2026-02-18

映画裏切りの獣たち を見た

全然スマートじゃない展開と異常にスマートな作劇が同居する南アフリカハリウッド映画で57点。

 

潜入捜査官のチリとそのバックアップシューズは頑張ってギャングと戦うも、出るはずの報奨金もなくなりさらには上司の堂々の汚職宣言うんざりチリはもう俺もギャングに加わって輸送強盗するもん!と開き直りシューズは止めるも先っちょだけだから!と押し切られサポートに。その後、シューズ強盗団に囚われてピンチになったり、チリがやっぱ強盗やめとこ!となるも強盗成功チリシューズを救って金を取り戻せるのか!?

みたいな話。

 

まずいっこ驚いたのは映像表現が意外とちゃんとしてること。特に、オープニングクレジットでは潜入任務明けに家に帰るチリストップモーションコマ送りで直立不動のまま帰路につかせ請求書の束を放り投げさせるというチリの現状をスマート説明しながらも映像としての面白さの両立を図っていたところなんかは、やるやんと思ってしまった。

アクションシーンのこなれなさはありつつも映像として安っぽいなと思うようなところはなかったし、映画としての画作りのゴージャス感はちゃんとあって南アフリカも頑張ってるんやなぁと思いました。

 

話の展開としてはとにかく出てくる全員が行き当たりばったりでマゴマゴしたりウロウロしたりしてて、この泥臭さ南アフリカっぽいリアルさがあるなと思いました。

例えばチリ強盗団に合流して金をせしめたら強盗団を逮捕すればいいとか無茶苦茶言い出す。メンバーに以前の潜入捜査中に関わった人間がいることが分かりシューズが「ヤバじゃん」と止めるも「どうせ覚えてへん!」と強行、次のシーンでそいつに「あいつと前に関わったときにうちの組壊滅させられたんや!」とチクられていきなり疑われる立場にというスピード感で草。

何とか乗り切るも今度は情報収集してたシューズが捕まり殺すの殺さないの話になって、ずーっと「ヤッベ」みたいな顔しててウケるし、その後もなんとかかんとか誤魔化すもどんどん信頼を失っていき最終的に銃の弾ももらえず、強盗現場からも外される。しゃーなし、輸送車を止めて警告しようとするも強盗と間違われて轢かれかける。

リアルすぎる……

強盗団は強盗団で、襲撃しようとするもボロ車のエンジンはかからないし、仲悪いやつ同士で見張ってたら喧嘩しだして一方の頭を撃ち抜いちゃうし、輸送車に車ぶつけて横転を狙うもぶつけた運転手意識不明の重体に。何とか成功してアジトに帰ると残ったメンバーで仲たがいして金を盗むも脱出口が分からなくなって転落死。

もうずーっとグダグダしてる。

でも地元ギャングで集まって銀行強盗するってこんな感じかもしれないよな。最近のこういう作品集団プロフェッショナルすぎるだけでさ。

 

ただ作劇のほうは意外に教科書的なスマートさで作られている。

オープニングシークエンスで潜入捜査中のチリ椅子に縛り付けられ尋問を受けているが拘束を解き、外のシューズと連絡を取るもシューズはいろいろあって銃を持っていないのでじゃあもういいか無線サポートしてくれ!となって、敵の様子をシューズが逐一報告しそれを利用してチリが敵をせん滅するという展開がある。

そして終盤には、今度は強盗団のアジト椅子に拘束されていたシューズが拘束を解き、弾の入っていない銃しか持っていないチリ無線シューズに指示を出して敵の様子を知らせて危機を脱するという展開になる。

強盗成功後の身内のゴタゴタもちゃんメンバー紹介の時に強盗団のボスと裏切者の間でこいつら関係悪いんやろなとわかるような描写が入っているし、冒頭で最新版携帯買ったった!とウキウキチリを映しておいてシューズが捕まってリダイアルで裏切者を炙り出す展開になったときに同じ携帯が鳴って視聴者だけ「アッ・・・」てなるんだけど実際には別のメンバー関係ない着信だったという展開もハラハラを盛り上げるいい展開。

シューズを殺させずにアジトに置いておくことでチリ強盗後に仮に金は諦めたとしてもチリアジトに戻らなければならない理由付けになっていて、間に合うか間に合わないかサスペンスを仕掛けているし、最後に敵の大ボス(スマートサミュエル・L・ジャクソンみたいな顔をしている)を強盗で奪った金が入ったバッグで窒息死させるのも「金に溺れたやつの末路」として正しい。

 

アクションのこなれなさや展開のあまりグダグダさにう~んとなってはしまうけどたぶんグダグダさに関してはそう描きたかったということだろうし、何よりもちゃんとしたハリウッド式作劇術を守って"ちゃんとした"エンタメ映画を撮ろうとしたんだろうなっていうのがわかるのはよかった。

まぁこ映画じゃないと摂取出来ないエンタメ要素は薄いけど南アフリカちゃんとしたエンタメ映画を見てみたい人にはオススメ

ちなみに10年越しの2023年ネットフリックス映画として「イナンバ・ナンバ: ヨハネスブルグの金塊」として2が作られているが、1がそもそも裏切りの獣たち」なので誰も2だと気づいていない可能性が高い。

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