故意に流された情報
2008年4月22日火曜日の朝、私は日本経済新聞の1面を見てびっくりしました。なんと「宇宙基本法 防衛目的利用を解禁」と出ているではないですか。
実は、前日の夜にある新聞社で記者をされている方からお電話をいただき「文部科学省から宇宙基本法の話が漏れてきている」との情報を得ていましたが、まさかこんな論旨で流されているとは思っていませんでした。
びっくりしましたが、同時にこのような流し方をした文部科学省の方々の考えもすぐに理解できました。こういうことです。共産党と社会民主党は、宇宙の平和利用を非常に重視しています。そこへ、このような情報が報道されれば、宇宙基本法の立法に関与している民主党と、社会民主党・共産党の間に不協和音が生まれかねません。特に共産党は、猛烈に反発するでしょう。文部科学省は、こうした状況をつくることで民主党をけん制し、私たちが超党派(自民党、公明党と民主党)の議員立法で進めている「宇宙基本法」の国会での成立を阻もうとしているのです。
今、参議院で民主党は、国民新党や新党日本のみならず、社会民主党や共産党とも連携をとりながら活動をしています。特に4月27日に実施された山口での衆議院議員補欠選挙では、社会民主党とは選挙協力までやりました。つまり、この連携を大切にしようとすれば、民主党は両党に配慮せざるを得ません。
新聞報道に誤りはありません。1969年に宇宙開発事業団法を成立させるとき国会が採択した平和利用原則の決議があります。この決議では宇宙開発を「平和目的の利用に限り」と明記していますが、弾道ミサイル防衛(BMD)については、2001年の官房長官談話において、「他に代替手段のない唯一の防衛手段であれば、平和利用原則に反するものでない取り組みであるBMDへの取り組みについては、(平和利用)決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったもの」との見解が示され、BMDは平和利用原則に外れないとされています。
目的は防衛利用ではない
ただ、私たちが考える宇宙基本法の主目的は、宇宙を防衛に使えるようにしようということではありません。一番大きな目的は、宇宙開発委員会や宇宙航空研究開発機構(JAXA)といった宇宙政策の関連組織が文部科学省の下にあるという問題を解決しようとしているのです。現組織体系でも宇宙に関する研究開発はできるかもしれませんが、それしかできません。あくまで研究開発に限られてしまうのです。これを「宇宙の利用、宇宙産業育成」にまで広げようというのが大きな目的です(関連記事)。