確定申告をネットで挑戦 ! - 所得税の仕組みを知る -
「確定申告をネットで挑戦 ! 」と題して、3回に渡って記事を書いてきました。初回は、主に「電子証明書」の取得に関して、2回目は電子証明書を読み取る「IC カードリーダ」に関して。そして3回目は、「利用者識別番号」の取得に関して解説しました。
これで、e-Tax にて確定申告書に入力していく準備は全て整ったのですが、実際に入力する前の予備知識として、「所得税の仕組み」を学んでおくことで、それ以降の入力作業が “腑に落ちる” 事と思います。
ということで、今回は「所得税の仕組み」を学んでいきましょう。
申告書には、「書式 A」と「書式 B」の2種類があります。
「書式 A」は、「申告する所得が 給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が使用」とのこと(「予定納税額」については色々と調べたのですが、今のところ私の理解の範疇外です)。
「書式 B」は、「所得の種類にかかわらず、どなたも使用可能」とのこと。
なので、普通の給与所得者や年金生活者は「書式 A」を使えば OK と思いますが、「書式 B」を使っても問題ないということになります。


色んな種類の収入がありますが、代表的なのはサラリーマンの「給与」、個人事業主の場合は「売上」です。また、リタイア後の「公的年金」、あるいは「利子」や「配当」なども収入となります。
2. 所得(=収入-必要経費)
上の図で、「収入から差し引かれる金額」というのがありますが、これは「必要経費」のことです。サラリーマンにおける「必要経費」とは、「給与所得控除額」のことで、「簡易給与所得表」で収入に対する所得金額を求めることが出来ます。
3. 所得から差し引かれる金額(⇒課税される所得金額を求める)
所得から差し引かれる金額とは、いわゆる「所得控除」のことなのですが、これはサラリーマンの方々は年末調整でお馴染みのものでしょう。
代表的なのは、生命保険料控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除など。
所得からこれらの金額を控除したものが、「課税される所得金額」となります。
4. 税金の計算
「課税される所得金額」に、その金額に応じた税率をかければ「所得税額」が計算されます。
退社するまでに貰った給与額を「480万円」とします。(収入=4,800,000円)
「簡易給与所得表」で給与「480万円」を調べると、給与所得は「330万円」となっています。
(所得=3,300,000円、「収入から差し引かれる金額」=「150万円」)
社会保険料控除は、次回の申告書への入力も参考にしてもらった方が理解しやすいと思いますが、源泉徴収票にある「社会保険料等の金額」に、退社以降に支払った健康保険料と国民年金保険料が合算(人によっては、他の社会保険料も)されます。
ここでは、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を「70万円」、退社後に(翌年3月末までの一括で)支払った健康保険料を「40万円」、国民年金保険料(本人、配偶者、扶養親族分合算)を「50万円」とします。(社会保険料控除=1,600,000円)
生命保険料控除は、平成24年1月1日以後の締結と平成23年12月31日以前の締結とで扱いが異なります。ここでは、旧契約(平成23年12月31日以前の締結)で想定します。
生命保険料控除と個人年金保険料控除共に、年間の支払保険料が10万円を超えると、控除額はそれぞれ5万円となります。(生命保険料控除=100,000円)
配偶者控除(配偶者の年間所得金額38万円以下の場合)は、「38万円」。扶養控除は、子供の生年月日によって異なりますが、ここでは2人の子供(63万円+38万円)とします。
(配偶者控除+扶養控除=1,390,000円)
更に、何の条件も無く一律控除される基礎控除というものがあります。この金額は「38万円」です。
「所得控除」を合計すると、
逆に言うと、今回の場合、保険料控除の「10万円」を申告しても、しなくても、還付金は変わらずに「源泉徴収税額」になるということです。
更に言えば、「医療費控除」があったとしても、やはり還付額が増えることはありません。
また、e-Tax で確定申告を行うことによる「最高3000円の税額控除」も、控除すべき税額が無いので控除のしようがなく、やはり還付額は変わりません。
どうでしょうか。意外とシンプルではないですか。
サラリーマンの方や、会社を退職して年金生活に入った方などは、会社でやっていた「年末調整」手続きの延長のような感じで入力できると思います。
e-Tax であれば、数字さえ入力していけば各種の計算等は自動でしてくれるので、本当に手間いらずです。最初は敷居が高いように感じるかもしれませんが、一度やってみると、その簡単さに驚くことでしょう。
次回、e-Tax で確定申告書に各種数字を実際に入力していきます。
これで、e-Tax にて確定申告書に入力していく準備は全て整ったのですが、実際に入力する前の予備知識として、「所得税の仕組み」を学んでおくことで、それ以降の入力作業が “腑に落ちる” 事と思います。
ということで、今回は「所得税の仕組み」を学んでいきましょう。
確定申告書を見てみると、全体像がぼんやりと見えてきます
先ずは、国税庁のホームページにて、実際の確定申告書を見てみましょう。申告書には、「書式 A」と「書式 B」の2種類があります。
「書式 A」は、「申告する所得が 給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が使用」とのこと(「予定納税額」については色々と調べたのですが、今のところ私の理解の範疇外です)。
