僕の部屋の時計は正確に9時を指している。
秒針の動きまで完璧に同期させてある。風邪のせいで鼻が詰まっているが、思考はいつものようにクリアだ。
いや、むしろ風邪のおかげで脳のノイズが減って、超弦理論の抽象度が一段階上がっている気がする。
まず今日までの進捗を振り返る。
今週はルームメイトが「もう少し静かにしてくれないか」と文句を言ってきた。
僕が夜中にホワイトボードに書いた「∞-categoryの安定化と弦の二重性」の方程式を声に出して読み上げていただけだ。
ルームメイトは「それは物理学じゃなくて数学の悪夢だ」とか言っていたが、奴はただの応用物理屋だ。
真の理論物理学者は、M理論の11次元をさらに∞-toposの内部で記述しないと満足しない。
僕の最新の着想は、まさにそこにある。ウィッテンですら「え、何それ?」と首を傾げるレベルのものだ。
具体的に言うと、Calabi-Yau多様体の鏡対称性を、derived algebraic geometryの枠組みで再定義した。
従来のhomological mirror symmetryは子供のおもちゃに過ぎない。
僕は今、motivic cohomologyのスペクトルと、string landscapeのvacuaをparametrizedする∞-categoryのfunctorとして捉えている。
具体的には、F-theoryのG-fluxを、higher categoryのlax monoidal functorとして表現し、そのmoduli spaceをGrothendieck–Riemann–Rochの無限次元版で計算した。
結果、11次元超重力の anomaly cancellation が、actually a consequence of the six-functor formalism in derived algebraic geometry であることが明らかになった。
これはもう、物理の領域を超えている。ノイマンですら「待って、待って」と手を挙げるレベルだ。
さらに進めて、heterotic stringのE8×E8を、homotopy type theoryのunivalent foundationsで記述しようとしている。
型理論のidentity typeが、ちょうど弦のworldsheetのconformal invarianceに対応するのだ。
もしこれが完成すれば、string theoryのlandscape問題が「ただのtype-checking problem」になる。
ウィッテンに送ったら、きっと「君は僕の墓を掘り返してまで新しい墓を建てようとしているな」とメールが来るだろう。楽しみだ。
さて、今日の予定。午前中は風邪のせいで集中力が少し落ちているので、まずは体調管理を優先する。
午後からは、さっきの∞-toposの計算をSymPyで数値検証する。夜はルームメイトと友人A、友人Bとオンラインで「理論物理学クイズ大会」をやる約束になっているが、奴らはきっと「ブラックホールって何?」レベルで終わるだろう。
僕が「AdS/CFT対応のcategorical enhancement」について語り始めたら、友人Aは「また始まった」とため息をつき、友人Bはただ「うわー、すごいね……」と目を泳がせるに決まっている。毎回同じパターンだ。
それにしても、この風邪。朝起きたら喉が痛くて、鼻水が止まらない。
ルームメイトに「医者に行け」と言われたが、僕は「風邪ウイルスなど、僕の免疫系にとってはただの演習問題だ」と返した。
ところが隣人が僕の咳を聞いて、勝手に部屋に入ってきた。
「具合悪そうね。Soft Kitty歌ってあげるから、VapoRub塗らせて」
僕は「いや、僕は科学者だ。」と抵抗したが、隣人はすでに僕の胸にVapoRubを塗り始めていた。そしてあの歌を、いつもの甘ったるい声で歌い出す。
little ball of fur.
purr, purr, purr.
僕は「君の声域はB-flatメジャーの3オクターブ上を無視している」と指摘したが、隣人は「文句言わないの」と言いながらさらに塗り塗り。
奇妙なことに、歌が終わった瞬間、鼻の通りが少し良くなった。プラセボ効果か? いや、きっと隣人の声が弦の振動を模倣して、僕の気管支のCalabi-Yau空間に微かなmirror symmetryを誘発したのだろう。科学的に説明可能だ。
これから10時15分までに朝食を摂り(正確にオートミールを250g、牛乳を200ml)、11時までに今日の論文草稿を3ページ書く。午後2時までに∞-categoryの計算を終わらせ、夜は友人AとBに僕の天才ぶりを叩き込んでやる。
以上。