Redmineでプロジェクトの進捗管理を厳密に行うには、あらかじめWBS(Work Breakdown Structure)を構成しタスク分解することが必要である。その際、タスクの粒度をそろえることが求められる。一つのタスクごとにチケットを作るので、何週間もかかる粒度のタスクが混ざっていると、その間は「仕掛かり中」というゼロでも100%でもない曖昧なステータスが続く上に、そこに集約する情報の量が増えすぎてしまう。
プロジェクトマネジャーにとって、WBSを構成しタスク分解することがRedmine導入のハードルに思えるかもしれない。そこでお勧めしたいのは、課題管理、問い合わせ管理、変更管理などからRedmineを適用することだ。課題、問い合わせ、変更といったアドホックに発生する小規模の作業であれば、タスク分解するのは難しくない。今日からでもすぐに実践できる。
そこで今回は、課題管理、問い合わせ管理、変更管理においてRedmineを活用する事例を一つずつ紹介する。
ポイント1
項目を追加して画面作成
富士ソフトは2011年1月から、社内の標準プロジェクトマネジメントツールとしてRedmineを位置付け、利用を推進している。後方支援部隊である生産性革新室が、米Amazon Web Servicesのクラウドサービス「Amazon EC2」の仮想マシンにRedmineやJenkins、Subversionなどをセットアップし社内向けにサービス化しており、現場のチームはすぐに利用できる。2013年4月末時点で、約2割のエンジニアが利用しているという。
富士ソフトの現場は従来、課題管理、障害管理、変更管理、レビュー管理に、社内標準テンプレートのExcelファイルを使っていた。生産性革新室は、これら4種の社内標準テンプレートを、社内向けRedmineサービスに載せ替えた。例えば課題管理については、Redmineのチケットにおけるデフォルトの項目に、「主幹」「発生工程」「お客様担当者」「FSI(富士ソフト)担当者」「登録者」「QA分類」など11項目を付加した(図1)。
項目追加のこの作業には、Redmineの「カスタムフィールド」機能を使った。GUIのマウス操作で容易に項目を追加できる。「あらかじめ管理項目が決まっていれば、それを追加する作業はすぐに終わる」(技術開発部 生産性革新室 室長 坂井繁弘氏)という。