ヤフーは2009年10月28日,選挙期間中のインターネット利用の解禁を求めるために,インターネット利用者から賛同の署名を募るWebサイト「来年も,今年と同じ選挙でいいですか?」(https://event.yahoo.co.jp/election/)を同日に開設したと発表した。今後,賛同署名を元に関係省庁やインターネットの利用に前向きな国会議員に対して要望を行い,次期通常国会で公職選挙法の改正に向けた議論が行われるように働きかけていく方針である。

 現在,候補者が選挙期間中にインターネットを使って選挙に関する情報を掲載することは,公職選挙法で禁止されている文書図画の頒布や自筆以外のあいさつ状の送付に該当すると解釈される。そのため候補者は,選挙期間中のブログ更新や,ブログに対して投稿されるコメントの更新も停止しているのが現状だという。

 さらに候補者でない一般市民であっても,選挙中に「支持する候補者への応援メッセージをブログに書き込む」,「SNSで特定政党への投票を呼びかける」,「自分のWebサイトで候補者の活動を動画で紹介する」といった行為は,法定の態様以外の文書図画の頒布に該当し,制限されるケースがあるという。

 ヤフーはインターネットを利用した選挙活動の有用性を「就労形態,家族形態,居住環境など生活スタイルが多様化した現在,有権者ひとりひとりが十分な情報を得て選挙に臨むためには,自らの都合に合わせて情報を入手できるインターネットが使えることが望ましい」と説明した。また,今回署名活動を開始した狙いについて「インターネットという有用な表現手段を適切に使える環境を作っていくことが,インターネットでビジネスをしている企業の社会的責任の一つ」と述べ,具体的なサービスの提供や同社のビジネスへの影響を考えての行動ではないと説明した。

 今後ヤフーはほかのインターネット関連企業にも声をかけ,賛同する企業と連携して署名活動を展開する方針である。

[署名サイト「来年も,今年と同じ選挙でいいですか?」]