「中小規模のサーバーでも、業務上停止できないものは多い。低コストで無停止サーバーを構築したいというニーズに応える」――。ユニアデックス エンタープライズITサービス統括部の廣田博美サポートビジネス部長は、米マラソン・テクノロジーズのミドルウエア「Marathon everRun」の国内販売を、2006年12月に開始した狙いをこう説明する。

 Marathon everRunは、2台のサーバー間でメモリーやハードディスクの内容を常時同期させておくことで、1台のサーバーに障害が発生した場合でも処理を継続できるようにするミドルウエアである。「マイクロソフトのクラスタ用ソフトは、制約条件が多く、手軽に使えるというものではない。その点、everRunはアプリケーションを選ばず、高いスペックも必要ない」(廣田部長)。

 高機能版の「everRun FT」は、2プロセサのマシン2台のWindowsサーバー上でそれぞれ動作する。仮想化技術を利用して、2台のマシン上で共通する1台の仮想Windowsサーバーを動かす。いわゆるゲストOSである。2台のサーバーで3台のWindowsサーバーが動いていることになる。

 業務上停止したくないアプリケーションを動かすのは、仮想Windowsサーバー上である。残りのそれそれのサーバー上で動いているWindowsサーバーは、仮想サーバーの状況を監視し、メモリーやハードディスクの内容を同期させる役目を担う。どちらかのマシンに障害があっても、メモリーやハードディスクの内容が同じもう一方のマシンが仮想サーバーを動かしている限り、サービスは止まらないというわけだ。

 everRun FTの価格は122万円から。ただし、サーバーは2プロセサまでしか対応していない。廉価版で、ハードディスクの内容だけを同期させるeverRun HAは95万円から。こちらは、4ソケット8コアまで対応する。どちらも、サーバー間は5ミリ秒以内で通信できる環境が必要だ。

 また、遠隔地にある2台のマシン間でシステムを構成する場合は、「ディザスタ・トレラント」と呼ばれるオプションを購入する必要がある。「160キロメートルまでであれば、2台のサーバー間で無停止システムを構築可能だ」(廣田部長)