大阪市で2019年6月7日から翌8日にかけて発生していた基幹系システムの障害について2019年6月10日、原因となったデータベース管理システム(DBMS)が米オラクル(Oracle)の「Oracle Database」であることが日経 xTECHの取材で明らかになった。
システム障害があったのは、住民票や税務、国民健康保険、福祉、介護保険など市民向けサービスを提供している基幹系システムの「大阪市統合基盤システム」で、2015年1月に運用を開始している。同システムの内部にあるDBMSはログイン時の認証に必要なデータや印刷履歴などを管理している。
データベースサーバーはOracle Databaseのクラスタ技術である「Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)」により、アクティブ/アクティブ構成で2重化している。データベースを格納するストレージは共有となっており、2ノードのサーバーのいずれからもアクセスを受け付ける構造だ。
大阪市統合基盤システムで2019年6月7日の午後0時5分ごろに発生したシステム障害では、2ノードあるデータベースサーバーがほぼ同時に停止し、担当者が再起動を試みたが再起動できなかった。大阪市や同システムの開発を担当したNTTデータが原因を調べたところ、「両系統で同じシステムファイルが破損していた」(大阪市ICT戦略室)ことが判明した。
この障害により、21時間余りにわたり住民票や印鑑証明書などの発行業務に支障をきたした。その後、破損したシステムファイルを書き戻して翌8日の午前9時30分ごろに復旧し、週明け10日は市内24区役所や出張所などを含め、全ての窓口で住民票などの発行業務を再開。問題なく稼働している。
ただし、なぜ2ノードのデータベースサーバーで同じシステムファイルが破損し、ほぼ同時に停止したのかという根本的な原因は不明のままで、「再発の可能性は低いとみているが、仮に再発した場合に備えて監視を続けている」(大阪市ICT戦略室)としている。
本件について日本オラクル広報部は日経 xTECHの取材に対し「顧客のシステムに関することなのでコメントできない」としている。