを行いニノとの恋人関係は継続され、ニノは恋人との間には「距離感」が大切だという雑誌の内容について考えるようになった。
村人にも溶け込んでいくリクだが、その様子を積のスパイだった第二秘書の島崎が監視して積に報告してしまう。
積はもはや待てないと強制的に工事の開始を決定する。
だが、島崎の去った後、積は報告書にあったニノの写真に不思議な因縁を感じる。ニノの姿はなくなった積の妻、市ノ宮春子(桐谷美玲)に瓜二つだったからだ。

高井から話を聞いたリクは、工事を食い止めるために高屋敷交通大臣(高嶋政宏)とファーストフードで密かに対面する。
金を使わずに説得するつもりだったリクは、荒川住人について纏め上げた膨大な資料を差し出して、それを読んで工事を止めて欲しいと依頼する。
そのリクの熱意に打たれて開発許可書を破り捨てる高屋敷は、リクが亡くなった母親に似ていると語る。
高屋敷と積、春子は彼らが大学時代からの親友だった。春子は学食で働き、大学のヴィーナスだったが、リクを妊娠して出産を間近に迎えたある日、彼らと共に縁日へ出かけ、その帰りに事故に遭って瀕死の重傷を負った。それでも春子は自分の命と引き換えにリクを出産したのだという。

リクの去った後、高屋敷は背後にいた男性に声をかけられる。
それは河童の着ぐるみを脱ぎ捨てた村長だった。そして店にいた客は全て彼の息が掛ったものたちだった。
村長の正体を知る高屋敷はもしリクの頼みを断ればどうなっていたのか、と冷や汗を流した。
しかし突然の方針転換を受けて、総理大臣は高屋敷を更迭してしまう。

平和を取り戻した荒川。
リクが用意した天体望遠鏡で天体観測をすることになるが、リクの口にした「花が逆さまに咲いているみたいだ」という言葉にニノが驚く。
ニノとリクは二人きりで散歩していたが、ニノが七夕には金星に変えるいう話を持ち出す。
リクが金星人であるという話を信じていなかったことを知ったニノは、激しいショックを受けてリクと大喧嘩をしてしまう。

ニノとの関係がこじれて修復できないリクに、村長はニノのノートを見せる。
そこには拙い字でリクとの思い出が綴られていた。
そしてリクに河童の甲羅の中に仕込まれていた酸素ボンベを押し付けると、リクを川底へと放り込んでしまう。
川底へと下りて行ったリクは、そこで不思議な空間を発見する。
その中に佇んでいたニノは、なんと酸素ボンベすらつけずに平然としていた。
ランドセル型ロケットを使って金星へ帰るのだと語るニノ。ニノが本当に地球人ではないのだと気付いたリクはニノに謝罪する。

だが、その頃、荒川開発を推し進める積が強引に工事を実施しようと作業者たちを引き連れ、荒川住人と対峙していた。

・主題歌
『涙のスターダスト・トレイン』歌:ザ50回転ズ

・キャスト
市ノ宮行/リク:林遣都
ニノ:桐谷美玲
村長:小栗旬
シスター:城田優
星:山田孝之
マリア:片瀬那奈
シロ:手塚とおる
ステラ:徳永えり
鉄郎:益子雷翔
鉄雄:末岡拓人
P子:安倍なつみ
ラストサムライ:駿河太郎
ジャクリーン:有坂来瞳
ビリー:平沼紀久
市ノ宮積:上川隆也
高井照正:浅野和之
島崎:井上和香
高屋敷交通大臣:高嶋政宏
市ノ宮春子:桐谷美玲
幼少期(7歳)の行:大橋律
幼少期(12歳)の行:小林三起

 【感想】
ドラマ版と同じスタッフ・キャストで作られた劇場版。
基本的にはドラマ版の焼き直しといった感じか。
序盤や終盤に入る村長のモノローグ(?)の必要性は不明。
全体的にちょっと真面目路線で、この作品が持つコメディ要素がかなり減ってしまっている。ある程度クスリと笑えるところがあるものの、原作ほどの笑いが得られないのは残念。魅力半減というところか。