「書式 B」は、「所得の種類にかかわらず、どなたも使用可能」とのこと。
なので、普通の給与所得者や年金生活者は「書式 A」を使えば OK と思いますが、「書式 B」を使っても問題ないということになります。
確定申告書の主な大項目は4つだけ
さて、申告書の記入欄の大項目には、主として以下の4つの項目があります。- 収入金額等
- 所得金額
- 所得から差し引かれる金額
- 税金の計算


順番に説明していきましょう
1. 収入色んな種類の収入がありますが、代表的なのはサラリーマンの「給与」、個人事業主の場合は「売上」です。また、リタイア後の「公的年金」、あるいは「利子」や「配当」なども収入となります。
2. 所得(=収入-必要経費)
上の図で、「収入から差し引かれる金額」というのがありますが、これは「必要経費」のことです。サラリーマンにおける「必要経費」とは、「給与所得控除額」のことで、「簡易給与所得表」で収入に対する所得金額を求めることが出来ます。
3. 所得から差し引かれる金額(⇒課税される所得金額を求める)
所得から差し引かれる金額とは、いわゆる「所得控除」のことなのですが、これはサラリーマンの方々は年末調整でお馴染みのものでしょう。
代表的なのは、生命保険料控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除など。
所得からこれらの金額を控除したものが、「課税される所得金額」となります。
4. 税金の計算
「課税される所得金額」に、その金額に応じた税率をかければ「所得税額」が計算されます。
さて、この「所得税額」が支払うべき税額かというと、そうではありません。「所得税額」から「税額控除」と「源泉徴収税額」を差し引いたものが「申告納税額」となるのです。
「税額控除」とは、家を購入した際の「住宅借入金等特別控除」や「住宅耐震改修特別控除」などです。因みに、今回解説している e-Tax にて確定申告を行うと、「最高3000円の税額控除」(3年に1回)を受けられるのですが、それもここに入ります。
「源泉徴収税額」は、所得税を給料から “前払い” していることになるので、これから支払うべき「所得税額」からは差し引く必要があるわけです。
数字を入れてシュミレーションしてみましょう
年の途中で退職し、それ以降の健康保険と国民年金を支払った場合を想定して、実際に数字を使って計算の流れを見てみましょう。退社するまでに貰った給与額を「480万円」とします。(収入=4,800,000円)
「簡易給与所得表」で給与「480万円」を調べると、給与所得は「330万円」となっています。
(所得=3,300,000円、「収入から差し引かれる金額」=「150万円」)
「所得控除」は代表的なものを計算
「所得控除」は、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除の4つとします。社会保険料控除は、次回の申告書への入力も参考にしてもらった方が理解しやすいと思いますが、源泉徴収票にある「社会保険料等の金額」に、退社以降に支払った健康保険料と国民年金保険料が合算(人によっては、他の社会保険料も)されます。
ここでは、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を「70万円」、退社後に(翌年3月末までの一括で)支払った健康保険料を「40万円」、国民年金保険料(本人、配偶者、扶養親族分合算)を「50万円」とします。(社会保険料控除=1,600,000円)
生命保険料控除は、平成24年1月1日以後の締結と平成23年12月31日以前の締結とで扱いが異なります。ここでは、旧契約(平成23年12月31日以前の締結)で想定します。
生命保険料控除と個人年金保険料控除共に、年間の支払保険料が10万円を超えると、控除額はそれぞれ5万円となります。(生命保険料控除=100,000円)
配偶者控除(配偶者の年間所得金額38万円以下の場合)は、「38万円」。扶養控除は、子供の生年月日によって異なりますが、ここでは2人の子供(63万円+38万円)とします。
(配偶者控除+扶養控除=1,390,000円)
更に、何の条件も無く一律控除される基礎控除というものがあります。この金額は「38万円」です。
「所得控除」を合計すると、
160万円+10万円+139万円+38万円=3,470,000円
還付金の最大額は、支払った税額です
「所得」からこの「所得控除」を差し引いた金額に税率を掛ければ「所得税額」が算出されるのですが、今回の場合、所得は「330万円」で「所得控除」の方が大きいため、「所得税額」は「0円」となります。従って、源泉徴収票の「源泉徴収税額」が全て還付金として返ってきます。逆に言うと、今回の場合、保険料控除の「10万円」を申告しても、しなくても、還付金は変わらずに「源泉徴収税額」になるということです。
更に言えば、「医療費控除」があったとしても、やはり還付額が増えることはありません。
また、e-Tax で確定申告を行うことによる「最高3000円の税額控除」も、控除すべき税額が無いので控除のしようがなく、やはり還付額は変わりません。
どうでしょうか。意外とシンプルではないですか。
サラリーマンの方や、会社を退職して年金生活に入った方などは、会社でやっていた「年末調整」手続きの延長のような感じで入力できると思います。
e-Tax であれば、数字さえ入力していけば各種の計算等は自動でしてくれるので、本当に手間いらずです。最初は敷居が高いように感じるかもしれませんが、一度やってみると、その簡単さに驚くことでしょう。
次回、e-Tax で確定申告書に各種数字を実際に入力していきます。
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