原作ではまだ明らかになっていないニノの正体が完全に金星人という事で確定しています。
つか、金星に帰ってしまったよ!? しかもあんなランドセル型ロケットで……てっきり落下してくるとかいうオチがあるのかと思ったらそれも無かったし。
これで続編が作られたとしても、アマゾネスが出てくることもなくなったな。
村長やシスターはニノを守る目的で荒川にいるはずだから、ニノ不在になったら意味が無くなる気もするけど、帰ってくる場所を守るという事にしたのかな。
クライマックスの川底での対面では、ニノはともかくリクが喋っている時に口から空気が出る表現加工はして欲しかったな。後、突然倒れるよりも徐々に苦しそうになってほしかった。

河川敷住人の仕事、ステラの仕事はなんだったか忘れた。
原作では子供という事で免除されていたような気もするけど、記憶はおぼろげ。
ただ実写版では子供ではなくなっているので、何かしらの仕事があるはずなんだが。
後、何故かニノの仕事が紹介されなかったので、P子の手伝いみたいになってたよな。本当は魚獲りのはずなんだけどね。

リク:原作イメージに近いが、原作ほどに激しいツッコミを入れる役回りが少なく、周りに弄られるシーンも少ない
また、借りを作らないという設定は引き継いでいるが、借りを作ったら喘息で死にそうになるという設定は無くなっている。
荒川での住まいは普通にテント暮らしなった。

ニノ:ニノと言えば大きな生魚咥えている、という印象なんだけど、流石に実写では無理らしい。
額にボタンという設定は必要だったのだろうか。というか、恋人が押さなければならないとか、もしニノが恋しなければどうなっていたのか?
表情が乏しいのと、クライマックスで水中にいた場面以外では、常人離れした運動神経などは発揮せず。
カセットテープや寝ぼけてリクの部屋にやってくるなどの設定は無し。

村長:正体は原作ではまだ不明で、謎の男性=村長であることは雰囲気から感じさせているものの、明確にはなっていないものが、実写版では明示されています。
また村長の顔が緑色に塗った状態で剥き出しという事もあり、正体を現した状態で顔出ししてしまっているし、和服姿でもない。
でもやはり村長が小栗旬では若すぎる気がするな。
個人的に村長はもっと年齢が上。そこそこ元気に暴れまわっているので、老人ではなくても4、50歳ではあると踏んでいるんだけど。

星:基本は原作通り。住人からリクへの被害が少ない分、それらの役回りは全て星に集約しているが、それでもそれほど多くない。
ただし過去のオリコン順位が1位から3位に転落していた。

シスター:原作よりも影が薄い。要所要所でリクや星を銃で恫喝していたシーンぐらいか。
マリアに毒舌を吐かれて出血するシーンが無かったのが残念。

マリア:毒舌ドSキャラなので、使い勝手が良いのか色々と出ていたが毒舌が弱い。
マリア特有のほっぺを膨らませて声を出さずに笑う笑い方が意外と上手くて良かった

ステラ:子供ではなくなってしまったので微妙な立ち位置で、ただシスターに恋している二面性のある女性でしかなくなっている。当然、拳王モードがない

鉄人兄弟:基本的には原作通りながら、超能力設定については触れられていない

シロ:原作通りにひたすら白線を引いている人。ただ原作では真面目な恰好をしたら島崎が惚れる相手なんだけど、ただのキモいおっさんみたいだ。

ラストサムライ:見た目以外に影は薄い

ジャクリーン&ビリー:こちらもあまり活躍の場は無し。

高井:良い感じだけど原作ほどのキモさはない。ちょっとリクへの過剰な忠誠という雰囲気でしかないのが残念。

島崎:シロに惚れる設定がなくなったので、ただの女スパイとなった。誰かに恋をしている、と語っていたが、それがリクなのか積なのかは不明。

積:コメディ要素は一切排除されているため、リクと同じくズボンを強奪されるという展開などはない。

エンディングや回想シーンでは、ドラマ版でしか出てない場面も多々存在している。

キーワードは「はなが さかさまに すーぱー さいているみたいだ」
天体観測の時にニノが反応していた言葉。
何故この言葉に反応していたかはラストで判明します。

個人的評価:65点

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